『カワラナイ キモチ』




変わらないモノ

変わっていくモノ

めまぐるしく過ぎる瞬間

長い間過ごした瞬間

ただ流されて過ぎていく

不変的なモノは無くて 

同じようでも少しずつ違うモノばかり 

それでも変わらない物が… 

一つぐらい有るのかもしれない

そうの想いは、欺瞞でしょうか?




ここ数年私は不変的なものは無いんだとつくづく感じた。
例えば総帥の地位に居た、マジック様が隠居して…シンタロウ様が総帥になった事。
死んだはずのジャンが戻ってきた事。

これはかなり驚いたけど…元々、不思議な雰囲気の人だったから…それも有りかと思った…そう言うと、シンタロウ様も1度死で生き返ったらしい…。
医学者の私には、もはや不可不思議すぎて、考える事を脳で拒否しているので、この事に関しては気にしない事にしているが…。

ともかく、一言で片づければ色々とめまぐるしく環境が変化していったと言う一言に尽きる。




でも変わらないものもやっぱり有る訳で…。
数十年間も変わらない。
そんなモノが有る。

1つは私の中のとある感情。
もう1つは…同じ団で同期で腐れ縁の変わり者の男。
パット見ても極端に変わった…と言う様子は見受けられない。
黙っていればそこそこモテル容姿の持ち主をしている…口は悪いが…真面目に仕事をすれば切れる人間である…ガンマ団きってのマットサイエンテイスト殿。
その名もDr高松。

何時も、…口を開けば”グンマ様…グンマ様”尊敬しているルーザー様の息子…って言っても実はマジック様の息子だったんだけど…それでも大事らしい。
まぁ私にとってもルーザー様やマジック様も尊敬している方だから…彼らのことは大切に思うけど…。

高松の場合は極端で…何に置いても…優先順位はグンマ様にキンタロウ様。
有る意味尊敬出来るほどの敬愛ぶりだった。
大事かもしれないけど…いい加減に腹が立つ。
腹が立つ理由は…あまりにも陳腐な理由なのだけど。

勝手な言い分は百も承知だけれど…私は、高松が不本意ながら好きだから…やっぱり腹が立つもので。
それを隠して今の今まで、過ごしてきてる。
どうやら、バレてはいないらしい。
その鈍感さ加減にも腹立たしさを感じるが…元々そんな考えを持つこと自体がお門違いなのだろうけど…。

何せ私と高松は…別に恋人て訳じゃないから。
いい歳して、お互い恋人も居ない。
まぁ〜高松のことは良く分からない所が有るから…もしかしたら、遊び相手ぐらいは居るのかもしれないけど…。

結局私も、高松もいい歳こいて…フラフラしている。
いい歳…いい歳って言ってるけど…私もかなりのいい歳な訳で。
まぁ高松と同い年だから…人様のことは言えないのだけどさ。

やっぱり私は高松に好意を抱いたままなのだ。
それは出逢った時から今まで…不思議なほど色あせることなくこの気持ちは変わらないものだ。
本当は何処かのタイミングでこの想いを告げようとは思っていたけれど…どうにもタイミングが悪くて、この想いは本人に伝わることは無い。

唯一この想いに気が付いて下さっていた方も居たけれど…その方ルーザー様はもう何年も前に亡くなっていない。
だから私の気持ちを知っているのは私一人なのだ。
ルーザー様が亡くなった時に私は、心の奥に鍵をかけてしまい込んで…何喰わない顔で、高松と腐れ縁ぶりを続けていた。
それも、どうやら終わりがくるようだった。




歳の所為かもしれないけれど、最近は研究ばかりをする私の元にアルモノが届くようになった。
まぁ…俗に言う『お見合い写真』と言うモノだ。

第一今更なのだ。
見合いったて、もうそんな事で心が踊るほど柔軟な頭はどっかに行っている。
気がつけば溜息ばかりが増えている。

何だか悪循環な気もするが、こればかりは時に任せてゆくのみ他ならないだろうと思う。
仕事場の研究室にも、最近は遠慮無くそんな電話やメールがくる。
そんな状態に嫌気がさしてきて、私は誰も居ないことを良いことに、その場から立ち去った。




カツカツカツ。
ヒールがやや有る靴は、階段を上るたびに音を立てる。
見慣れすぎた階段の最奥には、古びた扉一つ。
私は、その扉を迷うことなく扉を開けた。

サーッと差し込む、日の光と…そよぐ風。
閉鎖された仕事場から解放された気分に成った私は、一番眺めの良いフェンスへ向けて足を向けた。


「はぁ〜」


大きな溜息を私は誰も居ないガンマ団本部の屋上でついた。
ココに居るのは私だけ…。
そう思うと、何だから気が楽になって…普段より大きな溜息が私から生まれていた。





自分一人しか居ないと思った空間に、不意にかけられた声に私は思わず顔を顰める。


「あら…サービス」


声をかけてきた方向に視線を合わせて短く呟く私。
そんな様子の私をサービスは、苦笑を浮かべた。


(きっと呆れてるに違いない…)


な〜んて被害妄想たっぷりな心境とは裏腹に、サービスの口調は実に柔らかなものだった。


「大きな溜息だな」

人好きの良い笑顔と言うのだろうか…そんな微笑を乗せてサービスは私にそう返してきた。

「嫌だな…見てたの?」

苦笑を浮かべながら私は言った。
サービスは相変わらずの微笑のまま、私の顔を伺い見ているようだった。
ややしばらく、どちらも声をかけぬままの状態が続いた時サービスの口が言葉を紡ぎ出していた。

「元気無んじゃないのか?」

じーっと私を見ていたサービスが不意にそう言ってきた。
私は少し肩を竦めてみせる。

「若く無いんだから、何時でも元気って訳じゃ無いよ」

苦笑混じりに私はそうサービスに返す。
そう返されたサービスは、少しだけ眉を寄せただけだった。

(相変わらず氷の美貌だわね…。男なのにこんなに綺麗なんて女泣かせだわ)

サービスの表情を伺いながらちょっとだけ、毒づいてみる。
…があまり効果が無いみたいだった。

(そりゃーそうよね。エンパスじゃないんだし…読めるはず無いモノ)

どうでも良い事を思い浮かべる私。

「そう言えば、マジックが を呼んでいたぞ」

思い出したように紡がれたサービスの言葉に、私はやっとこの空気から解放されることに安堵の気持ちになった。
別にサービスは嫌いな人間じゃないけれど…今日は何となく、一緒にいると余計なことを言いそうな気がしたから…。
だから私は、サービスとの会話を終らせるべく言葉を紡いだ。

「そう…分かった。マジック様の所に行けば良いのね」

同意してみて会話の終わりを告げる私に、サービスは意外そうな表情で口を開く。

「珍しいな…に話しなが有るなんて。どういった風の吹き回しなんだろうな」

サービスの言葉に、答えるべく言葉を紡ぐ私。

「どうせ見合いの話よ」

軽く紡いだ言葉は空気にとけ込んだ。
軽くそう言って流れてゆくはずの言葉。
喰い付く筈のない会話のはずだった。
でもサービスは、私の思惑を砕くように…その話題に喰いついてきたのだった。

「え?…それは…」

今まさに吸うはずであったろう煙草をサービスはポロリと落としそうになり慌てて、空中でキャッチした。
そんな余りにも普段お目にかかれないサービスの姿に、私は驚きで胸がいっぱいになった。

(以外ね…そう言った話題に興味無いと思ったのだけど)

とっても意外な気分になった私。
それ以上言わなければ、あやふやにして流せたかもしれない話題だったのに…。
もう1度サービスに同じ言葉を紡いでいた。

「…お見合いって言ったのよ」

軽い感じに言葉を紡ぐ。
まるで、「私買い物に行ってくるの」と言うような感じに私は言った。

「見合い?それまた急だな」

やっぱり驚いた表情を浮かべサービスは呟くように、言葉を口にしていた。
本当に驚いたのだろう。
未だに煙草の先には火を点けられずに、手持ちぐさに煙草をクルリと回していた。

(ああ成る程。同期でも全然色恋沙汰に無縁に近かった私への、見合い話が…サービスには以外でしか無かったんだ)

私は導かれた答えに、人知れず納得した。
だから私は、少し肩を竦めてみせて口を開いた。

「そんなに驚いた顔しないでよサービス。それに急って訳じゃないのよ…実際何回も見合いの話を持ってこられてるし…何せ良い歳してるでしょ私。別に良いって、言ってるのに…皆気を使いすぎなのよ」

苦笑混じりに紡いだ言葉は…意外なほど本心だった。
だから迷うことなく、ツラツラと言葉が流れ落ちていく感じだった。

“マジック様はそういった事を結構気になさる方みたいでね…可愛い弟の同期の娘さんが行かず後家にはしたくないみたいね”と呟くように、付け足して…苦笑混じりに私が言う。

「そんな事が有ったのか…知らなかった」

サービスは珍しくひどく驚いた顔をして私を見た。

(そんなに驚かなくても良いのに…)

苦笑を浮かべて、そう思う私。
それでも、何時も通りに私は言葉を紡ぎ出す。

「別に興味が無い訳じゃないのよ…寧ろ結婚とかには憧れるけど…。もう、そんな夢見がちでいれる程若くないでしょ」

自嘲気味になる言葉を、自分自身複雑な気分になりながらも…そう口に出していた。
そう言葉を紡げば、今日何度目か忘れたけど…珍しいサービスの反応が返ってきた。

「十分若いと思うぞ、

普段と変わること無いサービス独特の言い回しで、ポソリと言葉を落としたきた。
その口元には、しっかりと煙草が銜えられ…ちゃっかりと火が点けれ…紫煙がスーッと漂う。
その様子を眺めながら、普段聞けない言葉に私は眉を顰めて見せた。

(サービスが…お世辞?…お世辞言うキャラだったか?…う〜ん…)

考えれば考える程思いがけないサービスの言葉に私は、とてつもなく間抜けな表情を浮かべていた。

「サービスに気をつかわせちゃうなんて…まだまだね私」

何とか、サービスから受けた衝撃を回復させようと私は適当に言葉を紡ぎ…自分の中で冷静さを取り戻そうと試みた。
それは思いの外上手くいって…次に繋ぐ言葉を生み出してゆく。

…」

サービスは何かを言いかけていた、でも私はその次に出てくる言葉を無意識のうちに拒絶していた。だから私は、サービスの言葉を遮るように言葉を紡いでいた。

「じゃー。マジック様の所にでも行ってくるけど…サービス!煙草…程ほどにしなさいよ。体に悪いんだから」

そう言いながら、私はサービスの銜えていた煙草をスッと抜き取りアスファルトに投げ捨て、火をもみ消した。
そんな私の様子をボンヤリと目で追いながらも、サービスは静かな声で言葉を紡いできた。

…そう言えば…高松は…この事」

冷静に考えれば、サービスにしてみれば遠慮がちの声音だったのかもしれない。
でもこの時の私は気が付くはずもなく、黙ってサービスの言葉を受け取っていた。

「…知る訳無いじゃない。サービスだって知らなかったでしょ?それにわざわざ言わなくても良いことを言う何て普通は言わないもんじゃない?」

ポーカーフェイスと言うのだろうか、感情を読みとらせまいと私はなるべく興味なさそうに…サービスに答えを返す。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか…。
サービスは幼い子に言い聞かすような口調で私に言葉を返してきた。

「見合いは…言わなくても良い話ではないだろ?

「サービスやハーレムを始め、高松もジャンも…同期だし…決まるか決まらないか分からない、不確かな話を一々言うのも…ね」

苦し紛れに出た言葉は、案外もっともらしい言葉だった。

「だが…長い付き合いだろ」

サービスは納得いかないと言った表情だ。

「長い付き合いだからこそ、言えない事も有るんじゃない」

…それは…」

「な〜んてね、驚いた?ふふふ。今度からは、ちゃんと報告するよ」

私はそう言うや否や…サービスに何か言われる前に、私はサッサと屋上を後にしたのだった。





サービスと別れてすぐに、私はマジック様の所に行った。
マジック様のお話は、案の定の見合い話しだった。
見合い内容も、今までにないほどの好条件…容姿だって悪くは無い。
断る要素が見いだせなくて、面倒くささを感じたのも手伝って…珍しく断っていたお見合いに、顔だけでも出す条件で行くことになった。





見合いの当日。

指定された日に、指定された時間。
用意された服に身を包み、そこそこの化粧をして私はその場に居た。
自分の為に行われているはずの見合いの席なのに、何故か他人事のように感じてぼんやりと話を聞き流す。
差し割のない詰まらない内容が雑音の様に感じ始めた頃だった。
私と見合い相手の頭上に、サーッと影が出来る。

(何?…ボーイでも来たの?)

不意に出来た影に私はそんなことをボンヤリと思った。
その時だった。
バン。
大きな音が響き、水の入っていたコップや食器等が、カタカタと小さく音を立てた。
その音にハッとなって我に帰れば…私の真後ろから不意に伸びてきた手が、机を勢いよく叩いたのが目に入った。

(何なのよ…)

私は急に起きた出来事に、少し顔を顰める。
顰めたままの表情で、伸びた腕の方に目線を持ってゆくとココにいる筈のない人間が目に入る。

(え?何で…こんな所に居るのよ…)

私の驚きとは裏腹に、その人物は普段とは異なるまれに見る真面目な声音で、言葉を紡ぎ出していた。

「悪いですがね…彼女は君とはおつき合いする予定は今もこれからずっと先も入って無いんですよ」

響く声。
聞き慣れすぎた声が私の耳に入る。
まさしくソレは、マットサイエンティストことDr高松…高松の声だった。
珍しくスーツを着た高松が見合い相手に突然そう言ってのけていた。
呆然としたまま私は、高松を見上げていた。
見合い相手も、同じだったらしく…間抜けな顔で高松を見ていた。

「へ?」

素っ頓狂な声を上げて見合い相手は、高松と私を見比べていた。

スゴスゴと立ち去る見合い相手を去るのを見送った。

「サービスの差し金?」

見合い相手が居なくなった私は傍らに居る高松に短く尋ねる。
思い当たる人間として彼しか浮かばなかったからだ。
でも高松の様子は変わることなく、表情は伺えしれなかった。

「サービス?違いますよ」

白々しくて、何を考えているか分からない口調で高松はそう言った。

(私に何かに、普段敬語何て使わない癖に…嫌になちゃうわ)

「じゃ〜ハーレム?ってハーレムには言っていないし。ジャン?でもジャンがこんな事に気づけるとは思えないし…。ん〜何で、高松がこんな所に居るのよ」

顔を顰めて私は高松にそう言った。

「…」

でも高松は黙ったままで、口を開く気配を感じなかった。

「ガンマ団に見切りをつけて…新しいパトロンでも探しに来たの?スーツ…何て着こんで…普段より決めちゃって」

言葉を紡がない高松を良いことに、しげしげ高松の頭の先からつま先まで、眺めて私は思ったままを口にした。
私にそう言わせる程、高松の姿は実に決まっていた。
恐らく高いであろうスーツを嫌味なく着こなしている。

「何でそんな事しなくちゃいけないんです?まったくバカでしょ

(何よ…口を開いた途端、悪態なわけ?)

黙っているかと思いきや、不意に反論してきた高松に私は嫌味を含めて言葉を紡ぐ。

「そうねルーザー様の居たガンマ団と愛しのグンマ君が居るものね」

「そうゆは本気で見合いするつもりだったのか?」

私の言葉を否定せぬまま、高松はそう返してくる。

「本気ってね…高松には関係無いと思うけど」

キッパリスッパリ、切り捨てるように言葉を紡ぐ。

「関係が有ればその質問に答えてくれるのなら、関係ありですね」

実に意味不明な言葉が返ってきた。
私は、高松の真意を計りかね…聞き返していた。

「どういった関係よ」

「運命共同体て所ですかね。ああもしくは、公私共通のパートナーでしょ」

「グンマ様命な高松の言葉何て…冗談かからかってるだけだって知ってるから。ルーザー様の本当の息子のキンタロー君(?)にグンマ君取られて錯乱?ご乱心なんじゃ無いの?」

最上級の嫌味を入れて、私は言う。

「違いますよ。私は2人ともお慕いしているのです」

嫌味なんて全然効いてないみたいで、サラリと私の言葉を訂正しながら不敵に高松は微笑を浮かべる。
何となくその余裕じみた態度に、些かムカツク感じがしたけれど…そんな態度をするときっと相手の思うツボな気がしたから…平然とした態度。

「あっそ」

そっけなく答えながら、心の中では(知ってるけどね)とツッコミながら次に来る高松の言葉を待つ。

「それにしても……貴方は…興味が無い見合いを断ったりしないんです」

「興味は無いわけでは無いんだけどね…断り切れないつーのも有るけれど…興味は有るから…断れないんだろうね」

「何ですそのいい加減さは…」

“ヤレヤレ”とわざとらしく溜息をオプションに高松は、そう口にした。

「私だって一応女の子…子っていう年じゃ無いけど…女だからね〜。お嫁さんには憧れる訳なのよね。と…言うより結婚式とかに」

「馬鹿でしょ」

折角の言葉を高松の一言で一刀両断された私。

「馬鹿って言うな!!」

「馬鹿は馬鹿ですね。その調子じゃ〜まだ意味分かってないでしょ」

馬鹿馬鹿と言われたあげく、意味深な言葉を紡ぐ高松に私は心底イライラしながら言葉を返す。

「だから何?」

「本当に鈍いですね

フーッと溜息を吐きながら、高松はそう言う。
私は益々、真意の読めない高松の言葉にイライラを募らせた。

「鈍くて悪かったわね」

苛つきながら紡ぐ言葉。
高松はそんな私を呆れたように見かえしてくる。

「まぁ〜の鈍いのは今始まった事じゃ有りませんから」

そう言われた時、不意にバラバラになったピースが揃った気がした。

(ん?もしかして…うぬぼれても良いの?)

そう思った私は、少しだけ駆け引きに出るべく言葉を放つ。

「あのね高松」

「何です、?」

「普通は“付き合ってください”とか“好き”だとか“愛してる”とか言うもんじゃないの?」

(言った…。言ったぞ!!どうだ!!)

心の中は、大ヒート寸前の私。

(さぁどう出る高松?)

そう思い高松を伺えば、何時通りの高松が其処に居た。

「付き合う?今更でしょそんな相手を研究する期間何て…とっくの昔に済んでるでしょうに。それに何年らいの付き合いだと思っているんです?」

サラリと言い切る高松。
あまりにもアッサリ肯定された言葉に私は(何か色々考えすぎたのが馬鹿に思えてきたかも…)と心底思う。
だから気の抜けた声で、私は高松に言葉を返す羽目になった。

「確かに…色んな意味で付き合いは長いけど…」

「だったら答えを出す何て簡単な事でしょ。と言う訳何で、返事を聴かせてもらいましょうか?」

“サッサと言え”と言わんばかりのオーラーを出して、高松が言ってくる。
俺様モードの高松に、呆れる気持ちを抑えながら、私は言葉を紡いでいった。

「私の質問に答えたら私だって答えるけど」

そう言えば、高松が軽く肩を竦める。

(何かそんの仕草、ムカツクな〜)

思いながらも、言葉を待ってみれば…案の定な言葉が私の耳に入る。

「まったく我侭ですね

「どっちが我侭なのよ高松」

思わずすかさず言い返す私。
何だか不毛だ。
ギャーギャーと言い争うことしばらくして…。

「降参ですよ」

と不意に高松が声のトーンを落とした声音でそう言ってきた。

(何が降参よ)とか思いながら私は黙って高松を眺めた。
両手を態とらしく挙げてそう言う高松。
でも全然参った風を見せない辺りが、高松だなぁ〜としみじみ思った。

「まどろこしいの嫌いなんですよ…」

言いにくそうに、そう言淀む高松。

「何よ高松…普通は“結婚して下さい”とかビッシーと決めるもんじゃ無いの?」

ジト目で高松を見ながら言うけれど、高松は堪えた様子はない。

「この年で結婚式挙げろと?」

不機嫌そうに私の顔を見て高松は言い放つ。

(モノの例えなんだけどな…ようは…プロポーズは?って事なんだけど…)

何て思う私の気持ちなんて分からない高松は、相変わらずの調子で言い返してきた。

「それに結婚式なんて、お金がかかるだけですよ」

「ねぇ〜高松…甲斐性が無いって…思わない訳?」

呆れた調子でそう言うけれど、高松はケロリとした表情のままだった。

「別に気にしませんよ、安くつくんなら問題ないでしょう」

「やっぱり…私早まったかもしれない」

ボソリと呟く私の言葉に、こんな時だけ高松は目敏く(?)…聞きつけて返してくる。

「何言ってるんです?行かず後家にならなっかただけ、感謝して欲しいぐらいですよ」

「ふーん。じゃ〜私別な人とお見合いしようかな」

あまりにもムカツク言い方だったため、私はボソリと呟いた。

「な…」

私の言葉に珍しく高松は焦った声を上げた。

(おや?一応、気にはしてくれてる訳ね…ふふふふ…このネタは使えそうだわ)

心の中で思ったこと実行に移すべく、私は口を開いた。

「そうね〜ハーレムにでも求婚しようかな。私結構、お金有るし…旦那が賭博にはまってても全然平気だし…ヒモ持ちでも…」

「それだけは、許しません!!」

「別に関係ないんでしょ?」

「じゃ…サービスとか…あっ…そうだわ。マジック様と再婚しちゃおっかな〜♪」

悪戯子のような口調で私は高松にそう言う。

「式だろうが…何だろうが、やりたきゃ付き合ってあげますよ」

開き直ったように高松はそう言ってきた。

「言ったわね」

「ああ言いましたとも」

「二言は無いんでしょうね?」

「有りませんよ」

ムキになる高松の様子が、あんまりにも可笑しかったので…私は忍び笑いを漏らしながら、言葉を返した。

「嘘…良いわ、結婚式なんて。高松に求婚される方がレアだしね…今更でしょ」

「…そう思ってるんだったら、意味無い事しないで下さい…
心臓止りそうになりますから

小さく呟いた高松の言葉を、聞かなかった事にしてあげて…私は高松の手を取ってニヤリと不敵に笑った。

「公私共通のパートナー…なんでしょ、やっぱり止めたは許さないからね」

「其方こそ」

そう返して、高松は私の手を握りかえしてきた。


完全に変わらないモノは無くとも… 

変わりにくいものなら有るのかもしれない

そう想えた




約束通り、私は同期であるサービスはじめ…ジャン達に、事の報告をしに行った。
その時たまたま居合わせた、マジック様達に結局結婚式を挙げて貰うことに成るのは…少し後の話である。





END 

2003.10.20 From:koumi sunohara 


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