こもりづ |
ゆるりと流れる時間。
普遍的で、刺激の無い毎日。
聞こえるのは木々のざわめきと、古来より居る魔物の声。
人など通らない樹海での、ごくごく当たり前の生活。
そうそれが、私の今までの全てだった。
薄暗い樹海の中で生きていた間はそう思っていた。
お父さんが居て…私が居て。
木々のざわめきと…少し息づく生き物たちと…長い時間
どれもこれも、私にとっての当たり前の幸せな一時。
でもね。
それは、私という…私とお父さんという小さな世界の話。
樹海を抜け…色々な人と触れあい…一度光りを感じれば…少しでも暖かさを知ってしまったら…世界は反転してしまった。
人と過ごす時間は暖かい…森の中の世界とは違う…広い世界は興味深くまばゆい光を帯びている。
人知れずひっそりと暮らしていた私に…小さな世界が一気に大きな世界を知ってしまった。何時かは…あの森に帰る身だと言うのに…。
それでも…エフラム…貴方は私に居ても良いと言ってくれた。それも至極当たり前に。
(それが…どんなに嬉しかったか分かりますか?独りぼっちになってしまった私に…人とは異なる私に…何者であろうと関係ないと言い切る貴方の強さと優しさが…如何に嬉しかったか…きっとエフラムは気づかないでしょうね)
だからこそ…私はエフラムの幸せの為に…彼の手を離すことにしました。
独りぼっちだけれど…一人じゃないから。
私は…あえてあの場所に帰れるのです。
私を一人の存在として接してくれた思い出と、人と過ごした柔らかで暖かい一時を胸に。
エフラムやサレフ…そしてその意志を受け継ぐ者に…この祈りがどうか…届きますように。
END
2007.10.11. From:Koumi Sunohara
★後書き+言い訳★ web拍手にて2006.3.13〜掲載していたものです。 FE聖魔の小話です。 ちなみにミムラの小話ですが…どうでしょう? ミムラとエフラムの支援会話やEDを見る度に少し切なくなるので書いてしまいました。 少しでも楽しんで頂ければ幸いです。 |