pommeさんからの、頂きドリーム
Rainy drop


朝は降っていなかった雨が授業が終わる頃には土砂降りとなっていた。

「あーやっぱり傘を持ってくればよかったぁ」
下駄箱で靴を履き替えながら愚痴る。
「何? 、傘持ってきてないの??」
親友の が同じく靴を履き替えながらバカにした様に見る。
「うん・・・」
「バカねー。今日の降水確率は80%だったでしょ〜」
「知らないもん・・・そんなの。朝はテレビ見る時間無いし」
「それはアンタがもう10分早く起きれば十分見れると思うけど。
 しょうがないなぁ。 様がこの可愛そうな を傘に入れてあげるとするか!」
「ありがと〜 様〜〜〜!!!大好きよー」

私達がじゃれ合っている目の前を同じクラスの三上君が通る。
彼も朝の天気予報を見る余裕が無かったらしく傘を持っていない。

「ごめん、 。私は友情よりも愛情を取るわ」
はそう言い残し三上の元へとダッシュで去って行った。
そして満面の笑みを浮かべて三上君に話し掛ける。
「三上君、傘無いの?良かったら入っていく?」

取り残された私は親友の変わり身の早さにしばし呆然とし
彼女と三上君が仲良く相合傘で帰っていくのを眺めていた・・・・。

「っ! 〜〜〜〜!この裏切り者!・・・・・バカー!どうすんのよ私は。
 こんなに降ってるのにぃぃぃ。 ー!戻って来いっ!
 ふんっ。所詮女の友情なんてこんなもんよね。イーダッ!!」

すっかり姿が見えなくなった親友に向かって文句を言うが
当然聞こえるわけも無く自分の声だけが虚しく響き渡る。

「ハァ〜どうしよう。このまま濡れて帰ったら風邪ひくかなぁ、、、もぉぉぉ!」

ボカッ!(手近な下駄箱を八つ当たり気味に蹴る)

「イタッ!」
八つ当たりのつもりで蹴った下駄箱なのに予想以上に堅く蹴った足のほうを痛めてしまった。

「もぉぉ!何なのよ!キィー」
気持ちが治まらず思わず叫ぶ。


「ぶぶっ」
その時後ろから声が聞こえる。

振り向いたそこには大好きなクラスメイトの渋沢君が立っていた。
なんで、渋沢君がいるの??何だか必死に笑いを堪えているように見えるけど。

「し、渋沢君。いつから、そこにいたの?」
今までの自分の行動を思いながら恐る恐る渋沢君に尋ねる。

「ん?いや、 が三上の所へと走っていった辺りかな?」
「☆▲×…△★□◎!!!」
言葉にならない叫び声をあげる。
「なかなか面白いものを見せてもらったよ、
渋沢君はさわやかな笑顔でさらりと言う。

「そんなに前から居たんなら声をかけてくれればいいのに・・・」
恥ずかしい・・。あんな姿見られちゃって・・・。
が怒って喚いたりしてる姿なんて滅多に見れるもんじゃないから
 眺めていたのだが、さすがに下駄箱を蹴って逆に自分の足を痛めてるのには
 我慢できなくて吹き出してしまったんだ」
と言うと堪えきれなくなったのか、あっはっはっ、と豪快に笑った。


これで、さきほどの「ぶぶっ」って言うのは渋沢君が吹き出した声だと判明。
なんて事はどうでもいいのよ!全部見られてたってわけ?いやーーーーーー。
神様お願い!嘘だと言って!!
目の前が真っ暗になる。
今なら恥ずかしさで死ねるわ・・・。

「ところで、 。傘が無いのなら良かったら入っていくか?」
渋沢君は優しい笑顔で私を見つめる。
「いいの?」
なんて遠慮がちに言ったけど心の中は今にも踊りだしてしまいそうな勢い。
やったぁー渋沢君と一緒に帰れるなんて!
私も大概、現金な性格だわ・・。そんな自分に少し呆れるけど気にしない。
渋沢君と一緒に帰れるなんて事二度とは無いはずだから。


渋沢君の傘は深い青色の大きな傘。
二人で入っても十分余裕はあるけど緊張してしまってツイ離れてしまう。

、そんなに離れてると濡れるぞ」
「う、うん。大丈夫」
だってこれ以上近づくと心臓が口から飛び出しちゃいそうなんだもん・・・何て言えないし。
ドキドキドキドキ。心臓の音がいつもよりも大きく聞こえる。

校門を抜けて道路に出ると大きな水溜りがいくつも出来ている。
それを避けながら歩いていると渋沢君はさりげなく車道側に回ってくれた。
そんな些細な心遣いに胸がキュンとなる。

彼のこういうところが好き。
決して押し付けがましくない優しさ。気配りとか。
ゴールキーパーやってるだけあって視野が広いって言うのか本当によく気が付く。
誰かが困ってると必ずそっと手助けしてあげるのよね。まさに縁の下の力持ち?
そんな渋沢君が大好き。


いつもと同じ帰り道。雨が降ってていつもなら気分も落ち込みがちなのに
今日は違う。渋沢君と一緒だから。
いつもと同じ帰り道。いつもと同じ景色・・・のはずなのに・・・
隣に渋沢君がいるだけで違って見えるの。
のおかげだわ感謝しなきゃ!


「どうした、 ?黙り込んで」
「ううん。何でもないよ。あ、ねぇ渋沢君、今日はサッカー部はお休みなの?」
「試験前だからな。放課後の練習は休みなんだ」
そうか、そういえばそんな時期だわ。


その時一台の車がもの凄いスピードで水飛沫をあげながらやって来た。
危ない!
渋沢君は叫ぶと私に覆い被さるようにして車から守ってくれた。

そのおかげで私は全然濡れずに済んだのだけど
渋沢君は車の水しぶきでビショビショになっていた・・・・。

「まったく何て車だ・・・ 、濡れなかったか?」
ビショビショの渋沢君が私を気遣う。
「うん。私は大丈夫だけど・・・渋沢君ビショビショじゃない・・・
 ごめんなさい、私を庇った所為で・・・」
急いでハンカチを取り出し渋沢君の頭や身体を拭く。
「ありがとう。でも が謝る事はないぞ。悪いのはあの車だからな」
そう言いながらニッコリ微笑んでくれる。
そんな渋沢君の優しさに涙が込み上げてきた。
「でも、大事な身体なのに。渋沢君が風邪でも引いたら大変なのに・・・」
ボロボロと涙がこぼれる。










「可愛いな、 は」











・・・・・・え?
今、私の事可愛いって言った?
渋沢君の顔が少しだけ赤くなっている。

「し、ぶさわ・・くん?」
「いや、こんな所で言う事じゃないんだが・・・」
彼はまた少し顔を赤くする。人差し指で頬をポリポリと掻きながら。


「俺は の事が好きなんだ」


私の思考回路がうまく働かない・・・。
だけど・・また一段と涙が溢れてきた。

「ホント?ホントなの?渋沢君」
「あぁ。ずっと好きだったんだ」

ボロボロボロ、、、涙が止まらない。

「そんなに泣くなよ」
「だって、嬉しいんだもん。私もずっと好きだったから渋沢君のこと。だから嬉しいんだもん」
私が涙声で言うと渋沢君は軽く目を瞑った。


「まずいな。今、とても を抱きしめたいんだが・・・いいか?」
「うん!」
「でも、 までビショ濡れになるぞ?」
「全然構わない!」

私は自分から渋沢君に抱きついた。その拍子に彼の手から傘が落ちる。
けれど彼はそれを無視して私の背中に両手を回す。


「本当に可愛いな、、、 は」


渋沢君の力強い腕が私を優しく抱きしめる。

土砂降りの中、抱き合ったまま動かない。
濡れたシャツを通して彼の体温を感じる。あったかい、それは彼の心の温度。



・・・」
私の唇に渋沢君の唇が重なる。
少しだけ雨の味がする・・・渋沢君との初めてのキス。


唇を離すと恥ずかしくて彼の顔を見ることが出来ない。
また彼の胸にしがみつく。
そんな私を彼がまた優しく抱きとめる。





あんなに降っていた雨がいつの間にか止んでいた。
電線から雨雫が二人の頭にポタっと落ちる。

私たちはもう一度雨の味のキスをした。

 

 

「ハックッション!」
「クシュン」

次の日二人のくしゃみが教室中に響き渡る。
その度に三上君が「お前ら怪しいな」とニヤニヤ笑った。

It wrote this story on June 21th, 2001

 

*******言い訳と懺悔のお部屋*********

すのはらサマ。
すみません、ごめんなさい、申し訳ございません。
せっかくリクしてくださったのにこんなへっぽこなモノしか出来ませんでした・・・。
おまけに相変わらずダラダラと長いし・・・。
あぁ何てお詫びをしたら良いのかわかりません!
苦情など、どんどん言ってください!!直します!命に代えても!
でも、懲りずにマタ遊びに来てくださいね。

渋:すのはらさん、こんなモノで申し訳ない。
  まさかこんな駄文を堂々と差し上げるとは俺もアイツの図太さに正直驚いたよ。
  本当にすまないな。勘弁してやってくれるか?


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