キリ番リク駄文(123456HITさくら様に捧ぐ)



好きだから許せる事

好きだから許せない事

それは理屈じゃなく心の問題

矛盾と理論の狭間の感情

だから恋は美しく…

そんの逆だとも言えるのだろう



−Digitalis−


晴れ渡る空は清々しい。
自ずと気分も晴れ晴れとしてくるものだ。
だが、そんな爽やかな陽気に似合わない空気を三年六組に巻き散らかす少女は憂鬱そうな表情で窓の外を眺めていた。

何故、彼女の心はどんよりとしているか?…ふとそんな疑問が浮かび上がるのだが…。
別にテストの点数が悪かった訳でも、恋人にこっぴどくフラレタわけでも無いが…彼女コトは気落ちしていた。
寧ろ彼氏である菊丸と円満であるし、前回のテストで順位を大きく上がってなどと…公私ともに幸せ絶頂なのだ。
でも彼女が気落ちしてしまっている。

理由は…彼女の恋人の菊丸英二の事。
問題らしい問題は菊丸自体にも無いけれど、誰とでも仲良くなれる、外向的な性格がの悩みの種である。
今日もは一人心の中で、考えても答えが見つからないと分かっていても…菊丸の事を考える。

(彼氏が人気者って言うのも…考えものだよね〜。まぁ〜嫌われているよりはましだけどね)

そう思い、何気なく向ける視界には愛しい彼の姿。
だが、そこには彼以外も当然の如く居る。だからの視界に映るのは仲良さ気に話に花を咲かせる菊丸とクラスメートの女の子。
別に疚しい話をしているわけでも、誤解する関係じゃ無いが…そこの空気はやけに明るい。
は仲の良いクラスメートの語らいを皆がらも溜息を零した。

(別に英二は他意や浮気しょう何て思って無いし、普通に友達と話をしたり遊んだりしているだけ何だよね。それは…分かるんだけど…凄く楽しそうに見えるんだよね…)

菊丸とクラスメートを視界の端にはそんな事を思う。
彼女の思い通り、菊丸とクラスメートはあくまで友人の範囲。その事も自信も分かっている事なのだ。
だが、頭と心は別物だ。自然と負の感情はの中に燻っていった。

そして、そんな風に思う自分には不快感を覚えるのだが、理解していてもどうする事も出来ないのだ。
どうしょうも無い思いばかりが渦巻いて、の心に薄暗い影を落とす。

(本当にどうしたものかしら…)

知らず知らずに溜息を吐く
御陰で今日もだが、最近は溜息が増え、の顔には知らないウチに憂鬱そうな影が周りを漂わせているのだ。
本人が無自覚なので、少々質が悪いのだが…。気が付かないものは、仕方がないだろう。


重々しい空気を纏ったの元にクラスメートでも有り、菊丸と共通の友人で有る不二が現れ不意に声をかけてきた。
は何とか、憂鬱な気分を振り払うように努めて明るく不二を迎えいれた。
そして…。

「ねぇ〜

「ん?何不二君」

「最近元気無いけど…何か有ったのかな?」

「え…別に…何でもないよ」

努めて平然を装うよう言葉を紡ごうとしただったが、思わずしどろもどろな言葉を零していた。
そんな付け焼き刃な取り繕いが不二に通じる訳も無く、不二は呆れた様に言葉を口にする。

「まったく。バレバレだよ…嘘を付くならもう少し顔に出さないようにしないと駄目じゃない…。まぁ其処が、の美徳だけどね」

不二の言葉に、は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。
そんなの様子に不二は少し肩を竦めて、不意に後ろ手に持っていた一枚の紙を差し出した。
は反射的に、訳も分からずに不二からその紙をを受け取った。

(何だろう…紙の割には…手触りが堅い感じって…写真じゃない)

「綺麗な花だね」

差し出された写真に写る花を見て、率直には感想をのべた。
の答えに、不二は笑みを深くさせて言葉を紡いだ。

「そうだね綺麗な花でしょジギリタスという花なんだ。花言葉は『熱い胸の内』恋の花なんだよ」

「ふーん…ジギリタリスって言うんだぁ〜…あんまり聞かない名前の花だね…。不二君って花言葉にも詳しいんだ…多趣味なのね」

感嘆の溜息と共に紡ぎ出されるの言葉に不二は「姉さんが結構詳しいからね。それでだよ」とサラリと言葉を返した。
そつなく返す不二の言葉には感心するしかなく、「へ〜」とか「凄い」とかしきりに口にした。
自分を興味津々の眼差しで見るに、(小さい頃の裕太の反応に似てるねは…)と思うと弟の裕太と少し重なり不二はコッソリと笑いを零した。

「そうだ、この花にまつわる話が有るんだけど。その話し…と英二ポイ話なんだよ」

脈絡の無い不二の突然の言葉にの頭には疑問符が浮かぶ。
疑問に満ちた思いなかでも、は不二返すべく言葉を返した。

「私と…英二に似た話?何だろう?」

唸りながら紡ぐ言葉に、不二はニッコリ人の悪そうな笑みを浮かべて「内緒」と短く言い返した。

「え〜っそこまで言っておいて、内緒は気になるよ不二君」

頬を膨らませながらは文句の言葉を不二に言うと不二は、苦笑を浮かべて言葉を紡ぐ。

「誰も教えないって言ってないよ。だからそんなに拗ねないでよ…。ボクはね、どうせなら英二と一緒に知れべてごらんよって付け足そうと思ったんだからね」

「英二と?」

「うん。きっと二人にピッタリな話が載ってるから、驚くよきっと」

言い切って不二は柔和な笑顔を浮かべた。心の中では(この話題で英二とお互い分かり合えれば良いね)と兄の様な気持ちで思いながら。
はその言葉に純粋に「ありがとう」と言って不二に返した。
何だか吹っ切れた様子のを見た不二は、「どういたしまして」とサラリと言葉を返すと、そっとその場を後にしたのだった。




不二が去った後、不二との会話で少し気分の浮上したは先程の重い空気が幾分和らいでいた。

(英二にも付き合いってものも有るし…そう言えば私も不二君達と話すモノね…。よし、あんまり考えないようにしよう。そして、不二君の言うとおり英二と一緒にこの写真に写っている花にまつわる話を探しに行こうかな?)

などと菊丸に対する気持ちを和らげていた。
するとタイムリーにも菊丸がの方に向かって歩いてきたのが見えた。

(うわぁ〜ナイスタイミング。英二がコッチに来たよ…でも何か様子が何時もと違うかも…)

だが少し様子が可笑しかった。
それに少し変だとは思いながらも、は笑顔で菊丸の言葉を待った。
すると…菊丸は不機嫌そうな顔のまま言葉を紡いだ。

〜随分不二と楽しそうに話してたよねん。何か彼氏の俺より凄く楽しそうでさ…そんなに不二が良いんだ…俺すんごく傷つくぞ」

いじけた様に紡ぐ菊丸の言葉。
それは正ににとって心外な言葉だった。
は菊丸の言葉に呆気にとられつつも、心外だとばかりに抗議の言葉を返した。

「何言ってるのよ英二。不二君は友達でしょ!第一そんな事言ったら、英二だって他の子と仲良いじゃない。そっちの方が大問題よ」

は語尾を荒げた口調で菊丸にそう言い返した。
菊丸はの努気のはらんだ声に少々怖じ気づきながらも、言い返す言葉を返す。

「友達じゃん友達。寧ろクラスメートとの交流は大事なことだろ?」

さも当然と言いたげに英二はにそう言ってくる。
は、その英二の一方的な言い分に(私だって色々悩んでるのに…英二は自分の事ばっかりじゃない)そう思ったが最後、の溜まっていた感情は一気に溢れかえり…彼女の口から言葉が怒濤の如く吐き出された。

「私だって友達でしょ。そんなに不機嫌になる必要ないじゃないの。英二が他の女の子と話して気分悪いと思う時でも私文句言ったこと無いのに…英二ばっかり押しつけてくるのズルイよ」

肩で息をしながら、は心に溜め込んでいた言葉を一気に吐き出した。
菊丸は普段見られないの様子に、ポカーンと口を開けたまま眺めて居たが…。

「あのさ…俺らってもしかして…似たもの同士?」

菊丸が苦笑を浮かべて、そうに尋ねる。
も菊丸の言葉に、苦笑を浮かべて言葉を返す。

「本当。そんな事まで気が合わなくても良いのにね」

言って二人は顔を見合わせて笑い合う。
一頻り笑った両者はどちらかと言うわけでは無く、仲直りの話しに花を咲かせた。
色々な話を経て、は思い出したように…不二の話題を菊丸にふった。

「そう言えば不二君で思い出したんだけど」

そう言い出しては不二から貰った、ジギリタリスの写真を菊丸に見せて言葉を続けた。

「何だかね。この花にまつわる話が私たちにピッタリなんだって」

「へ〜。で…どんにゃ話し?」

「それがね、教えてくれないのよ。載ってる本の名前は教えてくれたんだけど」

困ったように眉を寄せて、言うに「そっか」と短い言葉で菊丸は言葉を返した。
そして…。

「まぁ不二なりに何か考えてるんかもね。何せ不二だし」

ニシシシと笑って菊丸は言う。

「英二…それってちょっと失礼なんじゃ…」

は不二に少し同情をしつつそう言った。
言った本人菊丸は何処吹く風といった様子で、に言葉を返してくる。

「だって不二だよ〜。乾にデーター何て取らせない不二だしさ…全然失礼じゃ無いって」

良く分からない理屈を付けて菊丸はにそう言った。
菊丸の言葉に納得のいかないは、悩みながら言葉を紡ぐ。

「そう言うものかな?」

「そう言うもんなの!それより、探しに行ちゃわない?」

「え?今から?」

困惑するを余所に菊丸は、元気いっぱいにに手を差し出す。

「ほらっ。行くぞ〜

そう言うと菊丸はの手を引いて歩き出す。
菊丸とは仲良く並んで図書室に、不二が言っていた本を探しに歩き出したのだった。
その姿は先程までのギクシャクした雰囲気は見あたらなかった。
それはまるで、見わたす限りの青空のように…澄み切っていた。


その後ジギリタスにまつわる話を見た、と菊丸が顔を見合わせ何とも言えない表情を浮かべることを知るのは当事者の二人と不二ぐらいかもしれない…。




ジギリタリス

ローマー神話、嫉妬深いヘラがサイコロ遊びに夢中で浮気性のゼウスに嫉妬しなくなった事に

嫉妬し、サイコロを地上に咲くジギタリスに変えたと言う逸話を持つ花の名。



END

2004.3.22. From:Koumi Sunohara


★後書きと言う名の言い訳★
123456HITIのさくら様へ。
細かい設定のご要望をしっかり聞く前に、お届けとなりましたが…。
少し不安ですが…こんなモノで良かったのでしょうか?
補足ですが…ジギリタリスは、和名は狐の手袋と言うお花です…ちなみ食用では無く毒の有るモノです。
ヘナチョコ申し訳有りませんでした。
また機会が有れば、リクエストして下さると幸いです。
byすのはら江美



キリ番置場