人一倍本音を隠して居る、困った奴。

一人で抱え込んで、期待にも軽く応える様に見せる。

だけど努力を惜しまない。

そんな姿を見せずに、何もしてないように明るく笑う。

自分ばかりを犠牲にして、皆には苦労を見せない。

良い意味でも悪意味でもしょうがない奴なんだ…。

千石って奴は…。

しょうがない奴
−結局どっちもしょうがない奴−



俺の為に千石が怒る必要なんて本当は無いのだろうと思う。
俺が侮られていたって、何か嫌なことを言われたって…千石が言われた訳じゃない。

だけど彼奴は凄く怒る。
元々自分のことより、自分の身内…何というか気の置けなくなった相手が窮地に陥ると他から見ると軽薄そうに見える彼奴は自分を省みず助ける。
実はおちゃらけ楽天家に見える千石は、熱い男だったりすると俺は思う。

本人に言えば、完全否定されたあげく…違う話にすりかえてしまう。ああ見えて千石は、褒められたり…感謝されることになれていない。
実は結構な照れ屋だ。
色んな意味で分かる奴だけが分かる千石という奴の良い所。

まぁ何て言うんだろう…多少なりとも、人は仲間や親類やら大事な人間が悪く言われれば気分は良くない。
どうにかしようとも思う。

俺だってそうだ…だけど千石が部会にまで出ると言い出したのには驚きを隠しきれない。
しかも…あんなに不機嫌で、怒った千石を見たのは初めてと言っても良いと思う。

(あ…具合悪いの隠して部活出た時も怒っていたか?)

巡らせる記憶で思いつくのは、自分の無理をやった思いで。
あまり怒らない千石を怒らせてる自分が何だか、凄い気もするが…。

ともあれ、俺もかなり千石に心配をかけているかもしれないが…千石の心配性に感心してしまう。

まぁ自分が俺にかける迷惑は気にしないのか?何て不意に思う。
けど…千石の俺にかける迷惑に悪意なんてものは存在しない。

そんな千石を追いかけ回して、怒鳴って…気が付けばワイワイ騒いでる。
怒って注意していた筈が、色んな物を溜め込んだ俺のストレスが綺麗に消える。

分かってやっているのか、はたまた天然なのか不明だが。
千石にかけられる問題事は、大変だけど…苦にはならない。勿論それは、部員達からの問題事も同じ事が言える。

その違いが千石の方が過敏に感じるから…きっと千石は俺自身より怒ったのかも知れない。

(なんつーか…実は一番しょうがない奴は俺なのかもしれないな)

俺はそんな事を思いながら、(千石が何時か自分の辛さを俺に言ってくれたら良いのになぁ〜)などと思う。
やっぱり俺もしょうがない奴だと…切に思いながら。


おわし


2006.6.12. From:Koumi Sunohara



★後書き+言い訳★
「およずれごと」の続編です。ちなみに千石と南15のお題から題名を頂きました。
余計な〜の南視点と言うべきモノです。
千石の気遣いに、何だかんだ日々助けられる事をしみじみ感じる南を書いてみました。
案外お互いを補い合ってる良い関係だと勝手に思いこんでおります。
おつき合い頂きまして有り難う御座います。


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