俺はただの運び屋で、仕事で人に手紙とか物を届けるのが仕事だ。
だから、届けるものに興味を持たず、ただ事務的に仕事をこなしてきた。
それが当然のことであるし…有る意味公平を保つためには必要なことだった。
友達はそんな事をしている所為か、正直ほとんど居ない。
寂しいと思わないことは無いことは無いけが、仕方がないと思う。
そんな俺が、面倒事に巻き込まれる何思いもしなかった。
それは、何時ものように、仕事をして居る時だった。
今回だって“夢原のぞみ”と言う人物に手紙を預かったにすぎなかった。
手渡せば終了。
普段通りに仕事が終わるはずが、気がつけば俺は彼女達と共に居る事になった。
この事は、今でも不可抗力だと思うけれど…だけど、今は悪く無いと思っている。
きっとのぞみのお陰なのかもしれない。
はじめて出会った時から、変わっていて、おっちょこちょい、お調子者、ドジで……それでいて明るくて前向きで。
取り柄なんてなさそうで…むしろ欠点が目立っているけれど、不思議と側にいて安心できる。
真っ暗闇に灯る、光のように優しく明るい。
その時ふと分かった事がある、場を和ます事が彼女の夢原のぞみのその人の取り柄なんだと…そう思った。
だからだろう…彼女の周りは人が自然と集まる。
皆のぞみより優れてる者ばかり。
普通だったら反発しあいそうな、組み合わせが集まる。
でも…のぞみが居ると不思議とバラバラが一つにまとまる。
のぞみが人を引き寄せて…そして気が付けば共に居る。
今の俺のように。
シロップとしての自分と…人間シローとしての自分。
途端に騒がしく、世界が急に明るくなる。
そう思いめぐらせながらも…。
「まぁ…色々巻き込まれるけど…」
少し愚痴が零れることがあるけど。
増えてゆく、人との関わりと優しさと暖かさ…こんなに、世界は暖かい。
おわし
2008.6.13.From:Koumi Sunohara