キリ番リク駄文(6767HIT様に捧ぐ)

白粉花


貴方を想う

何時も、何処に居ても

例え、それが伝わらなくても

弱い私は想うだけ

それでも…

何時も貴方を、想っています
 



「今日も…委員会で遅くなっちゃたよ…」

  は、人知れずそう呟いた。
彼女の名は、 …飛葉中の3年生。
 議事録を書く書記の仕事をしている。
3年生はに与えられる委員会の仕事は、普通ならばたかがしれている事なのだが…。
 人の良い は、3年生の割に2年と変わらない忙しい役職を任されていた。
先生も、扱いにくい連中を使うより…扱いやすい…というか、頼み事を断れない体質の に仕事を良く頼む。

 その為、 は目まぐるしい忙しさに追われている。

「やっぱり…こんな性格だから…貧乏くじ引くんだよね…」

 自分の内向的で、お人好しな性格をなんとなく恨めしそうになり、 は俯いた。

「今日は…部活やってる所少ないな〜」

 密かに楽しみにしていた、サッカー部の練習がやっていない事に は気づく。

(残念…やってないんだ)

何となく、損な気分になる であった。
 すると不意に、人の気配が感じる。



 明るく、活力の有る声に は呼ばれる。
声の主は、椎名翼。
この声を聞くと、何時も の心は和む。
 何時も、俯いている顔も…少しだけ上げる事が出来る。
優しい気持ちや、ドキドキしたり、色んな気持ちになる。
 何だか、力が漲ってくるようには何時も思う。

(は〜っ、いつ見ても…自信に漲ってますね〜)

 椎名の方を見て、はそう思う。
内向的な が、こんな風にドキドキしたりしている事や、微妙な心境に、の変化に気づく者は割と少なかったりする。
 それは、の内向的すぎる性格故だが。

「今日和…椎名君」

 が、やっとの思いで言葉を交わす。

「オッス〜。委員会終わったのか?」

 ニッと椎名が、に尋ねる。

「…うん、そうだけど…。あの…椎名君は…えっと…部活の帰り?」

 は、少しでも椎名と話したいのか、しどろもどろながら椎名に返す。

「今日は、部活は無し…代わりに、自主練〜…て、良い加減に、翼って言えっていただろ?」

“疲れた〜”と“呆れた”という表情を、器用に顔中に表す椎名。

「…でも…」

「でも…じゃないの、“翼”簡単でしょ言うぐらい」

「そんな…事言われても…急には…無理ですよ」

「あああ…何で敬語を使う訳?同い年でしょ?それとも、俺とは線引かなきゃ話せない訳?」

「いえ…そうでは…ないです…」

「なら、良いじゃん」

 少しむくれた顔を、椎名はする。
 正直に顔に出す椎名には珍しく少し顔が緩んでしまった。 
目聡く、椎名はの変化に気づき文句を言う。

、笑うことないだろ?」

 椎名がが、少し眉を寄せる。
が、申し訳なさそうな顔になる。

「あ…あの、私笑うつもりなんか…なかったんだけど…。椎…いえ、翼君が、あんまりにも…すぐに感
情が出るから…何だか、良いなって…。あの…ゴメンナサイ…何言ってるのか…分からないし」

…別に気にしてないって。だから、落ち着きなよ」

 パニックになっているに、椎名は小さな子に、言い聞かせるような口調で話しかける。
(…そんなに…パニクルとは…)と内心焦りながら、椎名はを見た。
でも、のパニックは収まらなかった。

(どうしよう…椎名君…じゃなかった…翼君に、心配かけちゃたし…失礼な事しちゃたし…どうしよう)

 ポフ。

(へ?)

は、自分の頭に感じる暖かい感触を感じ、上を見上げた。
 すると…。
椎名が、の頭を撫でていたのである。

(うわぁ〜…つ…翼君が…私の…頭を…撫でてくれてる〜)

 は、別の意味でパニックに陥る。

「落ち着いたか?」

 椎名が心配気に、を覗き込む。

「ああ…う…うん…少しは」

ボソボソと、消え入りそうには答える。

「そっか…それは、良かったな」

ニッカ。
 嬉そうに、椎名が笑う。

「でも、ビックリしたし、安心した…の取り乱したり…笑った事とか…あんまし見ないからな〜」

「ええ…いや…あの〜」

 椎名の言葉が、また少し落ち着いたをパニックへと誘った。

「だから…落ち着けって」 

 自分のせとは、露知らず椎名は苦笑を浮かべる。

「本当に…ご迷惑かけて…」

 シュンと頭を下げる、

…だから…気にするなて…言ってるだろ」

 もう1度の頭を撫でる椎名。

「それに、の意外な一面が見れて面白かったしな」

 不敵に、椎名は笑う。

「面白い?」

「いや別に、悪い意味じゃないからさ♪」

 訝しそうに、椎名の顔を見る

「人間つまんない人間より、面白い方が断然良いと思わない?…て思うよね」

 有無を言わさない、言葉で見事を丸め込む椎名。
も、思わず頷いてしまう。

(…思わず…頷いちゃたよ〜…)

 何て、思ってみても…返事をしてしまった事は覆ることは無い。

(うう…翼君の中じゃ…きっと面白い子に昇格しちゃたよ…)

 ふ〜っ。
聞こえない程度の溜息を1つ、はつく。
 何となく、花壇に目を向ける

(見覚えの無い花…)

 そう感じた瞬間、は無意識に呟いていた。

「…あの花」

「ああ?なんだフォーオクロックか…」

椎名は、が示した花を見てそう言った。

「フォーオクロック…?」

 不思議そうに、が呟く。
椎名は、補足と言わんばかりに付け足す。

「フォーオクロック…ま〜ぁ、白粉花って言った方が分かるかもな」

「白粉花…?でも…こんな時間に咲いてるなんて…珍しいです」

「ああだってこれ、夕方の4時から明け方しか、咲かない花なんだぜ」 

(何で…翼君が知ってるんだろう?)とは疑問に思いながらも、不思議な花に魅了されていた。

「でも…不思議な時間帯ですね…」

「ま〜な。そうだ、!この花が、何でこんな時間に咲くと思う?」

 椎名の突然の質問に、は困惑気に眉を寄せた。

「理由が…あるんですか?」

「さ〜な…。取り合えず差、は…どう思う?」

  の問いを軽く流し、の答えを催促する椎名。

「私は…その子が照れ屋だから…だと思います」

「何でそう思うんだ?」

「何だか…私に似てるから…。内向的で…ただ想うことしか出来ない私に…似てるから…ひっそりと
咲いて居るんだと思うんです」

 その答えを満足そうに、椎名はを見た。

さ…コレの花言葉知ってる?」

首を横に、ふる

「“貴方を想う”…正解だよ、の思った通り」

「え?」

 椎名の言葉が、の心を見透かした気がしてならなかった。
だから、は呆然と椎名を見上げる。
 椎名は、に目線を向ける。

「良い言葉だよね…奥ゆかしいくて…」

 そして、意外な言葉が彼から紡ぎ出されてが少し驚いた。

「そうですか…ウザイとか…思わないですか?」

 怖ず怖ずと、は尋ねた。

(「ウザイ」とか言われたら…どうしよう)

 心の中は、不安で押しつぶされそうだった。
自分に似ている“白粉花”…花言葉まで、の心にそっくりだから…。
 そんなを、否定されたらどうしようと…不安ばかりがを占めていた。
でも…。

「何言ってんの…五月蠅い連中なんかより、よっぽど奥ゆかしくて…良いと俺は思うけどね」

椎名から出た言葉は、否定の言葉なんかじゃなかった。
 普段見たことがない、少し照れた顔の椎名。
は、驚く。

「それって…」

「本当に…鈍いねは…」

 わざとらしく、溜息まじりに椎名は言う。

「僕は、結構はっきり言っていたと想うんだけど…好きだってね」

「ええええええ」

「やっぱり…気が付いてなかったんだ…」

「ゴゴゴゴ…ゴメンサイ…本当に、鈍くて」

 思わず、どもってしまう

「で…返事は?」

「私なんかで良いんですか?」

「良いから、言ってるんでしょ」

「よ…喜んで」

 必死に、椎名に答える
満足そうに、椎名は笑う。

「ほら…帰るよ

 椎名はそっと手を、に差し出した。
には、その差し伸べられた手が酷くまぶしいものの様に見えた。

「何してんの?」

「ゴメンなさい…遅くて」

「別に…怒って無いって…そんな顔すんなよ」

「はい…」

 照れたように、ははにかんだ。

「それより、僕をじーっと見てどうしたのさ?」

 椎名は、自分をしげしげと見つめるに尋ねた。

「やっぱり…私は白粉花に似てます…だって…“貴方を想う”…そのまんまでしたから…」

恥ずかしそうに俯きながら、は椎名の耳元でそっと呟いた。
 その言葉に、椎名は満足そうに微笑む。

「僕が、の事気が付かないとでも想ってるの?」

と夕闇に沈む中、椎名はにそう言った。
 幸せそうに、は椎名の手を堅く握り返した。
まるで、その言葉の返事を返すかのように…。



END 

2001.8.7    FROM:sunohara koumi


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☆言い訳☆
蒼月楓様。
6767HIT有り難う御座いました。
遅くなって申し訳ありません。
早くに、リクエスト頂いたのに、遅い上に駄文です。
本当に何と言えば良いか、分かりません。
もう少し、蒼月様のご要望を聞いておけばと…後悔ばかりです。
こんな駄文ですが、受けって頂けると幸いです。
よろしければ、またリクエストなどしていただけると幸いです。

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