他のスポーツとの遭遇
とある一件から、南と千石、手塚と跡部の四人は時々休日を共にする事が増えた。
そんな折り、南がボソリと何くわぬ口調で言った言葉がとある現状を生み出したのであった。
「そう言えば、その日は野球観戦に行くんだ」
そう、この一言が始まりだった…。
ある日のある時、南達四人が偶然遭遇したそんなある日。
何と無く、微妙に間が出来た会話と誰かの会話を引き継ぐように南健太郎は、話しの間を繋ぐ様に何としなく、野球を見に行く事をサラリと告げた。
大して特別な言葉では無く、ともすれば流される様なそんな話し。
それなのに、何故か南を除く三人は話しをスルーする事無く食いついてきたのである。
「え〜、その日、南〜野球かよ」
初めは千石がそんな事を言い、残りの二人も口々に言葉を紡いだ。
「ほう。俺は生憎、野球は見ないが、テニス意外のスポーツも見るのも悪く無いな」
「日本の野球は見たこと無が、まぁ悪くない休日だな」
割と好感触な二人とは別に千石は、顔をしかめた。
「えー。テニスのDVD見た方がいいじゃん。つまんないだろ?」
何気に不機嫌気味な千石に南は穏やかに言葉を返す。
「んー。見たら結構面白いぞ」
そう言う南の言葉に千石は少し考える仕種をした後、ニヘラと表情を崩した。
「なら、俺も一緒に行うかな〜チケットまだ売ってるだろうし、南が居れば飽きずに見れるかもだしね。うん、名案だ」
そう言う千石に跡部が顔をしかめる。
「千石テメー、どんだけ南のストーカーなんだよ。いい加減、南離れしやがれ」
吐き捨てるように言い切る跡部に、手塚も珍しく頷いていた。
「えーっ。跡部君だけじゃなく手塚君まで頷かないでよ。南〜」
まるで某青の猫型ロボットに泣き付く主人公ばりに、千石は南に泣き付いた。
「ストーカーは言い過ぎだけど、千石とはほぼ毎日部活でテニスやってるだろ」
南はやんわりと千石を宥めるが、千石は何だかお気に召さないもよう。
「でもさ〜南〜」
口を尖らせて千石はそう言い募るが、跡部と手塚の目は冷ややかだ。
「南依存症もそこまで来ると末期だな」
ボソリと某学校の生徒の様に、小さく呟く手塚に南は乾いた笑みを浮かべた。
「手塚君ってば酷いぞ。依存症って病気じゃあるまいし」
「「病気だ」」
おどける千石に間髪いれずに言い切る手塚と跡部。
「酷いぞ。手塚君、跡部に毒されてきてるよ…昔の君は優しかったと思う」
「おいおい千石。そんなに手塚と付き合い長くないだろ」
少しおかんむりの千石に南はやんわりと突っ込みをを入れる。
「やだなー南ったら、言葉の文ってやつだって」
ヘラリと笑う千石に、彼以外のメンバーは頭を抱えたくなった。
(((何処までも前向きだ))))
三人の気持ちがリンクした頃、南は正直このままでは話が進まないと思い始めた。
(俺…野球観戦に行くって言っただけなのに…なんだか凄い混沌としてる…何が悪かったんだろう?)
自分の言動を振り返るが、何故こうなったのか意味不明な南は取りあえず、収集を図るべく言葉を取りあえず紡ぐことにした。
「よければ、皆で行くか?」
この南の取りあえず収めようとした一言が、更なる混沌を生み出すとは南はこの時知る由もなっかたのである。
つづく
2012.2.1(WEB拍手掲載2011.10.17.) From:Koumi Sunohara