君という宝物
本日晴天なり!
絶好のデート日和!
大好きな君と二人きり。お弁当持ってピクニック気分でちょっと遠出して、植物の多い公園にやって来た。
「さっくのちゃーん!こっちこっち。ここに敷物ひこ!」
キョロキョロしてる君に向かって手招き。
「いい場所ですね。」
「でしょ?ほい、そっち持って。」
ニコニコしてる桜乃ちゃん。やっぱりニコニコしてる俺。
「お天気の神さま、ありがとうー♪」
お日さまに向かって叫んで、ひいたばかりの敷物にゴロン。
そんな俺を温かく笑ってる。
「晴れてよかったですね。」
「桜乃ちゃんの普段の行いがいいからね。」
「はい。先輩も。」
「へへ。」
太陽をいっぱい浴びて二人一緒に上機嫌。
「テニスのラケットとボール…持ってくればよかったですね。」
「んにゃ?どったの?急に…」
「せっかく良い天気だし…先輩…体動かしたいんじゃないかと思って…」
俺のため?ヘヘ…にゃんかうれしいな。桜乃ちゃんからもらう言葉はなんだって嬉しい。ますます俺の顔はにんまり。
「たまにはこんな日もなきゃ。でもありがとね。今度はそうしよっか?」
そう言う俺に極上の笑みで頷く。かわいすぎ!!
本当は邪魔が入らないで二人でのんびり楽しめればどこでも何でもいんだけどね。
他愛もない世間話。同じことを何度も言ってるような気がする。無言の時間さえもが桜乃ちゃんとだから楽しいと思える。
敷物の上でゴロゴロ。なんだかだんだん眠くなってきてウトウトしてるとおでこに向かって何かがゆっくりと落下してくる…。
ポコンッ!
「てっ…」
軽い音と小さな痛み。
転がってるのはゴム製の柔らかいボール。
「すいませーん。大丈夫ですか?」
手に取って眺めていたら前方から声が聞こえた。
ちょうど座った俺と同じ目線の背の高さのの男の子と父親らしき人。
「ごめんね、僕が投げたの。」
少し涙目で謝る男の子。
「にゃは。全然平気だよん。はい、なくしちゃだめだよ。」
「うん!ありがとう!」
返したボールをうれしそうににぎりしめて元気いっぱいに答えてまた行ってしまった親子。
「かわいかったですね。」
「だね。キャッチボールの練習かにゃ?俺もよくやったにゃー。親父は忙しいからさ兄貴たちと。」
こんな昔話も君は嫌な顔しないで楽しそうに聞いてくれる。
「でね、キャッチボールの話を聞いた親父がある日グローブ買ってきてくれたんだよね。俺末っ子だからお下がりばっかだったんだけど…ピッカピカでさー。嬉しくって抱きしめて寝てたなー。」
「わかります。私もお気に入りのぬいぐるみを抱きしめてよく寝てましたから。宝物ですね。」
「そう。宝物!そんな感じ。」
何気ない会話の共通点。同じことで笑いあえる。そんな関係が愛おしい。
「そだ。桜乃ちゃんの今の宝物ってなに?」
ふと気になって何気なく聞いてみた。
首を傾げて考えてる。でもその時間は思いのほか短くて…すぐに笑顔に変わった。
「今こうしてること…です。」
「今こうしてること?」
自信満々に言う君。
どういう意味かなんてすぐにわかったけれど、ちゃんと聞きたいからわざとわからないフリして問い返す。
「えっと…ですね。菊丸先輩とこうやって…二人でいる時間が今の私には何よりも大切で大事な宝物です。」
はにかんで笑う笑顔に照れて微かに染まる頬。
おかしいね。君ならきっとそう言うだろうと図々しく思ってたけど…。君の言葉で聞くそれは予想以上にジンとくる。
胸の奥、うれしくてくすぐったいよ。
「あの…先輩は何かありますか?」
当たり前のように今度は君が聞く。
でもね、迷う事なく答えなんて決まってるんだ。
君と出会った日から…
「そう言ってくれる桜乃ちゃんが俺の宝物!」
笑顔で言って君に抱き着いた。
フイうちには弱いよね?耳まで真っ赤。なんて可愛すぎ!!
腕の中には世界中でたった一つ大事な大事な宝物。
桜乃という名の宝物。
きっともう一生、君だけは手放せないよ。
end.
〜管理人の独り言〜
甘々を目指しつつお前は何がしたいんだい?と突っ込まずにはいられない・・・。
それでも第二段ができてよかった・・・。
ここまで読んでくれてどうもでした。