他のスポーツとの遭遇(2)  

野球観戦に4人で行く事になり、待ち合わせ場所や時間を決めた一行は当日に向けて分かれた。

そして、野球観戦当日。

空は青く澄みきり、空の機嫌は頗る良好。所謂、快晴という野球観戦日和と相まった。

室内のドームであれば、天候は特に関係無いが、今回南達が観戦するのは屋外の屋根の無い野球場であるので、本当に野球日よりそのものである。

待ち合わ時間より30分前に到着した南は、辺りを軽く見渡した。

(流石に少し早かったかな?)

そんな事を思いながら、目を走らせればそこには青学部長の手塚の姿が其処にあった。

(手塚か…俺より早く来てたんだな〜千石と大違いだ)

南は手塚を見て、千石と比べながらそう感じずにはいられなかった。

心の中で思いめぐらせながら、南は手塚の居る場所へ足を向け、先に待っていたであろう手塚に声をかけた。

「やぁ、手塚が一番乗りか早いな」

軽く手を上げて南は手塚にそう声をかけた。

「ああ。南、おはよう。南も十分早いと思うが30分前だぞ」

挨拶をしながら、そう静かに手塚は南に言葉を返した。

「俺の場合は癖もあるしな…後は、一応俺の言いだした野球観戦だし早めに来たって感じかな」

頭を軽く掻きながら南はそう言葉を紡ぐ。

「そうか。お互い様だな」

「それにしても手塚は一体何時頃来たんだ?」

「南より5分ほど前だろうか、一応30分前を目安に来たつもりだったが」

「流石だな。うちの千石に見習わせてやりたいもんだ」

しみじみと紡ぐ南に、手塚は少し苦笑を浮かべた。

「南は相変わらず千石に手を焼いてるようだな」

「はははは。千石と言うか…まぁ…色々気苦労が絶えない感じはあるよ。俺が気にしすぎな気もするけどさ」

「あまり気にするのも体に毒だぞ。そこが南らしい所ではあるんだが…。それより…本当に気のみ気のまま来た感じだったが良かったのだろうか?」

「ああ。問題無いぞ、野球の観戦にしろサッカーにしろ絶対応援グッツやユニフォームを着なくてはいけない決まりは無いし、大体の球場はペットボトル等の持ち込みは禁止されているから、寧ろチケットと身一つで大丈夫なんだ」

「成程、TVで観る時に割とユニフォーム姿が多いから用意しなくてはいけないのかと思ったが別に必要はないということなのか。少し安心した」

手塚との話を楽しむ南の目に、待ち合わせ場所に向かう1人の人物が目に留まる。

(跡部か…やっぱり千石が一番遅い到着となるのか…)

目に止めた人物と、この場に居ないチームメイトの事を思うと気が重くなる南ではあるが、到着をした跡部には何も関係無いので、声をかける。

「跡部も早いな、時間前だぞ」

「あーん。普通だろうよ。それより、そんな俺より早く来ているてめえらの方がよっぽどだろうよ」

ため息1つ吐いて跡部はそう南に言い返す。

「ははは、まぁそうか」

「性格の問題なんだれうが、少しぐらい息抜きしねぇと潰れちまうだろうよ。千石が居る時点で無理か」

フンと鼻を鳴らして跡部はそう紡ぐ。南はその言葉に乾いた笑みを浮かべながら、軽く頭を掻いた。

「そう言うが、そんな人柄がよい所が南だろ?」

「まぁな。手塚よ、別に俺は南が悪いとは言ってない。息抜きぐらい必要だって話だ」

跡部の言葉に、手塚は軽く同意したようにうなづいた。
南はそんな跡部の言葉に、2、3度瞬きをしたのち言葉を返した。

「息抜きは心がけてるんだけどな…なかなか」

困ったように紡ぐ言葉に、跡部は少し肩を竦めた。

「そうかよ」

「それより、跡部も身軽だな…野球観戦経験者だったか?」

手塚の問いに、跡部はすぐに言葉を紡いだ。

「まぁな。日本の野球は無いが…身がるっていう意味の方が俺はわけがわからないが…。身軽なのが普通だろ、手塚」

「まぁ…そうなのだが、野球中継を見ると応援グッツとユニフォームを着た者が多いからてっきりな」

「そんなもん、一握りだろうよ。なぁ南」

「うん。好きな人は徹底的にやるけど、やらなきゃいけない決まりはないな〜」

「だとよ」

そんなやりとりを続けながら、一同は千石の到着を待っのであった。



つづく


2012.5.1. From:Koumi Sunohara

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