真剣勝負

−本当に越えるべきは己の心−


色々な事が重なって、重たくて…責任とか…誰かの思いとか…そんなものから逃げ出したくなる。
我慢できる…そう思っていたことも…ある日突然出来なくなる。

ある日突然逃げたくなって。
逃げて逃げて…先延ばしにして…けれども…逃げた所で、何も解決何かしてくれなくて。
同じような出来事が…やっぱりやってくる。

若輩者の俺だけど…何かそんな気がする。
逃げたって無駄だって、半分は気が付いていて…それでも足掻きたくて…逃げ出していた。
仲間の優しさに頼って…。

それでも仕事をしないと気が済まなくて、少し気持ちの楽な仕事をさせてもらう。
皆は優しい。
クッションを置いてくれる…気遣ってくれる。
だから心が痛む面もあるんだ。

部長なのに…部長らしくないと言われてへこむ…不甲斐ない自分。
弱い自分の為に、逃げ道を作ってくれる優しい仲間。

それに応えたいのに…不甲斐ない俺は応えることが…報いる事が出来ているのか?
そんなネガティブな気持ちしか生まれない。

外の敵より…内の敵。
そう言った言葉通り…俺にとって他人の言葉もそうだけど自分の敵は自分の心。
自分自身の劣等感。


自由に進む柔軟性と人を惹き付ける手塚の力は努力だけじゃどうにもならないと思わされる。

他人をひっぱっていく統率力を持つ橘に引け目を感じる。

仲間を完全に信じる心と全てを一任できる信じる心を持つ赤澤が羨ましく思う。

まるで全てを見透かされてるような跡部の目が怖い。

他人にも自分にも厳しいからこその威厳を持つ…心の強い真田に向き合う勇気が無い。


全てが俺に無いものばかり。
だから余計に劣等感を感じる。

けれど…平凡で頼りない俺だけど…それで良いと言ってくれる仲間がいる。
こんな部長としてどうかと思う部長の俺についてきてくれる後輩がいる。

だから…そろそろ…向き合う時間なのかもしれない。
他人の芝は青い…他人の力は凄いと感じる劣等感…それに向き合う時間。

胃が痛いし…耳鳴りだって…呼吸が苦しくなったりするだろう。
けど…俺は自分を越えたい。
最後の年だから…最高の仲間がいるから。

落ち込んだって…また返り討ちにあったって…俺の帰る場があるのだから。
少し勇気を出してみよう。もう一度、部会の席に自らついてみよう。

千石はまだ心配するかもしれないけれど、俺は挑んでいこうと思う。
だってこれは、俺の真剣勝負なのだから。


2007.6.11. From:Koumi Sunohara


★後書き+言い訳★
web拍手にて2007.4.23.掲載作品。
南シリーズの小話でした。
部会に復帰するちょっと前の南ちゃんの心境です。
嫌な事の後の復帰って精神力を削るんですよね…自分を含め(汗)
皆様が南ちゃんのように心を強く持ってくれることを祈りつつ。


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