- 王者に対する素朴な疑問 -




モエりんコト赤月巴は、普段お目にかかれない程真剣な表情を浮かべていた。


それはもう…テスト勉強命をかける受験生の様に真剣な様子だった。
おかげで、彼女の眉間にも力が籠もっている程に…。

喜怒哀楽の表情豊かな巴には本当に珍しい事だ。
そんなもの珍しい下宿人の様子に、家主の息子であるリョーマは海老煎餅を囓りながらしばらく傍観していた。


(相変わらず見てて飽きない奴…)


ちょっとした娯楽番組を見てる感じでリョーマは巴を眺めた。
だが表情は、面白味も無いほど仏頂面が続くばかり。


(嗚呼…いよいよ部長ポイ顔に成ってきたし…つまんなくなってきたし…何か言った方が良いのかな)


いい加減部長化が進む下宿人が少々心配になったリョーマは、ヤレヤレと肩を竦めながら声をかけた。


「ちょっと…眉間…部長みたいになってるけど。何悩んでるの?」


相変わらずの素っ気ない口ぶりでリョーマは巴にそう言葉を投げかけた。
すると声をかけられた、巴はバッと顔を勢いよく上げるとリョーマの方を見る。
その勢いに気圧されながらも、リョーマはそれを気取られない様に、彼女の顔を見返す。


「で…何をそんなに考え込んでるのだよ。らしくないじゃん」


フーッと呆れたポーズを取るように、溜め息を付けながら言うリョーマに巴は少し間を置いてから言葉を紡ぎ出してきた。


「えっとね。…ちょっとした疑問何だけどね」


そう言って言葉を紡ぐの躊躇する巴に、早く続きを言えと言いたげに見やるリョーマ。
その視線に巴は「あー」とか「でもなぁ〜」とブチブチ言葉をぼやいていたが、唸りながら神妙な面持ちで口を動かした。


「立海の人達も汁に悩まされてるのかな?」


真顔で紡がれた巴の言葉に、聞いたリョーマにとっては拍子抜けな内容だったのか…ポカンと口を開けて彼女を見た。
そして思わずでた間抜けな声。


「はぁ?」


これでもかと言うぐらいに顔を顰めて声を上げるリョーマに、巴は少し苛立ち気味に言葉を放つ。


「だから乾汁ならぬ柳汁に悩まされて無いのかな?ってコト」


巴脈略の無かった言葉のパーツを頭の中で組み立てたリョーマは…「ああ…成る程ね」と小さく呟いた。
そして…少し間を置いてからリョーマは巴に返す言葉を紡ぎ出す。


「それは無いと思う、何せあそこ鉄拳制裁が主流ポイから…汁のませたら止め刺すことになるんじゃない」


「そっか…そう言えば切原とかいう部長をつけ回していたモジャモジャが張り手されていた気がするね」


ウンウンと頷きながら巴は言う。
リョーマは(モジャモジャって…)とか思いながら巴に、何でそんな事を思ったのかを尋ねてみた。
すると先まで、部長手塚並の眉間の皺っぷりだった巴は“待ってました”と言う勢いで言葉を紡ぐ。


「だって乾先輩の幼馴染みと言うから…思い浮かぶのは乾汁しか無いじゃない」


拳を作り、力説するように巴は言う。
その巴とは正反対に、リョーマは呆れた様子に言葉を返した。


「確かに…最近は乾先輩イコール乾汁でデーターテニスは陰潜めてるけど…でもそれって…短絡的じゃないの…」


言葉を濁してリョーマは言う。


「だって汁友かもしれないじゃない。それに類は友を呼ぶって言うし」


巴は少し考えながら、そう言うが…言われたリョーマの呆れ顔ぶりには拍車がかかった様子で彼女に言葉を返す。


「そんな事言ったら、ルドルフの観月だっけ…あの人も汁作ってなきゃいけないじゃん。後…山吹だったら壇も」


溜め息混じりにそう呟くと、言われた巴も合点が言ったのか「観月さんは兎も角、太一君は違うもんね」と何気なく毒を吐きながら


「そっか…。リョーマ君はやっぱり頭良いね〜。よーし今度」



不吉な言葉を言う下宿人に巻き込まれるであろう人物を哀れに思いながら、リョーマは小さく溜め息を吐いた。


これはある日の越前さん宅の一コマである。



おわし


2004.9.14. From:Koumi Sunohara


★後書き+言い訳★
三色の汁を飲みきった モエりんだからこその素朴な疑問でした。
那美では思いつかないかなっと私的に思うのですがね。
立海に真相を尋ねに行く モエりんの話何かも何時か書ければ良いかなぁ〜って思ってます。
少しでも娯楽になったのなら、書いている私も嬉しい限りですが…。
兎も角、おつき合い頂有り難う御座いました。


BACK