表と裏の境界線
女の子の大半の子が一度は憧れる白馬に乗った王子様。
実際に馬に乗って登場されても困るけど…お伽噺に出てくる王子様に憧れる事がある。
王子様に関わらず、姫を守る騎士とか…漫画や小説に出てくる主人公や人によっては様々。時々少し陰のある主人公のライバルの様な存在に憧れる事もあると思う。
たいていは、女の子に優しくて…顔だちも良く、スポーツ万能…もしくは成績優秀とか乙女心を擽るようなオプションが付いている。そんな男の子に女の子は憧れを抱く。
顔が悪いより勿論、整っているほうがいいに決まってる。
顔じゃないというけど…容姿もポイントの一つだと私は思う。凄い高望みは何てしないけど。
私の場合は白馬に乗った王子様よりも、憧れのお姉様を追いかけるの必死だけど。だからと言って恋愛感情は無い。自分には無いものを持つ人への強い憧れっていううのが大きい。
私の通うリリアンが姉妹制度を行っている所為もあるけど…。
私の憧れの人は小笠原祥子様。紅薔薇の蕾で、生粋のお嬢様…ピアノを演奏されている姿を見て一目ぼれのように憧れを抱いたのは昨日の様に思い出せる。
孤高の深紅の薔薇。
紅薔薇の名前通りの雰囲気を持つ憧れの人。
見ているだけで十分に幸せを感じることが出来る。
本当は言葉を交わしたりしたいと言う気持ちは凄くある。
けれど、届かない現実も容易く受け入れている自分が居る。
私の憧れの人。
それと同じように、王子様に憧れる子も沢山居る。
王子様なんてそうそう居ないと思ったら、実は王子と言って差しさわりの無い人が居る。
花寺高校の柏木優さんと言う人である。
容姿も運動も人当たりも良い…リリアンで言うところの薔薇様方のような存在。
男の人で本当にそんな人が居るのだと、ビックリするぐらい見た感じは完璧な王子様。
私のクラスメートの何人かも柏木さんを王子様と慕っている女子生徒は少なくない。
(完璧な王子様なんて本当に居るのかな?)
周りの話を聞くたびに私はそう思わずにはいられない。
その顔が表情にでるのか…周りからは…。
「祐巳さんが祥子様に憧れを抱いているのと同じ事よ」
とやんわりと言われる。
(確かに、私もまた祥子様の表しか見ずに憧れているけど)
言われてみて、そうかと思う。
私が憧れているのは祥子様の表面…皆が憧れているのは、柏木さんの表の部分。けして、内面…裏の部分が分からないまま憧れる。
知りたいけど、知りたくない。
触れたいけど触れられない。
そういった矛盾の中で、憧れと崇拝に似た気持ちを抱く。
(まぁ…どちらにしても私とはきっと無縁なんだけど…)
フーっと溜息を一つ吐いて私はそう思わずにはいられなかった。
ひょんな事から、私は祥子様と王子様と呼ばれる柏木さんの表と裏の境界線以上の事を知っていく事になるなど、憧れしか抱いていなかった私にはこの時しるよしもなかったのである。
おわし
2014.4.6.(WEB拍手掲載日:2013.11.2〜) FROM:Koumi Sunohara