それだけで幸せ  

幸せは些細な事から始まる。
今日は良い天気だったとか、茶柱が立っていたとか…好きな人に出会えたとか…。
そんな気が付かないけれど、小さな幸せが私の中で大きな力になるのです。

と言っても…気が付いたのはつい最近の事のですけど。


昔は自分の不幸とか人への対抗心とかが強くて…そんな小さいけれど幸せな事に気が付かなくて。
吐いて出るのは愚痴や妬みと言う負の気持ちばかり。

沢山くれる愛情や好意いにも、素直じゃなく疑心に満ちた思いでしか見ることが出来なかった。それが家族や…親戚であっても。

自分の生い立ちにも少なからず影響も有ったかもしれない。
それでも、素直に認めれなかった…いいえ…ソレにすら気が付く事なんて出来なかった。

あの方…祐巳様…いえお姉様に会うまでは。

初めては脳天気で悩みの無さそうな人。自分とは違いすぎる、その人に反発感を覚えた。今思えば、なりたい自分…憧れる思いから反発だったのだけど。

きっとこの人とは合わないと言う気持ちと大好きな祥子お姉様の妹と言う人に、凄く嫌な態度をとり続けた。
勿論好かれよう何て思ってもみないから、声なんてかけれれる筈もないのに…祐巳様は、こんな自分に当たり前に接してきた。

そうして話かけられる内に…反発から変わった人に気持ちが移り…気が付けば心の中に辺りの前の様に居る存在になっていた。

他人に壁を…肉親にすら距離を持っている自分にとって、その事態は大事で…。
捕まらない様に逃げに逃げた。
けれど、そんな私を祐巳様はいとも簡単に追ってきて…妹になってくれと言ってきた。

晴天の霹靂で…最初は逃げたけど。
色々自分の中の葛藤を越えて、少しだけ素直に認めてみた。
すると難しく考えていた事が嘘のように…世界は晴れ渡っていた。

家族の愛情…友達の優しさ…祐巳様を慕う…そんな気持ち。
小さな…本当に当たり前に有った物を反らさなければ、気づけた気持ちに気が付いた。

それも全て姉になってくれた祐巳様のお陰。
何時だったか会話したその話が、今の私が小さな幸せに気が付かせてくれたのだ。


「祐巳様」

「瞳子…お・姉・様でしょ?」

「すいません。お姉様」

「何かな?」

「お姉様にとって幸せって何をした時幸せだと感じられますか?」

「ん?幸せか…美味しい物を食べた時、山百合会の皆や友達…お姉様と話したり遊んだりするときもそうだし…勿論瞳子と今話してるのも幸せな事だよ」

さも当然に紡がれる言葉。

「普通な事が幸せなのですか?」

「うん、そう。小さな幸せってやつ…気が付けば当たり前が幸せだったりするんだよ。だから瞳子も小さな幸せを探してみると良いかもしれないね」


そのさり気ない一言から、私は小さな幸せ探しをしてみるようになった。
そして今…小さな日常を感じる事…お姉様や友人に囲まれる普通…それだけで私は幸せだと思えるようになった。
当たり前という日常を…。

おわし

2008.2.11. From:Koumi Sunohara

★後書き+言い訳★
幸せに関する5お題4番「マリみて」小話です。
姉妹関係になってその後…管理人勝手な解釈で御座います。
紆余曲折が有りましたが、瞳子ちゃんが姉妹になれて良かったです。
そんな思いもありまして、幸せになって欲しいと勝手に思っています。
小さな幸せ意外に気が付きませんが、案外沢山有る物です祐巳ちゃんならきっと、沢山気が付くんだろうなぁ〜と言う思いながら出来たお話です。
楽しんでいただければ幸いです。

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