Viper girl

〜間宮君が、美しいもの嫌いなワケ〜


ここは、東京選抜の練習場。
練習も終わって皆、雑談に花を咲かせていた。
話をしている中心には、武蔵森1のゲーマである藤代誠二が場を盛り上げていた。

「でさ〜あの格ゲーが結構、ハマルんだよね♪」

ゲーム仲間の若菜結人に、熱く語る藤代。

「それも良いけどさ、つい最近でた新作のRPGもなかなか、面白いぜ(>_<)」

周りの者達も、興味津々に話に耳を傾けている。
実に、和気藹々としていた。

そこに…。

「何だよ〜、藤代ゲームの話ばっかりしてよ〜。やっぱ、お子様だな(^_^)/」

「何だ…鳴海か」

「何だはね〜だろ、藤代」

「だって、鳴海ゲームの話に興味ないじゃん…」

「か〜っ、だからお子様なんだよ藤代」

呆れた様に、鳴海は藤代達を見た。
そこに、若菜が鳴海と藤代の間に入る。

「良いじゃん!ゲーム好き何だからさ、大体鳴海に言われる筋合い無いよな〜藤代」

「「な〜」」

「何だよ鳴海、お前の方こそ大人げ無いじゃん(-.-)」

マシンガントークの椎名翼が、ピシャリと鳴海に言い切った。

「何だと、てめ〜っ、こそ…全然お子ちゃまじゃね〜か」

ふん。
 鼻息荒く、鳴海は椎名に反論する。

「ふん。何言ってんの?そう言う態度が大人気無いって、言ってるんだけどね。そんな常識的な事すら分別つかない訳?サル以下なんじゃない」

「うっ…。何だよ、彼女の一人も居ないくせに…」

「彼女いれば、良いってもんじゃないでしょ」

ギャラリーもごもっともと、頷く。
 そこでようやく、話の中止にいた藤代が口を開いた。

「ふーん、鳴海の言うことを考えると…ウチの間宮て…凄いんだな〜(-_-;)」

 突然藤代が、爆弾発言を放った。

「「「まっ…間宮!?」」」

椎名、鳴海、両名以外の人間も驚きのあまり声をあげた。

((間宮って…あの間宮…パックンフラワー似の!?嘘だろ?)))

さらに、とても失礼極まりない事を思っているのである。

「そんなに…驚かなくても…m(__)m」

皆の驚きに藤代は、おもわず呟いた。

「間宮って、あの間宮でしょ?驚くなと言う方が難しいんじゃない?」

「だって、マムシの間宮だよ…まー、藤代経由の話じゃ信んじれって言うのが、難しいものがあるしな」

椎名と、鳴海がほぼ同時にそう言った。
ションボリと藤代は尋ねた。

「俺って…信用無い訳?」

「「いや…ギャグぽいだけだ」」

 藤代の質問に、一同は即答。

「そっれって…やっぱ信用無いってことじゃんm(__)m」

 “いじいじ”と土を弄る藤代。

「じゃ〜、キャプテンに確かめれば良いじゃん…キャプテンも知ってるんだし…」

藤代は武蔵森守護神である、キャプテン渋沢の名をあげる。

「解ったって…信じる。こんな事で渋沢呼んだら…後々厄介だし…後から確認すれば問題ないしね」

椎名はサラリと言い放つ。
その言葉に、藤代はまたまた沈み混むのであった。
藤代の回復を待っていたが…回復しなかったので…。
間宮を捕まえて、その話を聞き出した。




ことの起こりは、中学1年のある日。
間宮は相変わらず、マムシと呼ばれていた。
そんな間宮にわざわざ近寄った来る者等は、少ない。

「し〜げ〜る〜vvvvvv」

 語尾にハートマークを付けて、1人の女子生徒が間宮に抱きつく。

…重い」

 間宮は少し嫌そうな顔をして、幼なじみの少女を見返した。

「も〜っ、折角茂への愛を表現してるのに〜つれないわ」

「そんなモン要らん」

「茂ったら、照れ屋ね♪」

 まったくお構いなしなである。
これが、マムシと謳われる間宮茂の日常生活の一部であった。
 
周りのギャラりーは、何故がここまで間宮にこだわる理由がわからず首を傾げるばかり。
ついには、武蔵森7不思議の1つだと言われるほどだ。

何故ココまで大袈裟かと言うと…。
お約束といちゃなんだが、は美少女。
頭も運動もそこそこ出来る。

そんな彼女がマムシの間宮LOVEなのが信じられないからだ。




間宮がある日、と賭をした。
今の状態を打開するためである。
内容は次の様なことである。

…もしも俺の欲しいモノを取ってこれたら…お前の好きにするが良い」

苦肉の策で間宮がそう言った。
勿論は大喜びで承諾した。

「言ったわねv必ずもってくるからvvvvvそしたら、茂は私のモノになってねvvvvv」

そう言い残すと、は颯爽とその場から消えた。

が居なくなってから…しばらくしたある日。




「茂〜っvvvvv」

 武蔵森のサッカーグラウンドに、間宮を呼ぶ声が聞こえる。
しかも、『間宮』では無く、ファーストネームの方の『茂』と呼んでいる。
 部員達は、訝しそうに声の方を見つめた。
((誰だよ…間宮を呼んでる奴?))などと、思いながら。
 当の間宮は、我関せずと言わんばかりに無視を決めこんでいた。

「も〜茂!!茂〜っ」

 声をかけていた人物は、苛立ち気味に叫ぶ。
そこで、部員達一同はその人物が誰であるか気が付いた。

((ちゃん(さん)!?))

 そう、間宮にとんでもない約束を取り付けて、しばらく学校に顔を出さなかったが仁王立ちしていたのだ。

((何か、凄く日に焼けてるし…傷だらけなんだけど…何してきたんだ?))

 の風貌を、部員達が訝しげに見つめた。

「茂〜っ、帰ってきたわよん♪」

 ニッコリと、微笑み間宮に近づく

「…」

 その声に、間宮は心底イヤそうな顔になった。

「…帰ってきたのか…」

 ボソりと、遠くに目を向けて間宮は呟いた。

「何よ、もっと嬉しそうにしなさいよ茂。今日から、茂のハニーになる私のお帰りなんだからvvvvvv」

 その言葉に固まる間宮。

「と…と言うことは…」

「ホーッホホホホホホホ〜。当たり前じゃない!私に、不可能は無いわ。むしろ言うなら、茂を私のモノにするなら…冬眠あけのクマ…いいえ…地球外生命体だって、倒してみせるわよ」

 心の底から嬉しそうに、が笑う。

「いや…別に、そこまで頼んでない…」

 ゲンナリと間宮は、を見返した。

「遠慮しないで、私なら全然構わないから」

 間宮の言葉を気にも止めず、ニッコリと満面の笑顔では答えた。

(…観点が…ズレテイル…)

 少し、疲れを感じずにはいられない間宮。
まったくもって、話がかみ合っていない。

「それより…ちゃんと、約束通り連れて帰って来たんだからみてよねv」

 は持っていた籠を、ズイッと間宮に差し出した。

「…」

 “しげしげ”と籠の中身を吟味している間宮。

「確かに…俺が欲しいと言った…約束のトカゲだな…」

 ボソリと間宮はかねてよりの疑問を口にした。

「しかし、良く税関通れたな…」

(通れないと思って…言ったはずなのに…な)

「ホホホホホ、私に不可能はなくってよ」

「…」

 高笑いのに嫌な予感を感じる間宮。

「ちょっと、ばかり痛い目見て貰っただけよv殺して無いもの♪」

 笑顔全開で、はとんでもないことを口走った。

(可哀想にな…税関の役人)

間宮はまだ見ぬ、税関の役人に哀れみをむける。
かぐや姫並に、が持ってこれない物を選択したはずなのに…と間宮は、ふと思った。

が…地球外生命体を頼んだ所で、天下無敵のこのは持ってきそうだと…心の底から思うのである。

「お前は、俺よりしつこいな…」

 諦めたように、間宮がを見る。

「当たり前でしょ!マムシの妻となる女をなめて貰っては困るわね♪」

チィチィチ〜。
そんな言葉を言いながら、は高らかに言い放つ。

「茂がマムシなら、私はマングースかしら?…マムシを絶対逃がさないもの」

美しい微笑を浮かべ、間宮に微笑む
メデューさも腰を抜かすような、絶対零度の微笑みであったと…傍観していた部員達の間で広がったという。

「私が、こんなに愛してるんだからv茂は世界一幸せ者よvvvvv茂のためなら、邪魔な者は全部破壊してあげるから…安心してねv」 

 とんでもない事を口走りながら、は間宮の腕をしっかりと掴んだ。

「骨の髄まで、私のものよ…だから茂は絶対離したりしないから…そこんとこ宜しくねvvvvvvv」

(マングースなら…可愛い物だが……貴様はViperだろう…というよりも、悪魔だ)

間宮は、心底そう思った。
この先から、逃れられないそんな運命を感じながら。




Viperすなわち…『毒蛇』

ジワジワと、相手を苦しめる

マムシよりも、質が悪い


 この先も、間宮の受難の日々は続きそうである。
 そして、完全無敵のViper Girlの幸せな薔薇色の日々が始まった。



((おまけ))

「間宮…お前も…大変なんだな〜」

話を聞いた一同はそう、口にした。
そして、間宮が嫌いなモノ…“美しいモノ”の意味を…この日始めて刻んだのであった。

END

2001.8.31 From:koumi sunohara


☆後書きと言う名の言い訳☆
ついにやってしまいました、間宮ドリーム。
と言うより…最強ヒロインドリームin間宮(?)
間宮ファンには、ドリームだと認められないかも。
しかも、このヒロインちゃんと間宮でシリーズ書こかと考え中。
反応みてから…でも書くかも。
こんなドリーム読んでくださって有り難うございました。


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