笑う門には福来たる

笑っていればきっと良いことがあるよ。
だから笑うって大事だね。
そんな言葉を諺で…。

【笑う門には福来たる】

そう言うそうだ。
私、 には、無縁な話し。
笑うコトを忘れた私には、福なんて来ない。
だって、笑えないのだから。


否、笑う事を忘れたから。
心からの笑顔が、出せないだけじゃなくて、表面上の笑顔すら、自由に出せない。
好きで、こうなったわけじゃないけど。
でも、仕方がないコトだから。
私は、気にするコトを止めた。
それでも周りは、気になるらしい。
「きっかけは、何?」て尋ねられる。


そんな事は、良くある事で、答えることすら面倒くさい。
だから、大抵は無視を決め込む。
初めのうちは、面白がって粘る人も居るけれど、しばらくすると飽きて居なくなる。
そんな事の繰り返し。


しまいに私は、??能面の?≠ニ周りに呼ばれている。

(私だって、笑いたいけどね)

聞く度に、思う。
こうなった、原因を知っている友達は、私の分までその者に、怒っている。

「人は、飽きやすいから…。人の噂も75日ていうでしょう?」

何度となく、そうやって友人を宥めることも、習慣になりつつある。
何時ものコトだから、気にしない。
ふと、思うコトがある。

“ヒトノココロハ、ソウシテ、マヒシテ、ユクノダネ”

私が、そうだからね。
笑え無いことに、慣れてしまっているのだから。
何時からだろうか?たまーに、想い出すように浮かび上がる。
それは、思い起こすこと2年ぐらい前の話。
小学校5年生か、6年生ぐらいにさかのぼる。

「お前何時も、笑ってるよな」

意地悪な、笑いを浮かべる…名すら思い出せない“少年”。

「お前が、笑うと不幸になるんだよ!だから、笑うな」

はっきりと、言われた“その言葉”は、私に大きな傷を付けた。
幼い戯言だと笑い飛ばす事が出来たら、どんなに楽だろう。
けれど、私にはそうは思えなかった。
心の中で、『冗談だと』、笑い飛ばすけど…やっぱり、私の中ではそう思うことが出来なくて。
追い打ちを、かけるように、毎日出会うたびに言われる。

ビデオテープを何度も何度も繰り返す様に。
すり込みの様に繰り返される言葉は、気が付けば私の心の中に染みこんでいった。

「笑うな…」


『笑うな、笑うな、笑うな』頭の中で、グルグル回る言葉。
暗示のように、耳を塞いでも響く言葉で、頭に残る。

(笑わなければ、また仲良くしてくれるの?)

考えが、そっちに移動するのに、時間はかからなかった。

(なら、私は笑わないよ)

笑わない、私の生活が始まる。
1ヶ月〜2ヶ月ぐらい、たったころ。
聞いてはならない、言葉を聞いた。

「本当に、面白れ〜の!本当に俺の言った事真に受けて笑わね〜の」

クスクス。
耳障りな声。

「馬鹿な奴だよな〜」

(どんな、想いで“笑わない私”を演じたと?…)

この時初めて、憎悪を抱いた。

(何で私がココまで苦しむの?)

私は沈む。
闇の中に。
心を閉ざして。
そして、私は完全に笑うことを止めた。
止めたは、適切じゃないかもしれない…“忘れた”のだから。


それは、逃げだったのかもしれない。
そうしないと、私自信が壊れてしまうから。
小学生の私が無意識に、やってのけたこと。

(これは、自己防衛機能てヤツなのかな?)

これは、今の今に至ること。
私立の中学に、今に至っても。




今までの最高記録を更新させている、者に頭が痛い。
強豪武蔵森サッカー部の1軍にして、エースストライカーの藤代誠二という者。
クラスが、違うのにこの頃良く出会う。
初めて、会ったときから彼は「ねーなんで、笑わないの?」と尋ねてくる。
しまいには、口癖のように、遭遇するたび藤代君に言われる科白となっていた。

ちゃんvv、今日こそは、教えてくれるよねv」

私は、何時ものように黙りを決め込む。
大抵の場合は、諦めてくれるのに、この藤代君は諦めるどころか、毎日のように現れる。
そして、犬の子のように、無邪気に尋ねる。

「ねーね!何で何で?」

(困ったな〜、どうしたら良いのだろうか?)

ここまで、無邪気な人間に冷たくするのは、いくら私だって気が引けるわけで、大変困る。
笑えないだけであって、一応人らしい感情は、持ち合わせているから。
思いついた苦肉の策。

「それは…秘密です」

無表情で口元に指を置き、そう言うと藤代君は、呆然としていった。

(まー、コレを無表情でやられてたら、固まるよね)

心の中で、そう思いながら私は藤代君の側を離れた。

(傷付けたくないんだよ、君は結構気にっているから)

『キミハ、ドウシテ、ワラエルノカナ?』

そんな、疑問から君が気になっている。
不思議な人だと、思う。
何時も、笑顔を絶やさない。
それでいて、元気で、真っ直ぐ。
私には、無いモノばかり持っている。
羨まと、思う。
無いモノを、持っているから。
懐かしくも、思う。
でも、嫉妬という感情よりより、不思議な人だと感じる。

(この気持ちは、好きというものなのかな?)

心の中で、尋ねる。
答えなんて、返ってくるはずないのに。
【笑う門には、福来る】…彼に、良く合ってはまるとつくづく思う。
そんな、コトを考えて“ボーッ”とグランドを見ると、藤代君が練習していた。

「真剣な顔も、するんだね〜」

普段見せてる、戯けた表情や、無邪気な顔ではない、真剣で…何処か、楽しそうな顔。

(本当に、サッカーが好きなんだな〜)

毎日見ている、藤代君の違った一面を、見て何だか嬉しい。
良い気分で、見ていたら、私にとっての不協和音が聞こえてきた。

「へ〜ここが、武蔵森?ふ〜ん」

嫌な耳障りな声。
聞き間違うわけがない。

(彼奴だ)

直感で、そう思った。

(しかし、何故彼奴が?)

思い当たるふしを、探す私。
キワードは…。

『武蔵森』

『サッカー場』

『彼奴の部活は…』

(不味い…彼奴は、危険だ…今の私に…折角暗闇から出れそうなのに…。そして…自分の過去を知られたくない)

私は、どうにかして追い払う方法を考えていた。

(藤代君達に、迷惑をかけたくない…)

おもいいきって、私は声をかける。

「あの、部外者は立ち入り禁止です。しかも、他校生ですよね」

疑問系では、無く肯定系で言い放つ。

「あ?…お前、じゃね〜か」

嫌な笑いを、浮かべて“彼奴”が振り返る。

(気安く呼ぶな)

心の中では私はそう毒づくが、それは言葉として出されることは無かった。
私は、眉一つ動かさないで、見据える。

「もう一度、言います“部外者は立ち入り禁止です”…それとも、貴方の耳は飾りですか?武蔵森サッカー部は、“部外者は立ち入り禁止です”」

「お前、武蔵森だったんだな〜」

「それが、何か?」

事務的な、受け答え。
手を捕まれる。

(触れて欲しくない!!触るな!!)

強い嫌悪感だけが、私を占める。
ひゅ〜。
ボス。
鈍い音が、至近距離で聞こえる。
顔を上げてみる。

「そんなのも、避けられないいじゃ〜、大したこと無いね♪」

嫌みたっぷり、の藤代君の声。

「藤代君…」

藤代君は、私の腕を引き、側に寄せる。

「気安く、“”を呼び捨てにしないでもらえるかな?」

「お前こそ、その笑わない女のなんわけ?」

悪戯をする、子供の顔の藤代君。

(ほー、そんな顔もするのね〜)

思わず、感心する私。

「俺?つーか、お前に関係ないじゃん♪俺と、 の事なんだし♪」

自信満々に、藤代君。

「何だと〜!!」

完全に、切れてる“彼奴”。
そいつを、無視して私は小声で尋ねた。

「どうして、助けてくれたの?」

小声で、藤代君が呟くように言った。

「何か、ちゃんが見えて、声かけようとしたら、彼奴が気安く名前呼び捨てにしてて、…慌てて来たんだ」

少し、照れている藤代君。

「こんな時に、言うの卑怯だと思うけど…ちゃんが好きなんだ」

戸惑いながら、私は答える。

「私は…、嫌いじゃないよ」

(この、気持ちを何て言うのか分からないけど…)

「そっか、滅茶苦茶嬉しいvvvv」

“ぎゅっ”と私を抱きしめる藤代君。

(ああ、何て心が穏やかになるのだろう)

腕の中で、私はそう思った。

(これが、幸せなのかな)

しみじみ、思う。
私達の様子を、見て呆然とする“彼奴”を、私は見据えた。

「…そんなに、私とこの人の関係が知りたいの?」

(見て、分からないかな?)

“彼奴”の返事を待たずに、私は藤代君の唇にかすめ取るような、キスをした。


「貴方は、私の笑顔を見ると不幸になるのよね?」


そう言った。
だって、今私はきっと満面な笑顔だから。


「そうそう、だからさっさと消えて欲しいだよね♪」


“彼奴”は、取り巻きを連れて、悔しそうに去っていった。

「あのね、藤代君…私、笑わないじゃなくて、笑えなっかたの」

「いいよ、別に♪」

「?だって、聞いてたでしょう?」

「それは、の笑顔を見たかったからvvv」

破顔して、藤代君は言い切る。

「今はね、の笑顔がみれてから満足だし!俺の彼女になったから!聞かなくても良いのだ♪」

その口調は、本当に楽しそうで。
私まで、幸せになる。
本当に貴方は、【笑う門には、福来る】がピッタリだと、思う。

「じゃー、この笑顔は藤代君の御陰ねv」

「勿論!だって俺、の事大好きだから」


全撤解。

【笑う門には、福来たる】

笑えた途端、福が本当に来たから。
コレは、本当にその通りだと思う。
だって、私は幸せですから。



2001.4.13. From:Koumi Sunohara


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