キリ番リク夢駄文(2929HIT黒竜様に捧ぐ)
ココは、武蔵森学園中等部サッカー部は何時ものごとく活気に溢れていた。
朝っぱらだというのにフェンス越しから、一軍メンバーに黄色い声援が飛び交っている。
関係者以外立入禁止のグラウンドに、ロングヘアーの癖の無い黒髪を軽く束ねた女子生徒が一人たたずむ。
普通ならファンの子達に、嫉妬の炎を一心に受けるところだが、彼女にはそんな事は起きたことなど無い。
彼女の名は、三上。
は、武蔵森中等部の中でも人気の高い女子生徒。
泣くこも黙る、一軍指令塔にして…デビルスマイルの三上亮の一つ下の妹である。
は、只七光だけで皆から一目置かれているわけでは、無い。
兄に似て、容姿端麗、文武両道の三拍子を揃えた挙げ句、性格は人当たりがよいと評判である。
彼女は、ほぼ自分の力で不動の地位を築いている。
「マネージャー!タオル」
「さん、ドリンク取ってくれる?」
部員達が、タオル等を用意しているに我先にと声をかける。
「はい、どうぞ。練習がばってね」
部員に、タオルやドリンクを手渡しながらは柔らかく微笑む。
「…」
「さん、ちょっと良いかな?」
他の部員の間から、ひょっこりと1軍のDF笠井竹巳がに声をかける。
「何?笠井君」
((笠井〜め!!折角、ちゃんと話していたのに))
他の部員達は、苦虫を噛みしめる思いだった。
「別に、急ぎの用では無いんだけど…今日日直でしょ?」
「そうだけど…」
「早めに行っとかないと、日誌取りに行けなくなると思ったんだけど…さんには、要らぬ心配だった
かな?」
笠井は、優しく微笑みかける。
彼のファンの子なら、倒れてしまうかもしれないほどの笑顔を向ける。
「有り難う笠井君…でも、まだ片付けが…」
伏す目がちに、は部活の用具を見つめる。
「それなら…」
笠井が言いかけた時…。
ドドドドドドドドドド。
羊の大移動か…はたまた、闘牛の群か?と聞きたくなるぐらいの、足音が周りに響く。
とほぼ同時に…。
「どうしたの〜?ちゃん♪」
ガバッ。突然現れた藤代が、に抱きつく。
「藤代君…」
毎度の事ながら、慣れないは困った顔で藤代を見る。
「今日、さん日直なんだけど…片づけ残ってるって」
の変わりに、藤代に答える笠井。
「え〜っ、何だそんな事なら、俺等でやっとくからさ。ちゃんは、行きなよ♪竹巳と2人で、やっとくからさ」
“ね〜っ、竹巳”と藤代は、付け足しながらに言う。
「まっ、そうだね」
笠井も、藤代に同意する。
その様子を、少しスマナそうには見る。
「じゃ〜、お言葉に甘えて」
笠井達に、そう言った直後。
「「そんなの…俺達がやりますよ!!」」
後ろから、1軍並び2軍の部員達の声がハモル。
((藤代と笠井ばっかり、ちゃんの前で良い格好はさせん!!!只でさえ、美味しいとこ持っていくんだからな))
皆気持ちは、一つのようでを見る。
「皆も、有り難う。本当に、何時も有り難うね」
満面な、笑顔で皆に返す。
(((く〜っやっぱり、可愛いな〜vvvvvvvvv)))
藤代、笠井及びその他の者達一同は
そこに…。
「、教室まで送ってってやるよ。危ね〜からな、お前1人だとな」
肉親専用の笑顔を携え、兄三上登場。
((げっ…三上さん(先輩)))
毒づく一同。
しかし、このデビル三上に逆らえる者などいるはずもないので、一同名残惜しげにを見ながら、後かたづけに励むのであった。
「も〜っ、ちゃんたら、心配しすぎよ」
「そんな事無いって」
優しく、三上がに語りかける。
「そうだよ、」
その後ろから、守護神渋沢がの頭に軽く手を置く。
「渋沢さんまで〜」
少し、不機嫌そうに2人を見る。
「それとも、俺等と行くのがイヤなのか?」
困った顔で、渋沢がに尋ねる。
「そんな…そんな事無いです!!」
首をブンブンと横に振る。
「じゃ、行こう」
「はいv」
差し伸べれれた、手を握り教室へと向かう。
朝、クラスまで兄と渋沢がを送って朝練が終わる。
この光景こそ、武蔵森の朝の日常風景である。
その後、同じクラスの藤代と笠井がをがっちりガード。
お昼はお昼で、渋沢と兄三上を交えて優雅にランチ。
また、藤代、笠井のガード。
そして、部活とはつねに、武蔵森レギュラー陣の堅いガードの元生活を送っている。
中でも、兄三上亮の必要以上の溺愛ぶり。
悪い虫は、漆黒の闇に葬られるなど…彼女の生活は、違う意味で凄まじいものがあった。
珍しく今日の部活はなく、部員達は割とゆっくりと時間を過ごしていた。
「?渋沢…出かけるのか?珍しいな」
同室の三上が、PCをいじりながら出かけようとする渋沢に尋ねた。
「ま、散歩にでも行こうと思ってな」
普段とは、微妙に焦りを含む声で渋沢は答える。
(三上が…PC弄っていて良かった)と内心思いながら。
「ふ〜ん」
気にした様子もなく、三上はPCに目を向けたまま返事を返す。
「出かけてくる」
渋沢は足早に、部屋を後にした。
「彼奴…何か隠してるな」
三上は、デビルスマイルを浮かべていなくなった渋沢の後を見た。
「馬鹿代と、笠井を連れて後付けるか」
独り言のように三上は呟くと、後輩の部屋に足を向けるのであった。
「何で〜、俺が三上先輩達とキャプテンの後をつけなきゃならないんスか?」
反強制的に、連れてこられた藤代笠井両名。
藤代は、ブチブチと文句を言い続けている。
「今日はな…も散歩とか言って出ていったんだぞ…気にならないのか?」
不敵に笑い三上は、藤代に言い放った。
「う…っ。気になるス…」
「なら…大人しく付いてこい」
「ウイ〜ス」
渋々と言った感じに、藤代は返事を返す。
ニャリ。三上は、こっそりとデビルスマイルを浮かべていた。
三上が、デビルスマイルを浮かべていることに気が付いた笠井はふと思う。
(絶対この人…誠二で遊んでるな…)
笠井は、人知れず溜息をつく。
しばらく渋沢の後をつける3人。
そして渋沢を追って、三上、藤代、笠井は武蔵森学園側の公園に来ていた。
そこでは、渋沢とが仲むつまじくベンチで楽しそうに話を弾ませているのが見える。
「行くぞ」
三上は、短くそう言うと2人に近づいた。
そして、渋沢に声をかける。
「…渋沢、何でと一緒に居るんだ?」
普段より、1オクターブ低い声で三上は渋沢に尋ねる。
「…」
渋沢は、少し困った顔をしてと三上を見比べる。
(やっぱり…隠し通すのは…無理かな…)
ふ〜っ。
溜息一つつく渋沢。
そして、意を決したように口を開いた。
「…つき合ってるからな…そりゃ〜一緒にに居ても可笑しくないだろ」
少し開き直った、渋沢に三上は苦笑を浮かべた。
「ほ〜っ。俺に隠してた訳だな…可愛い妹と、つき合ってる事をな…」
「スマナイ三上…」
申し訳なさそうに、渋沢が三上を見る。
「で…何か理由あんだろうな?」
少し、困った顔をする渋沢。
「皆…を慕っているし…何だか、言うタイミングを逃してしまったんだ…そしたら、何となく言うのが悪いな〜と思ってな、隠してた訳なんだよハハハハ」
乾いた笑いを、渋沢がする。
呆れた顔で、三上は渋沢を見た。
「お前な〜…よっぽど、そっちの方が可哀想だと思わないのか?」
(ああ…ヤダヤダ…天然はよ〜…その所為で、コッチにしわ寄せがくんるんだよ…)
三上は、思わず天を仰ぎ見る。
「本当に…渋沢お前…自分の事になると…抜けてるよな〜」
すっかり呆れる三上。
「!ちょっと、克郎さんに失礼でしょ」
が、軽く三上を窘める。
そして少し、頬を膨らませて三上を見つめる。
((ちゃん…可愛い(な〜vv))
藤代、笠井両名は心の中で思う。
渋沢の彼女だと分かっても、の可愛さの前では関係無いらしい。
「まっ…渋沢が相手だしな…」
三上は、ボソっと呟く。
「妹様が…良いって言うんだし、仕方がね〜か」
身内用の笑顔で三上は、に笑って言う。
「…有り難う…だから大好きvv」
の頭を軽く撫でる三上。
『…こんなんで良かったのか?』
『ばっちりよv』
『そうか…そりゃ〜良かったな…』
『だって…克郎さん、学校内でつき合ってること…隠すんだもの』
『ようするに…渋沢への虫除け…か』
『当然!あんないい男そうそう、いないだから…捕まえておくに決まってるでしょ』
楽しそうに、が力説する。
『まっ…頑張れよ(俺に迷惑かけない程度に)』
『まかせてちょうだい』
満面なデビルスマイルでは、三上に微笑み返す。
(…渋沢…気の毒にな…)
自分の妹ながら、末恐ろしいと三上は思った。
だからこそ…渋沢に、同情してしまう。
自分に災いが、来ない内に三上は撤退しよと後輩達に目を向ける。
「藤代、笠井!帰るぞ」
短く三上が両名を呼ぶ。
「はい」
笠井は、直ぐに返事を返し三上の元に歩み寄る。
「そりゃ〜無いスよ〜、三上先輩〜!!」
藤代は、非難めいた声で三上を見る。
「五月蠅い、馬鹿代…命が惜しければ来い(俺の命も危ないんだから、早くしろ)」
鋭い目つきで、藤代を見る三上。
向ける言葉も、鬼気迫る感じである。
「誠二、行こう」
笠井が藤代を窘めながら、引っ張る。
「竹巳まで〜!!竹巳は良いのかよ〜!!」
ぷ〜っ。
頬を河豚のごとく、膨らませて非難めいた目を笠井に向ける。
そんな藤代に、笠井は苦笑を浮かべる。
「だってね…何となく予想はついてたし…それに、誠二じゃ〜無理だよ」
「何でだよ〜」
「いや…きっと、誠二じゃ…さんを止められないからかな」
笠井は、曖昧に言葉を濁して三上を見る。
「何で、俺を見る笠井」
「いえ…別に」
(笠井は…気が付いたか…勘が良いからな〜)
三上は、勘の良い笠井をみてそう思う。
藤代は、まだ駄々をこねていた。
「ぶ〜っ」
唸る藤代を、半ば引きずるように笠井と三上はその場を離れた。
2人が去った後、渋沢はに先三上に言われた事を尋ねた。
「やっぱり…藤代を始め…、皆に悪いことをしてしまったんだろうか?」
「そんな事無いですよ」
は、優しく渋沢に微笑んだ。
「そうかな…がそう言ってくれるんだったら、救われる思いだな」
渋沢は、jホッとした表情でを見る。
「でも…バレテ良かったですよね」
ボソリと、が呟く。
その声は、凶悪さを滲み出していた。
「そうか?」
渋沢は、少し不安を覚えながらに返事を返した。
「ええ。コレで、克郎さんに、変な虫が付かないじゃないですか…。わざわざ、に頼んだかいが有ったってもんですよ」
が普段渋沢に、見せること無いデビルスマイルを浮かべて言いきった。
「…?」
彼女の変貌ぶりに、着いていけず…渋沢は困惑していた。
「今更、私の性格に気が付いても遅いですからね。それと…私から、今更逃げれると思わないで下さいね克郎さんv」
の言葉に顔を、引きつらせる渋沢であった。
教訓>>
【蛙の子は蛙】基【兄がデビルなら、妹もまたしかり】だと渋沢は、心に刻んだと言う。
END
2001.8.8 by:sunohara koumi
☆後書きと言うなの言い訳☆ |