- 開幕 - |
動き出す歯車 |
気づいていますか?
貴方は私を利用していると嘆くけれど。
私もまた貴方という存在を利用している事実に。
気づいていますか?
それとも気づかないふりをしてくれているのですか?
だけれどきっと高松君は、その事実に気がついていないのでしょう。
だって…貴方は罪深いと言う。
裁かれるべき存在だと言いたげな顔で、私を見る。
その度に私の中の罪悪感も貴方が罪悪感に囚われている様に囚われているのに。それでも気がつかないのですね。
だけれど…不意に思う。
全てを知っていて…尚かつ素知らぬ顔で手を貸すのと、何も告げること無く…他者を利用する事は…どちらが罪でしょう。
私には大して変わらない事だと思います。
罪深いと言うのならば私も罪深い存在なのです。
悪人が悪人の様な表情をしていない様に、私もまた…そう言われる人たちと同じなのでしょう。
新しい何かを始める時、また新しい何かが起きる時…必ず、ささいだろうが、大規模だろうがアクションが有る。
それは本当に偶然だった。
子供を欲しい私と彼の人の囚われない子供が欲しい貴方に出会ったのは…。
「高松君が青の一族の一人…ルーザー様に傾倒している」
その事を知っていた私は、何食わぬ顔で…高松君に声をかけた。
何故なら私は、一人の年のとらない不思議な人から高松君やその周りの人達のことを聞いていたから。
その人は黒髪に黒い瞳…日本人だと言われる私と同じ様な色合いを持った人。私が日本人であると言うことも教えてくれた人。
名前もその人から貰った。
今の私という地位も彼から与えられた知識の影響が大きい。
だからその人から貰ったモノは、私という人物を形成する全てと言っても良いと思う。
でもこれは秘密の事。
私の子供にも…誰にも語ること無い真実。
全てを知り尽くしていながらソレを口にしない私は、何時か神様に裁かれるかもしれない。
それでも…蒼に囚われている高松君を放っておけないのは…育ててくれたあの人が大事にしていた人と言うことも多いのかも知れない。
寧ろ私は紅に囚われている節があるかもしれないけれど…。
だけど私もまた、何かのきっかけが欲しかったのだ。
貴方は蒼の囚われ人…。私はその鎖を斬ることはけして出来ない。これは変える事の出来ない事実。
だけどね。
私が出来なくとも。まだ見ぬ私の子供なら、何時かきっと高松君を救ってくれるはずだと思っているの。
親愛なるルーザー氏の愛し子と言うのも有るだろうけれど、そうでは無く…ふつうだと言う…子供がね奇跡だって起こせるのかも知れないのだから。
子供は未知の可能性を秘めて居るのだから。
だからこそ私は願う。
どうか愛する者達は見逃してください
この身に災いが降りかかるとしても
命を落とすことになろうとも
この身一つで済むと言うならば
神様どうか私の最初で最後のわがままを聞き入れて
切に願いますから
破滅へ進むのか…はたまた…希望への始まりか…。
今はまだ分からないけれど。
見えない明日と言う歯車は周り始めたのだから。
おわし
2005.5.2. From:Koumi Sunohara
★後書き+言い訳★ ちょうど蒼の囚われの1ないし2辺りの彼女の胸の内です。 まだまだ明るい内容とは言い難いですが、楽しんで頂けたなら幸いです。 それではおつきあい頂有り難う御座いました。 |
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