Vent




気が付くと、巻き込まれていた

僕に吹き込んできた、小さな風に

穏やかで、春風のように優しくて

でも、時には強くい風

本当に、小さな風だった

君は、僕の中に入ってきた



君は、僕の元に吹いてきた、風。
君が、僕を変えているのは間違いない。
出会った時から、感じていた。
何て、真っ直ぐな子なんだろって。
自分の中の忘れかけている、部分を君が持っていた。

『純粋』

『夢を見ること』

『諦めない勇気』

『優しさ』

当たり前の事だけど、どこか抜け落ちている事を…。
だけど、当人である君は気づいてないだろうね。
でも、僕には分かっている。
日本には、神風といものがあるらしい。
まさに、君は神風なんだ。
君が気づかなくても、僕が知ってる。
だから、安心して。
君は、凄い子なんだからね。



ある日、何時のように話していた時のこと。

「李君は凄いよね、僕何も取り柄無くて」

寂しそうに、タカト君はそんなことを言った。
何故そんな、話になったかは憶えていない。
だから、…僕は。

「君の方が、凄いと思うよ」

笑ってそう返したら、タカト君は照れ笑いをした。

「褒めたって、何も出ないよ〜////」

素直な反応に、僕は新鮮で心が和む。

(素直だしね…)

心の中で、そっと呟く。

「あははは、でも勝負向きじゃないよね〜」

テリアモンが、茶化すようにタカト君に、言う。
うって変わって、“シュン”とするタカト君。
僕は、テリアモンを目で制する。
テリアモンは、ポリポリと頭を掻く。

「ゴメン〜…ちょっと、言い過ぎよ〜」

もう一度、テリアモンを見る僕。

「謝るのは、僕にじゃないだろ」

もうすでに、疑問系じゃない僕。
少し大人げないだろうか?

「タカト、ゴメン」

「良いよ、本当のことだし…気にしてないよ…えっと、“もうまんたい”」

テリアモンは、目をパチクリさせている。

「タカト〜、テリアモンみたいだ〜」

ギルモンは、楽しそうにタカトに言った。
あっという間に、穏やかな空気に戻る。

(やっぱり、君は凄いよタカト君)

僕は、ふと君に出会った事を思い出した。

「そんなんじゃ、テーマしっかくだね」

テリアモンが、開口一番に君に言ったのに、君は僕と友達になってくれた事を。
純粋な子。
『見てて、飽きない』し、もっと君を知りたくなる。
何処にでも、居そうだけど、君みたいな子は、滅多に居ない。
つい最近の事だけど、何だか懐かしく想うんだよ。

「李君?どうしたの?」

少し自分の世界に、入っていたらしい。
タカト君の声に、我に返る僕。

「何でも、無いよ…ちょっとボーッとしてだけだから…」

「そう?無理に、僕につき合ってもらってるから…無理しないでね」

心配そうに覗き込む、タカト君。

「そんなことないよ、気にしすぎだって」

心配かけないように、タカト君に笑顔を向ける。
少し、不思議な顔をしてタカト君は僕を見る。

「なら良いんだけどね」



君の影響は、本当に大きいって、今日も実感してしまった。
人を気遣う、優しい心。
僕は、君の御陰で変わっていけてるのが分かるから。
勿論、良い意味で変わってる。
僕以外だって、君に感化されてると想う。
デジモンクイーン、牧野瑠姫。
感情を露わにするように、なったじゃないか?
君の真っ直ぐな心に、皆魔法をかけられてるんだ。
不思議な君。
皆君に、惹かれている。
だからかな?君の周りには、人が集まってくるのは。
やっぱり、“特別”なんだね。
こんな事に、幸せ感じてしまうんだから。

「本当に凄いよ、タカト君は…」

声に出したつもりは、無かった。
でも、ふいに出ていたらしい。
タカト君は、目を見開いていた。

「今日は、李君変だよ…」

驚いているタカト君が、やっとのおもいで出した言葉が、それだった。
内心ちょっと、ショック。

(“変”?)

「本当に、何か悩み事でもあるんじゃないの?」

僕の気持ちとは、裏腹にタカト君は心配そう。

「僕…何時も李君に、頼ってばっかりだから…話し聞くぐらいしかできないから…、何か僕の出来ることあったら言ってね」

「ゴメンね、タカト君、心配かけちゃてさ」

タカト君の頭を、軽く撫でる僕。

「でもね、君は僕を頼ってばかりじゃないよ」

そう言うと、タカト君は以外そうな顔をした。

「でもでもでも、迷惑ばっかかけてるし…つい甘えちゃうし…」

恐縮するタカト君。

「違うよ、君はね、僕の力を生かしてくれてるんだよ。人の力を引き出すの才能だと、思うけど」

もう一度、頭を撫でる。

「君は、今のままで良いんだ」

「でも…」

タカト君の言葉を遮るように、言葉を紡ぎ出す。

「君は気が付いてないと思うけど、僕は君に何度も救われてるんだ」

僕は、言葉をいったん切る。

「君の御陰で、僕はふっきれたんだ」

ニッコリとタカト君に、笑って見せる。

「本当?」

「それに、君は自分が思ってるほど、何も無い人間じゃない。君には、沢山の仲間がいるんだから」

優しく微笑む僕。

「何だか、李君に言われると、そんな気になちゃうよ/////」

はにかんだように、微笑むタカト君。

「自信ついた?」

照れてる、タカト君にそっと尋ねる。

「有り難う、何だか李君依存症になりそうだよ僕///」

「光栄だね」

(僕の方が、君に依存してるんだけどな…)と心の中で、苦笑する。

「李君!」

「何?タカト君」

ふいに、タカト君は手を差し出してきた。
一瞬何の事か分からなかった。

(ああ、握手か…)

すぐに、意図が読めて握手をする僕。

「これからも、迷惑かけると思うけど…よろしくね」

「こちらこそ、よろしくねタカト君」

笑って僕らは、握手を交わした。
そんな君を、守りたい。
コレハ、保護欲というのかな?
今心から想うよ。
君を指し示す者になりたいと。
誤った道に、迷わないように。
だから、少し強くなろう。
もう一度、前を向く勇気をくれた君に、恥じないように。
君が必要としてくれる限り…。
僕は、強くなるよ…君のために。


僕に吹き抜ける、風

優しくて、時には強い風

僕にとっての、希望の風

忘れかけていた、物を思い出させてくれる

そう…君は神風




END

2001.7. From:Koumi sunohara

☆後書きと言う名の言い訳☆
桃波こもも様キリ番4444HIT有り難う御座いました。
どうも、すのはらです。
ゴメンナサイ、超駄文になってしまいました(-_-;)リクは、タカ李か李タカとの事なのに…。
李君の独白…何か、微妙に“黒い海”を背負ってそうだ。
文才無いです本当(遠い目)←オイ
精進せねば、いかんです。
こんなんが、贈り物で良いのでしょうか?
とりあえず、受けとって下さい。(アホ)
タイトルの『Vent』は、フランス語で風って意味です。
私の中のタカトのイメージなもんで、つい。
こんなんでよければ、また書かせてくださると、幸いです。


BACK