(前編)
キラキラ輝く金色の髪
空色の蒼を抱く子
あの子を一言で言い表すなら自由奔放
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アカデミーきってのドべ忍者で里で何故か嫌われてるナルトへの、はじめに抱くイメージはけして良いものじゃ無いと思う。
サクラと同じ班になり、案外良いヤツだって認識するまで…私の中のナルトという人物像は里にいる同年代の子とさして変わらないのではと思う。
それに私はサスケ君が好きだし、理想も高いわけで…。
平均以下の学力に実力であろうナルトになんて興味すら抱かなかった。
だけど何の因果なのか、アカデミーきってのドベのナルトは…アカデミーNO1のうちはサスケ君とでこりん事サクラと同じ班になった。
ドベと天才…比べるなという方が不思議なモノ。
益々サスケ君の優秀さが浮き彫りになるチーム編成になった。
まぁそう思うのは私だけじゃなく一般論だと思うけどね。
そんな風に私はドベなナルトにはまったく興味も無く…相変わらずサスケ君が好きで好きでしかたがなかった。
だけど…ナルトは気がつけば様々な人の心の中に入り込んでいる。
そう…親友のサクラの中でも彼奴は大きな存在になっていた。
何事もなく過ぎ去る筈の任務のない今日。
誰からの誘いも無く、ただ気ままに歩けば…桃色の髪のデコリン事サクラが歩いていた。
何時もの言い争いから、他愛のない話に発展して…近くの公園で話に花を咲かせた。
最近の事…サスケ君のこと…そんな話の
「何て言うのかしらね…例えばナルトが里内で嫌われていたとしても。私や七班…イルカ先生…ナルトの事を分かる人間が分かっていれば良いと思う」
誇らしげに言うサクラは、本当にナルトを信頼してる様子が見える。
(初めてチームを組んだ頃とは大違いって感じかしら)
不意に浮かぶそんな思いだけど、案外サクラがナルトを認めたのが早いというのを人伝えに知っている。
何だかんだ文句を言いながら、ナルトを信頼し…良いチームだと。
「たいした株の上げようね…ドベのナルトへの評価が」
「まぁね…不思議よね。だってはじめは手間の掛かるドベだった彼奴が…仲間であり…友人であり…弟のように身近に感じる…だけどそれが全然不快じゃ無いのだから」
「ふーん。サスケ君はじゃ諦めたわけね」
「馬鹿ね。サスケ君は好きよ…でもナルトは大事なチームメイトであり友人であり…弟みたいな存在だっていったでしょ。案外サスケ君だってナルトをそんな風に思ってるはずよ」
「サスケ君が?そうかしら?」
「いのは…ナルトを直接知らないから分からないかもしれないけど…きっと知らず知らずにあの子の影響を受けているんじゃないかな私。諦めない強さ…何かに秀でてれば何か足りなければ補い合えば強くなれることとか…人に優しくする事とか…彼奴に出会って私は色々知ったもの」
「随分褒めるわね。確かに中忍試験じゃ頑張っていたと思うし見直したけど…そんなにサクラが褒める子かしら?」
首を捻ってそう言えば「だって事実だもの」と笑うサクラが其処にいる。
そして…。
「それにね…ナルトは植物を育てるのが得意なのよ。もしかしたら…いの以上に凄いかもね」
サクラはその時のナルトを思い出してるかのように、表情を緩めてそう言った。
あまりにも嬉しそうに話すサクラに私は、何だか此処には居ないナルトに言いようのない気分を味わった。
(何だか悔しいわね。花は私の専売特許なのに。サクラにそんな顔させるなんてね)
「そうそう…ナルトってね山中花店にしょっちゅう行ってるらしいわよ。今度会った時にでも話してみるとナルトの良さが分かるかもしれないわよ。と言うか話が合いそうだもの」
そう好き勝手なコトを言った親友は、「私行く所あるから」と言って嵐の様に去っていた。
取り残された私は、興味のなかったナルトと言う存在が何となく気になり始めたのだった。
サクラが去ってから、私は店番に精を出す父親にナルトのことをさり気なく聞くことにした。
案外父親からはすんなり「ああ来てるよ」と言葉を返された。
里から何故か嫌われている少年なのに、父はあまり気にしていないようだった。
その思いが顔に出ていたのか父親は、聞いてもいないのに言葉を紡いだ。
「花好きな人間に悪いヤツは居ないしね…まぁ色々勘違いがあって迫害を受けてるだけだしな彼は」
と少し困った様な表情で父は言った。しかもそれ以上聞ける雰囲気じゃない空気を醸し出して。
「そう言えば…今日も来るんじゃ無いかな」
ただそんな言葉を黙って聞くだけで…立ち去る父の背を眺めるだけだった。
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2005.9.9. From:Koumi Sunohara
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