苦手を克服する方法(3)
藤代抜きの昼休みを数日過ごしている、武蔵森三人衆。最初の内は、藤代の昼飯を三上が強奪して、拗ねていると三人は思っていた。
しかし、その日の藤代は上機嫌で部活に参加していたのである。
「藤代は毎日、何処に行ってるんだろうな〜?」
不思議だと首を、捻る渋沢。
「笠井、お前何か知らね〜の?」
片眉を少し上げ、三上は笠井に尋ねる。
分からない程度の溜め息を、笠井はついた。
(何で何時も俺に、聞くんだろうか?…俺だって確かに、誠二のこと気になるけどね…)
あくまで、ポーカーフェイスな笠井。
「さー、流石にそこまでは、分かりませんが…」
「「分かりませんが?」」
三上と渋沢の声が見事にはもる。
そんな様子にも、いたって冷静な笠井。
「誠二…このところ昼飯、買ってないですよ」
笠井は一度、言葉を区切り、続けた。
「それに、現れないんですよ…昼の食堂にすら」
言葉を放った直後、一瞬辺りが静まりかえる。
そして…。
「「変だ」」
笠井の言葉に、即答の二人。
そんな先輩二人の様子を見た、笠井は何となく此処に居無い藤代に同情した。
(でも、誠二も大変だよね〜、やっかいな人たちに気に入られて…)
自分もその1人だと、すかっり忘れて友を哀れむ笠井君。
「しかし、だとしたら…あの燃費の悪い藤代は、どうしているのだろう?」
渋沢の一言に、又振り出しに戻る。
結局水掛け論である。
「このままじゃ、らちがあかね〜、渋沢、笠井、調べるぞ!」
三上は、そう言うとあっという間に消えた。
後に残された、2人は呆然と見送った。
三上亮の情報網は、はんぱなモノじゃなかった。
その日の放課後うちに、数々の情報が“ドンドン”舞い込んできた。
「それにしても、凄い量だな〜」
膨大な情報に、しみじみと言う、渋沢。
「でも、全然関係無いモノも、沢山ありますね〜何処で仕入れてるんだろう?」
ストカーとか居るのかな?と思わず思ってしまう二人。
そこに、一喝を入れる三上。
「無駄口叩てんじゃーね!さっさと、目を通せ」
凄い勢いで、膨大な情報に目を通している三上がぼやく。
まるで、どこぞの会社社長のごとく次々と目を通す三上を見て、渋沢は感心と呆れの眼差しを向けている。
(何時もこの調子で、授業とか受けてくれると有り難いんだがな〜)
「?先輩コレ」
笠井が1枚の、紙を2人に見せる。
渋沢が、それを受け取ろうと手を伸ばすが…。
ザッ。
紙に目を通して三上は、デビルスマイルを浮かべた。
「ほー、成る程な」
「何が、成る程なんだ三上?」
紙を見て、ニヤついている三上を怪訝そうに渋沢は、見た。
「いやな、これ以上藤代を調べなくて良くなったてコトだ」
「だから、何故そうなるんだ?説明してくれ三上」
「面倒くせいな〜…」
三上は、藤代の不審な行動と、それに関わる存在についって話し始めた。
三上昼飯強奪事件(?)の藤代と のコトを。
「つまりだ、俺の予想では…2年の が関係しているてコト」
「 って、“あの” ですか?」
「そう、あの だ」
笠井もは、驚いた顔で三上を見る。
「この頃藤代が、“あいつ”と居るのを目撃されてるから、間違いは無いはずだ!!」
自信満々の三上。
渋沢1人、訳も分からないといった顔をしている。
「別に、そんなに驚かなくても良いんじゃないのか…」
「驚くだろ!!」
「驚きますよ!!」
見事にハモル声に、呆気にとられる渋沢。
「いくら、お前でも噂は聞いてるだろ?」
「ああ、一応は知ってるが…」
三上は、頭を抱える。
(もー、嫌だ此奴!何で分からないね〜んだよ〜!!)
「そんだけ有名な、人に対して淡泊なうえドライ(特に男に)な“コンピュータガール”と藤代が仲良く(?)話してた!これが、驚かなくて何が驚くんだ!!」
絶叫に近い、三上の声に渋沢はやっと納得。
「ともかく、 さんとのことは、誠二に無理矢理にでも聞くとして、そろそろ片付けないと不味くないですか?」
渋沢が、納得したところで笠井が切り出す。
「「ああ」」
テキパキと、作業をする。
そして…。
「藤代…明日、覚悟しとけよ」
ニャリと不敵に笑い、三上は空を見上げた。
その様子を、苦笑を浮かべ渋沢、笠井両名は三上を見ていた。
(哀れだな藤代…)
(何時もながら、誠二て不幸だな〜)
と心に思いながら。
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2001.4.22.From:Koumi Sunohara