今恐れるものはない
大きな世界に自分だけだったら
まるで世界中に嫌われてる錯覚
暗い闇の中より寂しく悲しい
孤独の中の孤独
光を知った後の闇
それはとても恐ろしい
自分が死んでしまうよりも
ゆるく長く過ぎる時間を、転々と過ごす日々を送っていた私。
人と違う事には、大分前から気が付き諦めていた。
ベオクとしての命はベオクの長さじゃ無かったから。
だから誰とも深く関わらず、流転の日々。
けれど何処か、孤独でいることが嫌で…人のぬくもりを求めながら…短い期間側に居る。
それが当たり前…日常。印付きとして…混血児として生まれた宿命だったから。
世俗を離れれば、親しくなった人との別れも無いからそう言った悲しみは無いのかもしれない。
でも…弱い私にはそんな事は出来なくて。
悲しい別れを胸に頂き、それでも人の温かさを望まずにはいられない。
そんな時サザに出会った。
枯れ葉のような細い手に鋭い目つきをした、野良猫の様な子供。
自分とは一回り以上は違うであろう幼い子供。
年の離れた自分の妹に重ね合わせながら…気が付けばサザに手を差し伸べていた。
差し伸べながらも私は何時だって不安と幸福の狭間に居た。
だから…3年前のクリミアとデインとの戦争の折りに、わざとサザとはぐれた。
けれど運命なのか私とサザは相変わらず共に居る。
しかも…デインを敗戦国に追いやったアイク将軍と出会い考え方の幅が広くなったサザは、印付きの私の事も周りも気にしない。
この事は寂しくも有るけれど、昔持った恐怖は不思議と無い。
そして時間の流れは確実に進み、暁の団…嫌いだと思っていたアイク将軍との出会い…女神との戦い。
それらによって、私は…印付きである私も皆と同じであると気が付いた。
ただ姿形が違うだけ…過ぎる時間が違うだけ。
けれど根本は同じだとサザを初めとした仲間が言ってくれた。
限りある時間で有るけれど側に居てくれると言うサザ。
それだけで、私は幸せだと言うことに気が付いた。
だから…今私の心は晴れやかだ。
例え何時か別れがきたとしても…それでも私には幸せな時間が在ったと言う思い出がある事に気が付いたから。
だからもう…私はもう一人じゃない。
おわし
2007.10.11.FROM:Koumi Sunohara