雪が降ったら
−丸井さん宅のクリスマス事情−



イルミネーションがキラキラと町並みを色づかせる頃。
少し舞う粉雪と凛とした風が頬を掠める。
世の中は冬のイベント、クリスマスへと浮き足立つ。

ショッピング街のディスプレーも所謂一つのクリスマスカラーに染められ、デパートもクリスマス商戦に大忙し。
プレゼントやクリスマスケーキ…キリスト教が多いわけでは無い日本なのにやけに盛り上がる行事の一つになっている。

家族や仲間で騒ぐ行事が基本的に日本人は好きなのかもしれないが…。


−11月下旬

少しづつ冬の気配が押し迫る時期。
吹く風は肌を刺し、息を吐けば白く色づく。
朝早く目覚めれば、小さな水たまりに氷が貼る季節。

ショッピング街も徐々にクリスマスに向けた、装飾が増えてゆく。
お馴染みの赤と緑のコントラストだったり、大きなもみの木に盛大にクリスマスの装飾をする。

外の寒さに反比例するように…街自体が何だか、浮き足立つような陽気な雰囲気を醸し出す。

世の中の子供達と恋人達がクリスマスを待ち遠しく思い始める…そんな11月下旬。
まぁその逆に、プレゼントを用意する側の人間やサンタクロースは大忙しの上に、財布が寂しくなるそんな時期なんだけれど。

そんな世の人達と同じなのだけど、少し論点が違う家がある。
立海大付属に通い…強豪テニス部レギュラーである丸井ブン太のお宅である。

別に凄く変な家という訳では無い。
そして信心深いクリスチャンという訳でも無い。

ただ…クリスマスと言うイベントは、丸井さん宅は色々な意味で大変なのだ。


−某日 丸井ブン太宅

丸井ブン太は自分は兎も角、他人から見ると凄い甘党の部類に入る。
ケーキバイキングに行けば、全種類のケーキを食べ尽くし…それに加えてかなり底なしの胃袋でホテルの従業員さん泣かせだったりする。
もしかしたら、ケーキバイキングブラックリストに載ってるかもしれない程…彼はケーキ…スイーツと呼ばれるものをよく食べる。


そう丸井さん宅の論点が違う所は、クリスマスケーキ選びなのだ。
クリスマスの食事より…プレゼントより…大問題なのがこのクリスマスケーキ選びなのだ。

如何せんこの時期は、各ケーキ屋…パン屋…ホテルが命がけでこの商戦に挑むのだ。
通常じゃ考えられない、ケーキのクリオリティーの高さは値段と共に比例する。

しかも毎年デザイン味が、一新されれば迷うなと言う方が無理な話なのかもしれない。
通常なら、今年はあのケーキ食べるから来年は違う所と変えれば良いのだけど…そうもいかない。

更に困った事に、この丸井家…家族全員甘党ときてるのだ。
ケーキ選びが難航するのは目に見えている。

長男のブン太を筆頭に好みが皆バラバラだったりするのだ。

「兄ちゃん今年は僕らがケーキ選ぶんだからね」

「何?1個ぐらい俺に選ばせろい」

大人げないぐらいに、文句をたれる長兄。

「大きいのにお兄ちゃん我が儘言わないの」

母親も軽くブン太をたしなめる。
けれどブン太は何処吹く風。

「大きいも小さいも関係無いぜ。クリスマスケーキは特別だろうい」

さも当然に言い切るブン太。
弟と母は呆れた様に兄を見た。

「あれだね…パティシエールの彼女か嫁を貰わないと…駄目だね」

さりげなく言う弟と母だが、ブン太の耳には届かなかったのは言うまでも無い。
今年のクリスマスケーキも大いに悩む丸井家であった。


おわし

2007.12.10. From:Koumi Sunohara

★後書き+言い訳★
Christmas5のお題より。
テニプリ駄文ブン太のクリスマス事情でした。
本当に最近のクリスマスケーキの多さに迷いまくる管理人です。
中学生なら…そして甘党なら迷うはず…そんな安易理由で出来たお話です。
少しでも楽しめたなら幸いです。

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