毒蛇とマムシの華麗なる戦い
巻き込まれた他者(3)
恐ろしい魔王の御前に出された生け贄の如く、藤代はビクビクしながらを見た。
「で…さん…何でこんなに険悪なのかな…」
早くこの場から解放されるべく… 藤代は引きつった顔で、に尋ねた。
「そうそう。ソレを聞いて欲しかったのよvv聞いてくれる藤代君」
拒否権無いよといわんばかりの、の口調に藤代はビビル。
「も…勿論…」
恐ろしさのあまり…即答の藤代。
「あのね…茂ったら、私のこと愛してないのよ〜!!…私はこんなに愛してるのに」
「話…ぶっ飛んで良く解らないんですけど…何で間宮が、さんの事愛してないになるかサッパリなんだけどな」
まったくもってその通りのことを、藤代は言う。
「んーっ。突然なんだけどさ…私、獣医希望な訳ね。コレも茂の愛故なんけど…だって茂って爬虫類大好きだし…専門医が必要でしょソレでvv…あらイケナイ…話しが飛んだわね。で…素晴らしい獣医になるべく、茂のペットの生態調査させてって言ったのに…断るのよ〜!!信じられる?私の愛を無下にするのよ〜!!愛が無いと思わない?」
マシンガントークもビックリなの力説。
藤代は一瞬固まる。
「…よく解らないけど…ようするに。ペットの身体検査を間宮が拒否すると?」
かみ砕いて藤代は聞き返す。
「そうなのよ」
拳をフルフルとさせて、力説する。
それに相反して間宮は、顔面蒼白である。
「何だそんくらい…。間宮何で、拒否すんの?」
藤代は、納得して間宮に尋ねる。
間宮はノロノロと藤代を見る。
そして…重い口を開く。
「健康診断に…ペットの皮膚のサンプルをとる奴を…お前は知ってるか…藤代」
(な…何!?皮膚のサンプル〜ッ)
衝撃発言に藤代は固まる。
「それに…生きたまま…生爪を剥ぐ…医者をお前は…信用出来るか?」
だが間宮は淡々と続ける。
パクパク。
間宮の衝撃発言に、藤代は口を金魚のように開け声にならない声を出す。
「何よ茂ったら〜、大丈夫死んでないから良いじゃないの。それに、生えてくるしv」
はそんな間宮に、笑顔でそんな事を口にする。
((そう言う問題じゃねー))
またまた間宮と藤代の声がハモル。
「…さん…それは…やりすぎでない?」
藤代は、怖ず怖ずとに言う。
声なんてどもっている。
「問題無し。第一、サンプル取るのも勉強のうちでしょ。何せ、茂のペットって希少価値高いのばっ
かりだからね…研究サンプル無いし…それに、大半私が茂のために汗水垂らして…時にはジャングルに入って…税関脅して…捕ってきた奴だから…いくない?」
は可愛らしく微笑みながら藤代に同意を求める。
「まぁ〜…さんが…間宮に差し出した献上品…だけどさ…生爪はぐのは…」
冷や汗ダラダラで、藤代はそう呟くのがやっとだった。
「…私の茂への愛が足りないのかしら…」
藤代の言葉など何処へやら、は突然意味不明に呟き出す。
(聞いておいて無視かい?)
に衝撃を感じる藤代。
(でも…いいや…俺の身さへ無事なら…)
だがすぐに身への保身を優先する藤代であった。
はターゲットを再び間宮に変える。
「どうしたら…私の愛が伝わるのかしら?そうだ、邪魔な奴抹殺してあげようか?ね〜茂」
かなり目がマジな。
間宮は自分に再び振られ、顔が引きつる。
「いや…殺さんでも…」
かなり焦る間宮。
なら本気で、抹殺しそうだからだ。
「えーっ遠慮しなくても良いわよv茂」
間宮の言葉が遠慮だと思ったのか、はすぐにそう言った。
「じゃ〜さ、また珍種のトカゲ捕ってくるから…ペット診察しても良いよねvv私ってばふっとぱら」
ウインク1つして、は間宮にそう言った。
「…帰りたい」
ボソリ。
間宮はそう呟く。
途端にの形相がみるみる変わる。
「茂…逃げたら…茂刺して、私も死んであげるからね♪つーか逃がさないけど」
「…」
の問題発言に、間宮は魂が抜けたように…ただ頷くしかなかった。
(逆らった…もうヤバイ…)
武蔵森きっての…ボランチのマムシもこの史上最強の彼女には、お手上げだった。
間宮の頷く姿をは満足そうに見て微笑む。
ガシ。
勢いよく間宮をは掴む。
「さー…寮へ行きましょうねvv」
そう言葉を放ち、は引きづり始める。
ズルズルズル。
その様子を取り残された藤代が、呆然と見る。
「間宮も…苦労してるんだな…と言うより…さんって最強だよな〜…逆らわなくて良かったよマジで」
藤代は魂の抜けて、に引きずられていく間宮を見て心の底からそう思った。
そして自分がどれだけ幸せなのかを、噛みしめたのは言うまでもないであろう。
END
2001.11.9 From:koumi sunohara