みとめる事から始めよう(2)
強い弱さ
弱さの強
矛盾する事柄
その相対する事こそ案外大事なもの
それを認めてしまう事は凄く大変なのかもしれない
普段何気なく入っている、部会のドアが何故か重々しく感じた。
別にドアが変わった訳でも無い…有刺鉄線が張り巡らされてる訳でも無い。
ただ…自分の心に有る、幸村との会話や南健太郎と言う人間への気持ちが何気ないドアを重々しく感じさせていた。
(まったくもって俺らしくない)
幸村と病室で話してから、自分なりに南健太郎の事を考えてみた。
振り返れば、「ああ確かに」と思う節も多々有った。
それは余りにも、さりげなすぎて…当たり前の事の様に受けていたものだった。
心地よい春風が吹く様な…何時も当たり前にある存在の様に、さり気ない。
それ故に気が付けない。
けれど何かの違和感に気が付いてしまえば、気が付かなかった頃には戻れない。
喉に刺さる魚の小骨の様に…。
(今更なのだろうな…けれど…これから変えてゆけば良いのだろうか…)
自分らしくない、後ろ向きの思考に可笑しくてたまらないが…どうにもならん想いもある。
自分のした事に今更悔やんでも仕方がないのは理解している。
しかも自分で気が付かなかった事に、悔やむと言うか不甲斐無いと言うか…そんな何とも言えない気持ちになる。
けれど…覆水盆に返らずと言う言葉通り…過去は戻ることは無い。
ならばこれからどうするべきかを考えるしかない。
幸村の受け売りでは無いが…自分の目でもう一度南健太郎と言う男を見極めねばならない。色んな情報が加わって、そして尚かつ自分の目で見直す事が…自分にとっても、今後南健太郎と言う男と関わる為には必要な事だ。
そうやって考えを纏めていくと、気持ちがストンと落ちた。
(何と心静かなのだろう…)
腹を括った途端、揺れる水面が静まりかえるように心の揺れが止まった。
捻ったドアノブも…先程の重さが嘘の様に軽い。
(認めてしまえば簡単に受け入れることが出来るか…)
気が付けば簡単…答えはすぐ足下にある…何だか目から鱗が出る想いがした。
俺は晴れやかな思いで、部会のドアをゆっくと開いた。
様々な思いと対峙するために。
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From:Koumi Sunohara