キリ番リク駄文(1000HIT青月こひろ様に捧ぐ)

Tiramisu

<前編>






「君…元気無いね…。どうしたの?」

暮れる夕陽に染められている為か、 少年の顔がよく見えなかった。
 しかし、何故だろうか?
には、少年が元気がないように見えたようだった。
 だからだろう…、 が声をかけたのは。
反応を示さない少年に、もう1度こえをかける。

「ね〜…どうしたの?」

ノロノロと、顔をおもむろに上げる。

(へ〜、結構格好良いんじゃない〜)

 少年の顔を見て、 は感心する。
もっとも、少年と言う表現も適切では、無いだろうが。
 何故なら、少年は… と同い年かそこいら辺の、年頃だからだ。

「…」

 マジマジと、少年を見る
 少年は、無言のまま。

「何で、そんなに元気無いの?」

 無言にたいられなかったのか?
は、少年にまた話しかける。

「どうせ、行きずりの人間なんだからさ…愚痴ぐらいなら聞けるけど?」

少年の顔を、覗きこむ。

「言ってみたら?結構スッキリするかもよ♪」

満面な笑顔で、少年に言う。

「あの…」

今にも消え入りそうな、声だった。

「何?聞こえないよ」

が、聞き返す。
一拍置いて、少年は、何かを決心したかのように、声をだした。

「有り難う…じゃ…お言葉に甘えて良いかな?」

 酷く丁寧な返事が、 に返ってくる。

「どうぞ、遠慮なく…言いだしたの私なんだからさ」

ニカッ。少年は、話始めた。
 ココ武蔵森の1年である事。
強豪と呼ばれてる、サッカー部で1軍に居ること。
ポジションがGK、そして…チームメートやチームの事。
楽しそうに、語られる話の数々。

(聞いてると…元気がなくなるって感じがしないけどな〜)

 話を一通り聞き、 は思う。

「あのさ…聞いてる分には、君が元気が無い理由が分からないだけど…聞いちゃ不味い?」

 漠然とした、疑問を少年に尋ねる。
少し困ったように、眉を寄せる。

「不味くないけど…」

「けど…何?」

少年の言葉を濁す感じに、 が聞き返す。

「君が、気分害するし…」

煮え切らない、少年に少し呆れる

「はぁ〜」

溜息を付く、

「“遠慮なくって”言ったよね?」

少年に、尋ねるように聞く。

「だったら…言いなさい!つ〜か、言え!そうやって、ため込むから…考え方がマイナス方向にいくんだから」

ビシ〜ィ。
指を少年に、突きつけて は言う。
呆気にとられてるのか、少年は目を丸くしている。
 諦めたように、詳細を話し始める。
現在、怪我のリハビリ中。
それなのに、試合に少しでも出して貰える事。
天才と、謳われる自分の存在。
期待。周りかららの、違った目。嫌味。

「天才なんかじゃないのに…」

「もしかして…陰口を、直で聞いちゃったの?」

コクリ。首を縦に振る少年。

(あちゃ〜、そりゃ〜へこむって)

ふ〜。
は、溜息を一つつく。

「何で、そんな風に思うんだろうね…君は、こんなにも弱いのに」

「?」

以外そうに、少年は を見る。

「周りが…全員、君とかだったら良かったな」

悲しげな、表情。

「こんな面の俺を、見て変わらないのは…君の様な1部の人間なんだろうか…」

諦めを含む、声音。

「そんな事無いよ」

「そうかな?」

頼りなさそうに、少年は を伺う。

「君は、周りを気にしすぎなんだよ。周りばっかり気にしてちゃ、君が疲れちゃうんだよ」

 幼い子供に聞かせるような、優しい声音。

「少し、我が侭になったて、罰当たらないと思うし…それに、そうしないと君が押しつぶされちゃうと思
うんだ。後は、本音言える仲間を、持つことだね」

ニッと笑う。
少年は、驚いたような顔をする。

「どうしたの?」

「いや…君が、あんまりにも…俺の友達と同じような事言うから…ビックリした」

「ふーん、そうなんだ」

は、一瞬考え込む。

「しかたがないな〜。ココはとっておきの、“おまじない”が必要みたいね」

1人納得した、 が言う。

「どうだい?試してみる?」

少年は、黙って頷いた。
 ただ、頭を撫でるだけ。
いや、何か がブツブツと呟きながらだけど。

「これやると…気分が落ちつてくるんだよ」

少年の頭を撫でながら、 が話しかける。

「…確かに…少し落ち着いてきたかも…」

言うように、少年の肩の力が徐々に抜けていった。

「それでも、落ち込んだら…その友達に目茶愚痴を、言ってやんなよ」

「…?」

「スッキリしたでしょ?今日沢山、愚痴言ったからね…。だから、そうすると良いよ」

疑問符を浮かべた少年に、 が言い切る。
 少年は、何か吹っ切れたのか、晴れやかな顔をする。

「有り難う…何だか、頑張れそうだ」

「そりゃ〜どうも。元気になって、何よりだよ」

その様子を嬉しそうに、 は、満面な笑顔を向ける。

「本当に有り難う」

少年は、満面な笑顔を、 に向けると、足早に去っていた。

「元気になって、良かったな〜」

  は、誰に言うわけでもなくそう呟いた。
 そいsて、夕陽に染められる少年の背中を見送った。

(変われると、良いな…良い目してたから)と思いながら。
薄れゆく記憶。

ほんの2年前ぐらいの、出来事だっただろうか?

そんな事が有ったかも、曖昧で…。

現実の出来事だったのだろうか?

そんな風に思えるほどで。

夢現な、思いで。

記憶の片隅に、あったモノ。

でも最近 は、その事を思い出す。


学校じゃ、俗に言う穴場と呼ばれる場所。
その名も“図書室”。
生徒の殆どがその存在を知りながら、来客者が1部の人間という穴場である。

先輩〜コレ見て下さいよ〜!」

 図書室の雰囲気に似合わない元気な声が、響く。

「はいはい。ココ一応図書室だから、静かにしようね藤代君」

 武蔵森エースストライカー藤代誠二を、図書委員である が軽く窘めた。

「う〜っゝゝゝゝゝ。でもでも、コレ見て欲しかったんスよ〜」

 そう言うと藤代は、1冊の本のような物を に手渡す。

「何コレ?」

「良いから、見て下さいよ〜」

「ふ〜ん」

パラパラ。
  は、手渡された本に目を通す。
ちなみに、装丁のタイトルには【武蔵森サッカー部ファンクラブ会誌Vol10渋沢克郎特集】と書かれていた。
タイトル通り、しっかりと渋沢克郎のプロフィール等が書かれていた。
渋沢克郎:武蔵森中等部3年在籍/趣味:F1観戦/特技:料理/好きな食べ物:豆大福、以下省略…

「へー、有名な話もあるけど…良く調べたて感じだね〜。私立探偵に、なれるんじゃない?」

感心すると言いたげに、藤代に感想をのべる。

「そこじゃなくて、下に書いている所スよ!」

「はぁ〜?下?」

は、藤代が示した所を見る。

「好きなタイプ「気になる異性有り」って所?」

 何気に、 は声に出して言ってみる。
大きく頷く、藤代。

「でもね〜、好きな人ぐらい居たって可笑しくないんじゃ無いの?」

 藤代が、驚くような物では無いと、 こひろが感じたのか…興味無しと言った顔をする。

「まっ…それだけなら、誠二だって驚かないと思いますよ」

 後ろから、 に声をかける。

「笠井君まで〜…そんなに、面白い事なのコレ?」

 クラシックの楽譜の貸し出しをしながら、 は笠井に尋ねた。

「いえね…ココの下の所に…。好きな人のことで、『落ち込んでいた時の俺を、引っ張りあげてくれた人』て書いてるんですよ」

「ありゃ…本当だ」

感心と言うか、呆れと言うか少し曖昧な表情で、 は顔を上げる。

「ふ〜ん、何か一歩間違うと…ストーカになりそうだね〜」

「「むしろ…ストーカですよ!!」」

「そんなに、声までハモルこと無いでしょうに〜」

ピッタリと息のあった、2人を見て少し苦笑を浮かべる。

「ほれ…部活有るんでしょ?遅れるぞ!」

ニッコリと2人に笑いかける。

「やべ〜。じゃ〜 先輩vまた来ますv」

「何時も、五月蠅くてスイマセン…それじゃ」

「ハイハイ。いってらしゃい」

は、藤代、笠井に手を振って見送るのであった。

「でも…何か、先の話引っかかるな〜」

藤代、笠井両名が去った後、 は独り言のように呟いた。

「何が、引っかかるんだ?

「へ?」

突然話しかけられた為、 は間抜けな声を出してしまった。

「渋沢君…?」

「…そんなに、驚かなくても良いんじゃないか?」

笑いを噛み殺して、渋沢が の真っ正面に立っていた。

「だって、ココ滅多に人来ないからね〜。驚くよ」

「その割に、先来客が来ていたな」

「ま〜ね。君の所の子達が2人程だけどね」

クスクスと笑う、

「それにしたって、今日のお客様は…サッカー部ばかりね〜。部活休みなのかしら?」

少し戯けて、 は尋ねる。

「休みじゃ無いさ。ちゃんと有るよ」

律儀に答える、渋沢。

「最近、藤代君とかよく来てくれるから、退屈しなくて」

ニカッと は、笑う。

「…」

渋沢は、無言で を見る。

目当てだと…何故気づかないんだろう?あの藤代が、ココに入り浸る事自体が、可笑しいのに)

と渋沢が、心の中で少し呆れる。

「おや?彼らが、ココに来るのて…もしかして迷惑だった?…部活に支障が出てるとか?」

あんまりにも渋沢が、無言だった為、 が慌てたように聞いた。

「支障は出ていない…むしろ、調子が良いぐらいだ」

「そっか♪よかった」

 あからさまに、ほっとした顔を は、渋沢に向ける。
渋沢もニッコリ笑う。

「そう言えば渋沢君は、ココに何か用があったんでしょ?」

「いや…特に無いかな…。むしろ言うなら、 の顔を見に来たてところだが」

「…渋沢君…私まだ、死にたくないいですけど…ゝゝゝゝゝゝ」

サラリと言ってのけた、渋沢の言葉に が固まる。

「真顔で、その冗談はきついス…君のファンに、撲殺されますって」

  の言葉に、今度は渋沢が首を傾げる。

(何故、こんなに は鈍いんだ?)

「それは、無いと思うが」

青月は、人気物だからな)

しみじみと渋沢は、思う。

「まっ…良いか」

しばらく他愛のない会話を、2人は続けた。
そして、最近気になることを が話始めていた。

「そう言えば、この頃同じ夢みるんだよね〜」

「ほ〜、どんな夢何だ?」

「う〜ん、あんまし覚えて無いゝゝゝ」

ぷっ。

らしいな…」

「何よ〜失礼な!笑う事ないでしょ〜」

「悪い悪い」

渋沢は、 の頭を軽く撫でる。

「子供扱いスカ!!」

む〜っ。
少し頬を膨らますが、別に気分を害している訳けではないようだった。

「コレやると、落ち着くんだよ」

 何だか、懐かしモノを見るような目で を見る渋沢。

「?」

「本当…お前と、居ると落ち着くよ」

に、聞こえない程の小さな声。

「何か言った?」

「いや…別に。そうそう、 は、気づいてないだろうが…結構、お前は有名なんだ。少し自覚しておいた、方が良いぞ」

柔らかく渋沢は、 に笑いかけて図書室を後にした。
 残された、 は呆然と渋沢の背中を見送った。
 そして、一瞬記憶の片隅にある人物と渋沢のイメージが の中でかぶった。

(何で、渋沢君と…あの子が一瞬重なっての…ゝゝゝもしかして…)

 あの日に似た、夕陽を見つめこしろは記憶の底に落ちっていった。

(もう1度思い出せば…分かるかもしれないもんね)
 


Next→後編


2001.7.2.From:koumi sunohara



キリバン置き場

後編


☆後書きと言う名の、言い訳☆
青月こひろ様キリ番1000HIT有り難う御座いました。
どうも、すのはらです。
ゴメンナサイ、超駄文になってしまいました(-_-;)
前振りが、長い…(汗)
しかも、前後編…。の前編だけ。
文才無いです本当(遠い目)←オイ
精進せねば、いかんです。
こんなんが、贈り物で良いのでしょうか?
とりあえず、受けとって下さい。(アホ)
タイトルの『Tiramisu』は、イタリア語で直訳すると「気分を盛り上げる」とかと言う意味です。
(tira「引っ張る」mi「私を」su「上に」なので、上の訳とのことです)
ケーキのティラミスも結構、願担ぎで食べられるらしいので、そんな意味で使いました。