穏やかで

平凡だけど優しい

時に厳しいけれど

暖かい人



そんな人のささやかな反抗に誰も文句なんて、言えやしないと俺は思う。


先輩・後輩

−後輩の危惧する想い−



普段通りに常勝立海の練習をこなしていた時、俺は意外な言葉を柳先輩の口から聞く事となった。

その内容は関東テニス部長会で起きた出来事。
かなりはし折られた内容だたけれど、わかりやすいと言えば分かりやすかったが。大方飽き性な俺の為の柳先輩の気遣いなんだろ。

兎に角その内容が本当にビックリ。
しかもだ…南さんがストライキを起こしたと、柳先輩から聞いた。
それを聞いた時正直、嘘だと思った。

数回しか会った事の無い人に対して、変かもしれないスけど。真面目で気遣いの人か他人に迷惑をかけるなんて想像がつかない。

俺だったら余裕で迷惑かけまくりだけどさ。
まぁそれとこれは話しが違う訳で。

南さんがストライキ何て驚くばかりと言うのが、本当に俺の正直な気持ち。

会う前の俺ならば、多分真田副部長から与えられた知識と、勝手な予想で南さんを非難していた。多分じゃなくて、確実にな。
けど俺は知ってしまっている。南健太郎と言う先輩の人となりを…。

(どがつくぐらいのお人よし、そんなあの人が部会をストライキする何て、天変地異が起きるより稀なんじゃないだろうか?部会で虐めとかあったんスカね)

ぼんやり思う。

(虐め何て真田副部長や青学の手塚さん辺りが嫌いそうだから有り得ないスカね。…あ…逆に繊細な人なら副部長の言葉キツイかも)

はたと気付き…言葉を失った。

(毎日付き合っているせいで気付かないけど…つーか耐性が出来ている俺ですら厳しいのに、一般人代表良い人南さんが傷付かない訳が無いよな〜)

憶測でしかなくて、きっと幸村部長当たりなら事の真相を知っていそうな気もする。

聞けば教えてくれるだろうけど、後々の事を考えると危険かと無い頭でも思うわけで。
真相は南さんに聞かない限り分かりそうにも無い。

(南さん教えてくれないだろうけどね…気を遣わせると思ってさ)

そう考えると結局真相は闇の中。
でも今回ばかり俺の予想は当たっている気がする。

きっときっと…真田さん達が南さんの人柄を知るまで、このストライキは続くのだろう。
南さんに入れ知恵した人によって。

「さっさと気付いちまえば良いんスよ」

南さんの人柄に…そんな言葉は飲み込んで、何気なく出たのはそんな言葉。
自分でも声に出してしまった事に、驚けば…勿論気が付いた人もそこに居た。

「何か言ったか赤也?」

不思議そうな顔をする柳さんに俺は、ヘラリと笑い返して。

「へへへ。独り言スよ」

と何時もの様に返した。
柳さんもそれ以上聞かなくて、俺は何となく空を見上げる。

(本当に気付いて下さいよ真田副部長…長引くと…幸村部長が怖そうスからね)

おわし

2006.10.11.From: Koumi Sunohara


★後書き+言い訳★
2006.9.13よりweb拍手掲載作品。
南部会シリーズのその頃赤也君って感じです。
南と接触している赤也にしてみれば、南のストは衝撃的だろうと言うわけで。
こんなお話に相成りました。
さてさて、真田副部長はどう出ることでしょう…そして幸村は…。
期待させておき…そんなんでもない話を書く癖に煽ってどうするんだろう?
とりあえずお楽しみ頂ければ幸いです。


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