キリ番リク駄文(140000HIT瑞希様に捧ぐ)

        メグル想い+メグリ逢い




  世の中は不思議で溢れている 


  例えば人と人の巡り合わせ  


  心底思う今日この頃である  




秋は物思いに浸る季節だ。色々な事を考えたり…気が付いたらしている。
それは、秋特有の少し身にしみる秋風の所為故なのか…そんな事は分からないけれど私はハラリハラリ舞い落ちる木の葉を見てやはり物思いにふける。


(本の海と静かな室内…窓の外は木の葉の円舞の様だわ…何てね…)


図書室の窓から眺める風景…何だか文学少女になった気になって少し気恥ずかしい。
自分の浮かべた恥ずかしい思考に私は人知れず笑いを零した。

まぁ零した所で誰かに突っ込みを入れられる事もなく、図書室は至って静か。
寧ろ私という存在が居ないのでは?と言う錯覚を起こしそうな程…静寂を守っている。

ともあれ、私はそんな静かな場所に…何となく居るのだ。滅多に来ないこの場所に…。



普段足を運ばないこの場所に何故私が居るのかというと…単なる暇つぶし。
ようは翼の部活を待つ間、図書室に居ると言う訳である。

でも待つぐらいなら、この場所にしなくても良いだろうって思うだろうけど…何というかね…今時期の外にあまり居たくないんだよね。
だって外は寒い風が吹くし…紅葉は綺麗だけど、銀杏が微妙なアンモニア臭を漂わせてる…などと様々な理由を織り交ぜて現状に至ってるってわけなのだ。そう言う訳で私は図書室に居るって事なのだ。




しばらく時間を潰すために私は友人から借りていた、割と有名らしい小説を開き目を落とした。
そのジャンルは、純文学とか哲学とかでは無く…どこにも有りそうな恋愛を扱った恋物語で…所謂恋愛小説といったもの。
活字の苦手な私にも、読みやすい厚さと…ジャンルの為か、繰るページは増えていった。


ゆったりと流れる時間…。
読みふけることしばし…少し目が疲れた私は、ゆっくりと本から視線を外す。
集中していた御陰なのか、本は以外に読み進み残すは数ページとなっていた。

その反動というか…普段酷使しない目の所為で少しだけ目の奥が重くなる。
眉間の辺りを指で解しながら、私は相変わらず静寂の支配するこの場所に気持を向けることにした。

放課後の…図書室はかなり静かで…聞こえるのは紙と紙の擦れる音や、勉強しているのだろうか鉛筆を走らす音に微かに聞こえる人の声。
先程まで私も静寂の中の微かに響く音の担い手であったのだと思うと何だか不思議な気持になった。

らしくない気分を変えるために、私は先程まで読んでいた本の内容を浮かべることにした。


(好きな人とつき合うことの出来る確率とは果たして何パーセントなんだろう?)


私は先ほどまで読んでいた恋愛小説の内容を思い出しながらそんな事を考えた。

何で私なんか…って、自分で“何で私なんか”って言うのも自虐的でよろしく無いけど…言葉の文と言うものなので取り合えず…。
私なんかが翼の彼女になれたのか疑問ばかりが渦巻く程、私の彼氏椎名翼は大変出来た彼氏様なのである。

どのくらい出来た彼氏ぶりかは、皆様のご想像にお任せする事にして、ともあれ翼は私なんかには勿体ない人なのです。
夢の様に不満らしい不満の無いそんな人です。
強いて不満及び難点を上げるならば、可愛らしい容姿と辛烈な発言かな。

ギャップもさる事ながら、相手の触れられたくない部分を的確に攻めるから、言われた方はたまらないのだと思う。
実際私もわずかだが翼にへこまされ事が有る故に殊更思う。

嗚呼でも翼をイヤだとかは思わないよ。
ん〜時に傷つく事だって有るけれど、翼は色々先回りして私の為を思って言ってくれるからね、寧ろ幸せ者だもの。
第一落ち着いて考えれば正しい言い分だしね。


だから余計に私が翼の彼女って所が不思議で仕方がない。


初めは嬉しすぎて、舞い上がり…翼と自分だけの世界と言うか…彼以外見えない状態だったから周りを気にする余裕も無かった。
まぁ誹謗中傷はチラホラ聞こえていたけど、愛の力は偉大と言うのか…サラリとその時は流すことが出来た。

でも流石にそんな興奮状態というか…テンション上がりまくり状態が永遠に続くわけでは無い。少し周りに目を向ける余裕が出来たら、現状は矢張りというか…私に厳しい。


「どうしてあの子が?」


そう囁かれたのは最早両手で数えても手が足りない程。
そのたびに感じるは、何故私はあの人の彼女に収まれのか?という疑問。

しかも今日はその疑問と…先読んでいた本の内容が頭でちらつく。


(たまたま選ばれただけ?…それとも魔が差した?…)


マイナスな思考に私は首を振る。


(巡り会うべくして…巡り逢った…。そうだったら良いのに)


弱気に…切に願う想いに変えながら、私は溜め息を一つ吐いた。




しばらく色々考える事に没頭していた私は、窓に視線を向けた。
ぼんやりと窓を眺めて「はぁ〜」と何度目かの大きな溜め息を吐いていた頃、私の頭の上に影が降りた。





不意にかかる声に私は顔を上げる。
其処には私の待ち人が、何時も通りのみめい麗しい姿でそこに居た。


不景気な顔してるよ。そんなに退屈な待ち時間だったの?」


知らずに寄った眉間の皺を示して翼は、サラリとそう言った。
私は彼のそんな小さな気遣いに少し沈んだ気分が浮上した。ちょっと現金な奴かもだけど。
だから直ぐに私は翼に、待ち時間が退屈で合ったわけでは無いと示すべく口を開く。


「うんうん。待ち時間は退屈じゃ無かったよ…」


そう言葉を紡げば目敏い彼は、直ぐに「待ち時間はね」と苦笑混じりにそう呟いた。
私は彼が次に言わんとしてることが予測が出来たので、翼が言葉を発する前に言葉を紡ぐ事にした。


「えっと…別に呼び出しとかも無いし…ただちょっと思うことがあって。何せ憂いの秋だからね」


“ははは”と乾いた笑いと共に私はそんな言葉を紡いでた。
だけど翼はそんな事で聞き流してくれる人では無く、案の定私は心に有るモヤモヤと先程悩んでいた事を翼に話すことになったのだった。



私の言葉を辛抱強く黙って聞いていた翼は、小さな溜め息を一つ吐いた。そしてそれを合図の様に、彼は言葉を紡ぎ出したのだ。


「でもさ。出会うべくして出会ったって言うのも良いんじゃない。偶然を必然って言う奴が居るんだし。俺とが出会うべくして出会った者同士良いって事。OK?理解できてる?」


早口に言葉を紡ぐ翼に私は口を挟むことすら出来ずに、彼の言葉だけを耳に通した。
そんな私の様子などお構いなしに、翼の言葉はまだ続く。


の言うところの巡る気持も…巡る出会いも。逢うべくして出会って…その想いを考えるって…言う気持も…悪くないね」


「そうかな…なんか女々しいとか…一方的な想いはイヤとかじゃない?」


「どうして?俺は駄目なもんは駄目って言うし。良いもんは良いって言ってるでしょ」


私の顔を覗きながら翼は、ハッキリとした口調で言い切る。それに引き替え私は、煮え切らない声音で「そうだけど」とモゴモゴと歯切れ悪く言葉を紡ぐ。


「だったら、ハッキリ言えばいいでしょ。俺はの愚痴でも何でも言いたいことはハッキリ言ってくれる方が良いって思ってるんだから」


歯切れ悪くうつむく私に翼は言う。
グッと拳に力を入れて、迷いを断ち切る様に私は翼に私の言葉を伝える為に言葉を紡いだ。


「私は…巡り会うべくして…巡り逢った…って思いたい。例え永遠なんか無くても、今翼と共に在りたいと思うし…そう出来る今が幸せだと思う。それが私一人の思いこみでも」


翼は黙ってそれを見つめて、小さく肩を一度竦めると満足そうな笑顔を私に向けてきた。


「そうそう。俺はそんな風に考えるの思考が好きなんだから…一々どうでも良い事何か考えるなって。第一何でそんなに急に後ろ向きになんたのか…誰かの入れ知恵の所為とか…こんな季節がそうさせたのか知らないけど。本人が言うんだからさ…俺の言葉を信じてくれれば良いんだよ」


翼は不意に両手で私の頬を覆う様に持ってくると、私に言い聞かせる様にそんな言葉をくれた。
私は嬉しかったが、急に翼との距離が近く成りすぎて…


「ほら。帰るよ」


真っ赤になった私の頬から手を外し、彼は軽く肩を叩いて帰りを促すそんな言葉を口にした。
私は、まだ引かない熱に触れながら彼の促す言葉に従った。

出会うべくして出会った事に感謝しながら…。
私は少し照れくさそうな翼と共に、冬の息吹間近な風の中帰路に着いた。


不思議と心は外と反対に、暖かい気持を抱きながら…。



おわし


2004.11.9. From:Koumi Sunohara





★後書きと言う名の言い訳★
140000HIT瑞希様へ
笛/椎名翼夢/い年の彼女設定+少し甘め設定とのリクエスト。
さてはて、如何なものでしょう…ご期待に添えているかかなり不安ですが…お届けいたしました。
ともあれ少しでも瑞希様が楽しんで頂けたら幸いだと思っております。
では…機会が御座いましたら書かせて下さると幸いです。

From:すのはら江美


キリ番置場