千石に任せきりだった部会をボイコットして早1ヶ月。
早いようで短い。
それを今日、言い意味でも悪い意味でも決着をつける時がやってきた。
色んな事が有ったお陰で、逃げ出しそうになりつつも何とか部会をやっる氷帝学園の一室の前に俺は居る。
覚悟が決まっても…進まない足に正直苦笑を禁じ得ない。
挙げ句の果てには、少し胃の辺りがキリキリ痛む。
家でした子供が家に帰ろうとする時の気持ちは、もしかした今の俺の気持ちそのものかもしれない。
けどその家出をした子にしてみれば、別に俺は親に怒られるわけでも…今後の人生に凄く左右される訳でも無い。
ただ…部活の代表会に出るだけの事。
無理に行きたくなければ、断っても良いし…代理の者を出してしまったって構わない。
気軽に駄目なら「まぁ良いか」とその一言で済む筈の事なのに、俺という人格がそんな事を許そうとしない。
ワーカーホリックに陥りやすそうな…と言うかノイローゼや鬱病になりやすい典型的な人間なのだと思う。
だからといっておいそれ、そのパーソナリティーを変えられる程意志の強い人間でもない俺は、ウジウジと悩むしか無い。
(どうしよう…やっぱり帰ろうかな…でもなぁ〜それって他の奴にも迷惑かかるし…きっと俺自身も後悔するし…どうしようか)
立派な作りの扉の前でぼんやりと考え事をすれば、浮かぶのは何故かニマニマ顔の顧問の顔だった
「踏み出す勇気も…逃げ出す事も根本は一緒で…少しの違いですよ南君」
とニマニマ笑う顧問の伴爺が言っていた。
だからと言って自分自身で決めたこと、仲間が助けてくれている今…逃げることなど出来るはずも無い。
(当たって砕けてみるのも案外今後のためなんだろうな。弱さを認める事も大事ってことだしさ)
俺は大きな溜息を一つ吐いて、それからゆっくりと深呼吸を一つ吐く。
(変な風に壊れて直すのは難しいけど…思い切って壊れて一からつくるのは案外簡単だったりしてな。よしなるようになれだ)
そう心の中で呪文のように呟いて俺は、立派な扉に手をかけた。
踏み出す勇気を抱きながら。
NEXT→NO2
2007.9.27.From:Koumi Sunohara