日記 | |
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人生は山有り、谷有り。
某時代劇のテーマ曲でも歌われているように。
人生楽ありゃ苦も有るさ・・・。
確にそうだよなぁ〜・・・と思わず納得してしまえる程。
その歌を頭に浮かべつつ、俺の人生とリンクさせて考えたりしていた。
丁度今は、「苦も有るさ」の苦の時期だったりする。
其処まで酷いモノでは無いが…問題発生していたりするもんだ…。
問題って何だよ?って。
まぁ些細な事なんだけど…俺にしたら大問題。
それは…。
家庭教師の仕事…というか、子供相手にロボット工学を教える事になったのだ。
こんなに時間かけた割にこんな事ってツッコムのは勘弁願いたい。
更に言わせて貰えば…「別に問題視するような事じゃ無いだろ?」って言うのも正しい反応だって俺だって知ってるさ。
そう思うのが常だろうが…。
でも悩む理由って言うのも有るわけなんだよコレがまた。
それは…。
何せ自分には嫁さんはおろか、現段階において彼女もいなければ、勿論子供何て居るはずもない。
要は子供との接点が無いに等しいのだ。
そんな俺が今向かわなければいけない問題は、子供相手にモノを教えるということ。
はっきり言って自信が無い。
子供に勉強など教えたのは、家庭教師のバイトで中学生やら高校生に教えた程度。
いずれも、人格形成もしっかりされていた連中ばかり。
小学生にもみたない子供相手は、俺の経験も無く不安なのだ。
今更ながら、引き受けて不味かたかな?と思うけど・・・。
あまりにも真っ直ぐな視線で俺を見て、頼んでくるグンマに・・・気が付けば俺は、承諾していた。
どんな経緯で有っても、俺はグンマの真っ直ぐな視線に抗うことは出来ないのだろうから…。
結局どうあがいても、過去は戻る訳でも・・・戻ったところで回避出来ないだろうから、(やるしか無いよな)と腹を決めるしかない。
(だよなぁ〜やるしか無いだろうな。約束しちまったしな。頑張るかね)
そう腹を決めた俺だけど・・・。
教えるにしても、グンマの気質も性格も、行動パターンに傾向もさっぱり分からない。
流石にこの情報不足で、どう教えるかを考える何て難しい。
第一予備校だって、対策練ってるからこそ教えれるだろ。
そう思えば思う程情報不足に頭が痛い。
ここは、グンマの保護者として動いている高松に、相談すれば早そうだが・・・。
ほぼ98%ぐらいの確率で・・・。
「グンマ様は、しっかりなさった良いお子さんです。流石はルーザー様の息子ですよ。私も鼻が高いですね」
などという、アドバイスにならない答えが返ってくるに違いない。
違いないと言うより、そうのだろう。
彼奴ならやりかねない。過去の経験から言って間違いないんだからさ。
そうなると、やはり堂々巡りで・・・良い案何て浮かんでくるはずも無い。
俺はどうしたものかなぁ〜と、途方にくれながら、研究室の窓を眺めた。
サワサワと入ってくる風の心地よさに、思わず俺は現実逃避しそうになる。
(いけね。思わず現実逃避に走ってしまうと事だぜ)
頭をフルフルと振りながら俺は、気分を変えようと机にのせてあった冷め切ったコーヒーに口を付けようと視線を向けると。
毎日付けている日記…というか研究日誌に目がいった。
(日誌か…まてよ。日記を書いて貰えれば…少しは何を考えてる子か分かるんじゃ…)
俺の中で閃く何か。
上手くゆく予感に従って、気が付けば俺は高松の研究所に電話をかけていた。
幾度かのコールの後、最近聴いたばかりの子供の声が俺の耳に入る。
俺は、その人物に声をかけた。
「もしもしグンマ君かい?」
控えめに声をかければ、酷く明るい声が俺の耳に入ってくる。
『はいグンマです。 先生ですか?』
「確かに俺は だけど…先生って言えるような凄いヤツじゃないから… で構わないよ」
ヤンワリとグンマ君の言葉にそう言えば、予想だにしない答えが彼から返される。
『でも先生は先生だもん。ボクは 先生って呼びたいんです』
教師冥利に尽きる言葉をくれちゃったりする。
だから思わず彼の"先生”発言に許可を出してしまう辺り、俺も高松の事を言える立場じゃないのかもしれない。
そんな事を思いながら、俺はグンマ君にお願い事を口にした。
俺の言葉を真剣に聞いてくれているのか、グンマ君は黙って俺の言葉に耳を傾けていた。
「それって難しいんですか?」
「いや難しい話じゃ無いよ。簡単に言えば今日出来事とか…グンマくんの好きな事とか好きなように書いて貰えれば良いんだよ」
「そんなんで良いんですか?」
「ああ簡単だろ?そうだ詳しくは高松に説明をしておくから、高松と変わってくれるかな?」
そう口にすれば、グンマ君は元気に返事を返し、保留ボタンも押さずに高松を呼びに何処かへ消えていったようだった。
俺は、呼んでくるだろう高松を受話器を持ったまま待つことにした。
ややしばらくして、高松が電話先に出てきた。
しかも来たそうそうに、何処か険しい声で言葉を紡いでくる。
『で… 。一体グンマ様に何をさせるつもりなんです?』
「そんな怖い声出すなよ。別にやましいこと何てないよ高松。俺ってそんなに信用無いわけ?」
苦笑混じりにそう口にすれば、受話機越しの高松が小さな溜息を漏らしながら言葉を紡いだ。
『まぁ の事ですから、変な事を提案したりする事は無いでしょうが…。念のためですよ…』
「信頼されてるんだか…されてないんだか…微妙だよなお前が言うとさ」
『おやおや。これでも、信用してるんですよ。唯一の常識人としてね』
高松の言葉に俺は、残り二人の同期の顔が思い浮かんだ。
それともう一人…サービスの双子の兄であるかなり飛んだハーレム…。
そう思うと…確かに俺は割と常識人なのだろう。
(俺も結構変わってると思うけどね…)
自分の考えに思わず苦笑を漏らしながら、俺は軽口を叩くように言葉を紡ぎ出す。
勿論高松が欲しているだろう答えを含めて。
「なぁ〜に。ただ単に、“日記を付けろ”と言っただけだ」
『日記ですか?そりゃまた突然ですね』
「どんな日記を書くかはグンマ次第って所だからな」
そう言った俺の意図に気が付いたのか、「ほぉ〜」と感心したように声を出してから高松は言葉を紡いだ。
『成程ね。グンマ様の人となりを知るには一番良いと… なりに考えたって所ですか。抜け目ないですね相も変わらず』
褒めてるのか、貶してるのか微妙な発言に俺は肩を竦めて言葉を紡ぐ。
「そりゃどうも。俺はお前の方が抜け目ないと思うけどね」
少しばかり呆れ声でそう嫌味を言っても、高松はさして気にする様子もなくすぐに言葉を返してくる。
『な〜ぁに単に肉体労働より頭脳労働が向いてるんですよ。坊ちゃん育ちなもんでね』
「つったく坊ちゃん育ちならサッサとサービスに借金返せよ。頭脳労働は…それはお互い様だろ」
『ハハハハ。流石ですねまったく、ツッコミにも磨きかかったんじゃ無いんですか ?』
「別に。昔とさして変わらないぞ。それより日記の件頼んだぜ同期の桜君」
『PCに添付ファイル付で送信しておきますよ 。これもグンマ様の為ですからね』
お決まりの科白を口にする高松に「じゃヨロシクな」と声をかけて電話を切り、俺は心おきなく仕事に勤しんだのだった。
それから数日。
俺は変わりない日常を過ごしていた。
隠居生活をしているとはいえ、生きるための仕事には抜かりはない。
仕事の合間に、メールをチェックしていると…高松によって、日記をスキャンしたものがパソコンに送られてきていた。
俺は、添付されたファイルを開き…画像が画面に出てくるのを待った。
待っている間だの俺は、ガラにも無く…少し緊張している気がする。
(なんと言うのだろう?初担任を持った教師が初めて宿題の採点してる気分かな?何だか、ドキドキするぞ)
そんな思いに駆られながら、俺は画面に目を走らせた。
鉛筆特有の、灰色に近い黒の文字が画面に躍り…。
所々にカラーペンや色鉛筆の鮮やかな色が、やけに目立つ。
パット見てもやはり子供特有の、ユニークな世界が画面に広がっていた。
(大人ぶっているけどやっぱり、まだまだ子供だな)
グンマの日記を読み返しながら、俺は率直にそう思った。
「さて、コレの御陰で大分分かってきたし。俺も真剣に頑張りますかね…先生業を」
誰に言うわけでも無く、俺はそう言うとグンマの日記に再度目を通したのだった。
俺の先生業は、まだまだ始まったばかりだ。
後にグンマが恨み辛みを書き綴った日記で、一波乱起きるとは…。
この時の俺には知るよしも無かった。
おわし
2004.6.3. From:Koumi Sunohara
★後書きと言う名の言い訳★ 大きな背中での さんの、裏話です。 久しぶりのパプワ夢UPで、実はかなり勘が鈍っておりまして…高松のキャラが可笑しいかな? 色々反省点は多々有りますけれど、書いていて楽しかったので良しとしよう。 相変わらずいい加減全開なお話でしたが、おつき合いただき有り難う御座いました。 これが、少しでも楽しんで頂けたなら嬉しい限りです。 |
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