二度有ることは三度有る?  




失敗は成功の元…

そんな事言ったヤツ…今すぐ俺の目の前に出てきてみろ!

三枚に卸してやる…。

(なーんて少し物騒だったかな?)

自分の中に生まれる少し物騒な考えに苦笑を浮かべる俺。
だけど冷静な自分とは裏腹に…物騒な思考を心の中に渦巻く。

そんな俺コト…は、そんな物騒な事を胸に抱きながら、とある問題集に目を向けていた。
ちなみに、今アホなコントとかで笑わせようとしたヤツが居たなら、蛸殴りにでもしていた所だろう。
まぁ〜そんな話は置いておいて…。


電卓検定やワープロ検定…そう言った検定って、自分が練習すればするほど打ち込みの成功率やスピードは少なからず上がっていく…。
だから、練習するほうもゲーム感覚で練習していけると俺は思う。
目に見える上達とは嬉しいものだから尚のこと。

だけど、ソレを行ってもサッパリ結果が出ないことも…悲しきかな存在する。
つーか今の現状がそうなんだけど。
何て言うのかね…その試験に連敗中なのですよ俺…現在進行形で。

ちなみに俺は、この試験3連敗中である。
しかも何の因果関係なのか…テストの点数が3回とも一緒。

なぁ〜これってどうよ?

少しは点数が上がるとか…下がるとか…(下がっちゃマズイけど…)何か、微弱でも変化が有っても良いんじゃない?とか思うわけだ。
それにしても見事に、点数が一緒なんて…何かの陰謀か?とか思わず思ってまう。

だってさ〜、テストの問題って何パターンも有って…3回とも違う問題をやっている…。
それで…コノ結果だから…俺は意味不明な事とか思ってしまうのも無理は無いと思う。



そんなテンションも下がり放題の俺のテンションを更に下げる言葉を言ってくれる素敵な友人が此処にいたりするんだよ…。
まぁ想像は付くと思うんだけどさ…。

「なぁ〜…何時まで遊んでるんだ?いい加減に受からないと、お金ばかりかかりますよ」

友人その一の高松がもっともな言葉を俺に言ってくる。
ちなみに、奴は一発で試験を通ってる強者…本人曰く「金が勿体ないから」との事。
俺はそんな倹約で曲者な高松に、顰め面で言葉を返す。

 
「うっさい…俺は好きで何度も落ちている訳じゃ無いんだよ」

頭を抱えながら俺は言えば、高松は相変わらず飄々とした表情のままで言葉を紡ぐ。

「そう言ったって、学生ほとんど受かってるですよ」

グルリと教室の人間を見わたしながら、高松は俺にいってくる。

(嫌味か?…それとも…気を一応使ってくれてるのか?)

そんな思いを掠めながらもも、俺は疲れ気味に言葉を紡ぐ。

「分かってるって」

高松に目もくれず俺は、参考書に目を向けながらそう短く答えた。
そんな俺の様子に溜息を吐きながら、高松は言葉を紡ぐ。

「だったらな、何時もの様にサクサク受かれば良いんですよ。ロボット工学者の卵なんですから」

身振り手振りにを加えつつ、言いつのる高松に俺は自嘲気味に言葉を紡ぐ。

「出来たら苦労しないだろ」

重苦しく吐く俺の言葉に高松も眉を寄せて「せやな」と短く返し、小さな溜息を吐きながら言葉を零す。


「何ででしょうね。落ちるにしても同じ点数って変な話ですね。まるでビデオの巻き戻しを見てるようですよ」

現実逃避したい本人よりも、何処か遠くを見つめる高松に俺は思わず声を上げていた。

「知るか!!知っていたらとっくに受かっているだろ!」

「そそうですね〜。鉛筆とか転がしとる訳じゃないですし」

俺のシャープペンを手で遊ばせながら、高松は眉間に皺を寄せながらそう言った。
そんな高松を見て俺は溜息混じりに言葉を返すべく、口を開いた。

「何でそんな事するんだよ。第一試験は、向こうで用意された鉛筆、消しゴム使用が原則ってお前も知ってるだろ?」

「だから、不思議なんです。勉強してない訳じゃない…むしろ勉強の鬼なんですがね」

「俺だって可笑しいと思うって。嗚呼…何で駄目なんだろう俺」

浮上しかけていた所に、一気に凹んだ俺は思わず机に突っ伏した。
そんでもって…嫌な空気を教室に漂わせる俺。
高松もそんな俺に、“どうしたものか?”と首を捻る。


そんな嫌な空気が漂う中、変化が訪れた。
ガラリとドアが開く。
思わず俺と高松は、開かれたドアに目を向けて…目を見張る。

其処には、後輩がが黙って立っていた。
俺は間抜け面で、後輩を眺める俺に…そいつは視線に気が付いたのかゆっくりと教室の中に入ってきた。

迷うことなく俺の所に来た後輩は、何時もの礼儀正しい姿を崩すことなく言葉を紡ぎ出してきた。

「今日和。先輩。お時間宜しいですか?」

やんわりと紡がれる言葉に俺は、思わず首を縦に振った。
そんな俺と後輩のやり取りに、入ってくることが出来なかった高松は少し不機嫌そうな声音で話しに乱入してきた。


「ああ高松先輩もいらしゃいましたか…それは失礼しました。それより先輩」

軽く高松をかわして再び俺に向き合う後輩に、流石の高松も黙るしか無かったのか…肩を竦めて傍観者と決め込んだ。
その高松の様子を確認した俺は、後輩に目を向けて口を開く。

「何だ?ちなみに俺は滅茶苦茶切羽詰まってるから、あまり相手をしてやれないが」

試験用のテキストを苦笑気味に示して、俺は後輩にやんわりと言えば…後輩もやんわり言葉を返してきた。

「大丈夫ですよ、すぐに終わりますから」

「そっか。で何だ?お前がわざわざ教室来るなんて珍しいじゃ無いか」

後輩は、高松の言葉に少し面倒臭そうに顔を顰めたが…手に持っていた紙の束を高松に示した。

「ほ〜過去問か…成程な…それで此処に来たちゅ〜ワケやな。しっかし…よ〜集めたな」

興味深そうに、後輩が持ってきた過去問を見て高松はそう言った。
俺も高松同様、示された過去問を覗き込む。

(本当によく集めたよな…。と言うより、俺の惨敗が後輩に伝わっているっているのもどうかと思うが…)

何て事を思いながら、真剣に過去問に目をやれば…後輩が待っていたと言う感じに言葉を紡いだ。

「おそらく先輩は、同じような問題で間違ってるんじゃないか…と思ったんで、過去の問題を探して苦手そうな所を選んでみたんですが…やっぱり要りませんか?出過ぎた真似かなと思ったんですが…。第一俺は受けていないので、信憑性は薄いかもしれないんですけどね」

苦笑を浮かべて、言う後輩に俺は首を横に振りながら言葉を紡いだ。

「うんにゃ。有り難う、助かるよ」

いつの間にか高松が手にしていた過去問を、高松から受け取りながら俺は後輩に礼の言葉を述べる。
そう返せば普段滅多に笑わない後輩が、柔らかく微笑を浮かべた。

「そう言って貰えると、俺としても嬉しい限りですよ」

「いやいや本当に有り難うな。頑張るよ」

「それでは、俺は渡すのもも渡しましたし…訓練も有りますので失礼しますね先輩」

最後まで礼儀正しくお辞儀をしながら、後輩はそう言って俺達の前から去っていった。
その後を高松も…「では、研究がありますから」と言って、慌てたように鞄を掴んだ。

「私が居なくても…頑張るんですよ。他の連中も口いいませんが、の事を応援してますからね」

ポンポンと人の頭を軽く叩きながら、高松はそう言って部活に向かっていった。
俺は少しムッとしたが、高松の言わんとしてることも分かるので取りあえず黙って高松の背中を見送った。

高松や後輩が居なくなった教室で一人俺は、問題集と睨めっこしていた。
そして…。

(此処が正念場なんだろうな〜頑張らないといけないだろ)

後輩がくれた問題集と周りの応援に応える為に、俺はもう一頑張りする事にした。
四度目の正直を目指して…。


おわし


2012.2.2. From:Koumi Sunohara

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