Like asking for the moon
−竜崎桜乃の場合−





空に浮かぶ月を欲しいと言うように


隣の茂る芝が青く見えるように


手に入らないモノを欲しく思う


手に入らないと知っているけれど


願わずにはい居られない


それはちょっとした小さな我が儘


自分に無いモノ程欲しかったり憧れる。
それは当然の事なのかもしれないと私は思う。

だって私は、ごくごく平凡で…もしかしたら人並み以下だから余計に憧れは大きくなるんじゃ無いかと思う。

それでも、私以外の子も…きっと誰かに憧れたり…良いなぁって思ったりすると思うの。
えっと…例えば…ファション雑誌のモデルさんに大して(素敵だなぁって)思ったり、俳優さんやアイドルに抱く無いものねだりとかしたりする。

スタイルを良くしたいとか…あんな風に綺麗に写真に写れたら良いとか…ちっぽけだけど、欲しいなぁと思う。

だけど、テレビ画面や雑誌では遠い。
何て言うのかな…別世界って感じに思えるの。実際別世界なのだけど。



そこまで凄くは無いけど、身近な存在…友達だったり…先輩やクラスメートに感じたりするの。
あんな風になりたいとか…些細な事だけれど。
憧れを抱いたりする。


その一人はリョーマ君。
テニスも強くて、自分の意志をハッキリ言える私に無縁なものを沢山持ってるさしずめ王子様って感じかな。
たけど、少し遠くに感じるのはリョーマ君が男の子だからかもしれない。


もう一人はリョーマ君の家に下宿してる、お友達の赤月巴ちゃん。今年になって出来た、新しい私の大切な友人。
朋ちゃんや那美ちゃんとも仲が良いの。
だからかなリョーマ君とは違って、女の子だから余計身近に感じるのかな。



私はその巴ちゃんに凄く憧れる。
私が欲しいと思ってる…うんうん…変えたいと思ってる事を彼女が持っているから。

巴ちゃんは明るくて、優しい子。引っ込みじあんで、おっちょこちょいな私とは正反対にテキパキしてる。
親元から離れて居る所為も有るかもしれないけど、本当にしっかりした子だと思う。

何よりリョーマ君を始めテニス部の先輩方とも気さくに話したり出来る。
きっとそう言う子が人当たりの良い子って言うんじゃ無いのかなって思う。
そう考えると朋ちゃんも巴ちゃんと似てるけど、朋ちゃんに感じる思いが少し違うの。

朋ちゃんには…何て言うのかな空気のような存在なの。
居て当たり前って感じが強いし…本当に仲の良い私の大事な親友。

えっとだからと言って巴ちゃんが嫌いとかじゃないの…むしろ好きだし…もっともっと仲良くなって、沢山遊びたいと思ってるよ。
何というか…リョーマ君に感じる憧れに似た感情を巴ちゃんに感じてるのソコが同じお友達として、朋ちゃんと違う所かな。

それにね元気な貴女を見てると、内気な私も知らない内に元気を分けてもらえる気がするんだよ。
けどきっと巴ちゃんは気が付いて居ないんだろうなぁって思う。
それでもね…本当に私は助けられている。凄い才能だよね。

そう言うさりげない優しい巴ちゃんだから、ああ言う風になりたいと思ってしまう。
私には無理だって分かってるけど。

だから…せめて願うの。

巡る季節が何度となく過ぎたとしても、巴ちゃんや朋香ちゃん…大好きな友達に囲まれたありふれた日常が過ごせたら良いなぁと思う。
それが今の私に出来る精一杯の願いだから。


(でも何時か自分の言葉をしっかり誰かに伝えられたら嬉しいのだけど…)


そんな思いをこっそり私は何時も思うのだ。



2004.9.13. From:Koumi Sunohara



★後書き+言い訳★
同じテーマで女の子同士が「ああ成りたい」とか思ってる事を書いてゆく小話シリーズです。
第一段として桜乃ちゃん。
本当に短いお話ですが、こんなありふれた日常の一コマも有っても良いかな?と思いまして書いてみたものです。
楽しんでいただけたでしょうか?
少しでも娯楽になったのなら、書いている私も嬉しい限りですが…。
兎も角、おつき合い頂有り難う御座いました。


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