−過去を重ねる貴方へ−





自分というモノは自分自身からでは見ることは出来ない。
だけれど、自分と似たものを見ることで…自分自身の気が付かなかった事に気が付けるのだと思う。

それは悪い面でもあり…良い面でもあるかもしれないけど。
それでも…立ち止まり振り返る事は大切なんだと思う。

お祖母様が亡くなったあの日から私は切にその大切さに気が付いた。

蓉子お姉様が連れてきてくれた、祐巳の存在の有り難さ。
周りの人に支えられる心強さ。

その時の御陰で、私は少し強くなれた。
花寺で祐巳が行方不明になった時も、避暑地で祐巳がやり玉にあげられたときも…。
祐巳の姉として対処できるようになった。今でも祐巳には迷惑をかけているのだけど…。


それに比べて…あの頃の私は、本当にどうしようも無いぐらいの我が儘な妹だった。

お姉様の優しさに甘え…したくないことは逃げてきた。
プライドばかり強くて、人に弱さなんてみせたく無くて…壁ばかり作っていた。
薔薇様の仕事も…ただ仕事が進めば…周りとの関係もも気にかけていなかった部類に入ると思う。

だけど…祐巳に出会ってから…人との繋がりの大切さを知った。

箱庭から足を踏み出すきっかけをくれたのは蓉子お姉様。
そして…踏み出せたのは祐巳の御陰。

どちらも普通の家庭で生活した人。
どちらも人の優しさを知る人。

蓉子お姉様と祐巳ではまったく別人だけれど。
それでも…祐巳と瞳子ちゃんの二人を見ていると思い出す。

過去の自分。
プライドが高く…どうしようもなかった。
素直になりたいのになれなくて…誰かに気が付いて欲しかった。

だけど…蓉子お姉様に出会い…人との関わりの大事さと…令と言うかけがえのない友人が出来た。
祐巳という大切な妹に支えられている。
そう考えると私の昔は後悔ばかりでは無かった。

だから自分とよく似るあの子と祐巳が気になる。

だって祐巳も何時しか姉になるから。
それは…自分に似た瞳子ちゃんかもしれないし…祐巳を慕っている細川さんかもしれない。
否…まったく想像のつかない後輩が…祐巳の妹になるかもしれない。


素直じゃない…何処か私と重なる貴女

何時か…貴女も立ち止まり振り返る日が来たとき

どうか後悔ばかり渦巻く思いを持たないで

例え貴女が祐巳の妹にならなかったとしても

少しでも昔の自分が誇らしく…良かったと思える日を

私のように…良かったと思える日が来ること…

切に願う



おわし


2005.3.30. From:Koumi Sunohara



★後書き+言い訳★
祥子様と瞳子ちゃんて…地味に似ているのでは?
と思った事から出来た話です。
ですので、祥子様ファン並びに松平嬢のファンの方には微妙な話かもですね。
お嬢様ですしね…性格というか…ちょっと素直じゃない所とか似てると思うのですよ。
あくまで私的見解ですよ…。
でも蓉子様に会う前の祥子様は、松平嬢を思わせそうかと…。
ともあれ、そんなこんなで出来た話ですが楽しんで頂けたなら幸いです。



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