桜 散 る

此処は、荒れくれた大地。火薬と…土埃と…血の混じるにおいの漂う場所。
そう…戦場の跡地。
其処に、ガンマ団総帥の弟であるハーレムは其処に居た。

無論そんな場所に居ると言うことは、彼がこの戦地にかり出された人物であり…この荒れくれた現状を生み出した人物であるのは…容易に想像の付く範囲なのだと想像出来ることだ。


彼がこの地に来たのは、ガンマ団士官学校の桜の樹が咲き始めた頃だった。
それから数週間、鎮圧と残党狩りなどを淡々とハーレムはこなした。
御陰で、通常の人間が戦場に出るよりも早い終結を向かえることが出来た。

だが彼にしてみれば、時間をくいすぎた。

(流石に…桜の花は散っちまっただろうな)

不意に空を仰いでハーレムは思った。
あの日あの時の約束は…やはり果たされなかった。

「んで…花見何時にするよ?」

そう言ってさも当然そうに言った、会ったばかりの士官学生のの言葉が…戦場の跡地の無情さに漏れるのは溜め息ばかり。

(思いのほか時間がくっちまったなもんな)

らしくない後悔の念に、ハーレムは何もない空を再度見上げる。

「もしも…今回の桜が駄目でもさ…次とかその次とか、見れば良いんだよ。まぁ同じ桜じゃ無いけど、出来るときにすれば良いさ」

さも当然にそう言い切ったその言葉がハーレムの頭に響く。

(出来るときに…するか…。本当に変わったヤツだったよな。まぁしばらく、彼奴も士官学生やるワケだし…その内彼奴の言うように出来るときにする花見とやらを楽しませてもらうとするかね)

砂塵の舞い降る戦場の跡地でハーレムそんな風に思った。
この地から離れている、友人と呼べるか不思議な存在に…。



おわし



2005.8.13. From:Koumi Sunohara


★後書き+言い訳★
花華10のお題よりパプワ/ミドルズシリーズ夢駄文。
桜狩りの続きって所です。そして小話ですね。
取りあえず次ぐらいで桜狩りの小話は完結予定です…あくまで予定ですが。
2005.7.6.web拍手掲載していたものです。
楽しんで頂ければ幸いです。


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