大事なモノはすぐ側に(南部会編)

  空気や水の様な君B  


地味って訳じゃ無いんだ

一般のはかりにかけたとしても

彼奴は地味って訳じゃ無い

ただ周りが濃すぎるだけなんだ

ただ…そう不幸な巡り合わせってやつなんだ





南健太郎という人物は、本当に良いヤツだ。
人として友人だったら申し分ない…親も心配しない…先生も太鼓判を押してしまうほど良い奴だ。
故に貧乏くじを引くタイプと言っても良いんだけど。

灰汁が強すぎて、個々の意見がまとまらない関東テニス部部会に置いて…話をまとめ上げる手腕は凄いものだ。
それが例え…地味sと言うあまり名誉と言えないあだ名を付けられている人物であっても。
彼奴は全国区のダブルスプレーヤーであることに変わりが無い。

つーかな…周りが個性派揃いなだけで…一般人と比べると地味って訳じゃ無いだよ。
帝王やら皇帝やら…年齢不詳の美形やら…ワイルド系の兄貴やら…ここまで個性が揃うのかと恐ろしくなるぐらい個性派揃い。

そりゃー爽やかなスポーツ少年である南が来たところで、普通の一言で片付けられる訳なんだろう。
有る意味おかしな世界だ。
ごく普通に生きている一般生徒なんて、カスに等しいと言っても過言じゃ無い。

そんな南が部会に来なくなってかなり立つ。
原因は公表されていない。

ただ代理人として、同じ部活のエースの千石が来ている。
だけどな…寧ろ邪魔してるとしか言いようが無い。
しかも…恐らく意図的に…。

(頭脳派じゃない俺が感じるんだから、あからさま何だろうな)

巫山戯た事をする節があるある奴だけど、ここまで嫌がらせをする事は考えにくい。
ぼんやり考え行き着く先は、やっぱり南絡みしか浮かばない。

(大方南絡みだろうな…南は千石に甘い節が…と言うか山吹部員に甘いからな〜そんな南が絡めば千石が動かない訳無い…南に頼った生き方してる千石だしな)

自分なりの答えはそんなもんで、我がルドルフの参謀殿ならもちょっと理論的に答えを導き出すんだが…。
俺の性分として…こんなもんが関の山って訳で。

まぁ…あながち間違っては無さそうなのは確かだと確信しているんだけどよ。

と言うより…俺以外に数人…恐らく跡部や真田以外の部長は気づき始めているだろう。
色んな意味で…千石来襲という珍事件に。

ああ…後…南健太郎と言う…一般人代表の様な地味と言われた彼奴の大事さに。
ダブルスは調和が大事なように、彼奴が居なくてはまとまらない。そんな些細な事実に。

それに気付かない限り、千石の嫌がらせは止むとは恐らく無いと言えると俺は思う。
我らがマネージャー殿も恐らく同じ様な答えを導き出すだろう。
それはそれは楽しそうに…。

すぐにそんな観月の様子が浮かんでしまう自分に苦笑しつつ、俺はふいに思う。

(観月にでも提案してみるかな…南をダブルスの講座してもらえるように)

何て俺は不謹慎にもそんな事を思ったのだった。
快く引き受けてくれるだろう、南の顔を思い浮かべ…もう少しこの攻防を見守るのも悪くないと思いながら。


おわし

2006.10.17.From:Koumi Sunohara

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