何処かにありそうで…君だけの持ち得る力


俺は…偏差値も…部活動も悪くない藤森に通う学生だ。
とりとめて何かに抜きんでる訳でも無く、埋没しているしがない一般生徒。

遠巻き姫を眺め、目の保養をし…坂本様の癒しのオーラの恩恵にあずかる。
それが日常でそれが藤森の平和なのだろうと、俺は常日頃ぼんやりとながら感じていた。

だが…ソレは…御鷹と言う転校生の選挙参戦によって崩されようとしていたんだ。

まぁ一概に御鷹ばかりが悪いわけでは無いとは思うけどさ、でも彼奴が来るまでは確かにギスギス感も無く…平和って感じたのは事実。
統率力やカリスマは絶大だろうけど、癒しなんて微塵もない…。そんな御鷹に惹かれる人間と坂本様を支持する人間が…別次元なのも分かる。

だけどさ…選挙のためとはいえ自分の支持者が言い争ってるのに見て見ぬふりは如何せん頂けない。
ソレに比べて坂本様は、どうにか出来ればと奔走しているのに…

考え方の違いと言えばそれだけだけだけど。

でもさ…藤森の連中に…。

貴方にとって坂本秋良はどんな人ですか?


藤森の生徒の大半にこの質問をしたならば…。
大半の答えは俺と同じ様な科白になるだろう。


「それは勿論坂本様」


一般性とである俺にとって坂本様は…坂本様以外の何者でも無い。

別に強要されて言ってる訳でもない。
ただ何となく、気が付けば坂本秋良という人物は“坂本様”となっていた。
誰が言い始めたとか…きっかけは何か?何て今更だけど…坂本様と呼ぶ事が嫌だとか…不快だとかは思わない。

大抵の連中も…違和感なく坂本様って呼んでるんじゃ無いかねぇ。

まぁ姫のように気安い訳じゃないし…凄いカリスマを持ち得ている訳じゃない。
そうだなぁ〜何処にでも居る…何処かに居る…平凡な感じ。

それ故に感じるのは、親しみやすさと…それ以上に周りに対する気配りの凄さだ。

普通なら一手打った後に次の手ぐらいは考える。
だが坂本様は、それよりも先の何手も先を考えているんだ。

それには流石に脱帽するし、その凄さをひけらかす訳じゃないのが更に凄い。
もしかしたら、周りは坂本様のその凄さに気が付いていない奴らも多いのかもしれないが。

だけど…何となくだけど坂本様の人柄に、誰者が“坂本様”と言うことに抵抗を生まないのかもしれない。それが本当に凄いと俺は思うね。
だから坂本様が会長って言うのは悪くは無いと思うんだけどさ…。

本当はさ…坂本様以外が会長にって思っていた。
何て言うか…これ以上縛られなくても、坂本様は坂本様な気がするし…寧ろ心労ばかり増えるよかマシだって。
でも…御鷹が会長って言うのは頷けない。

で…俺は誰に投票するんだ?だって?

そんな事決まり切ってるだろう。

「勿論…坂本様。御鷹に毛嫌いとかしてる訳じゃ無いけどさ…やっぱり俺にしてみれば会長は坂本様以外に居ないってこれが俺の率直な意見かな」

御鷹の居なかった…あの日の平凡で平和な日常を祈って。


おわし


2005.5.19. From:Koumi Sunohara


★後書き+言い訳★
2005.4.22.web拍手に掲載していたモノです。
第三者(坂本様贔屓)視点です。
時間としては生徒会選挙期間中と言ったところでしょうか。
私自身が坂本様贔屓なのもで、このような話ですが…。
ともあれ、楽しんで頂けたら幸いです。


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