雲の様な人
−掴めそうで掴めないもどかしい距離−


単純そうに見えるのに…表情だって凄くコロコロ変わって分かり易い。
けれど、不思議と掴み所が無い。

実際に触る事も出きる、何かを言えばすぐに言葉が返ってくる。
打てば響くとはよくいったもので、祐巳ちゃんは一般的に分かり易い子だと思う。

祥ちゃんと話すときは、満開の花が咲き乱れる笑顔。
俺と話す時は、威嚇してくる子猫。

友達話すときも、柔らかく楽しそうな雰囲気を出し…ユキチとの掛け合いもとても自然で楽しそう。

(家族と過ごす顔はそんな表情を見せるのか…)

そうしみじみと思わせるような、百面相の持ち主だ。能面の様な顔じゃ無い分、祐巳ちゃんの表情は本当に分かり易い。
けれど、それは嫌な感じがする訳では無く、単純に見ている側も悪い気分がしないんだ。

季節が移るように…空の雲が少しずつ表情を変えるように、それは当たり前に変化する女の子。
とても近い様なのに、手を伸ばすと遠く感じる。
例えるなら空に漂う雲だろうか…。

それは俺だけが感じる訳でも無いようで、彼女の姉である祥ちゃんも感じるところがあるようだ。

頼りなく揺れ…盲目的に祥ちゃんを追うかと思えば、距離を取ってみる。
その距離の間に、前よりも急激に成長を見せる。

それでも根底は変わらないから、やっぱり祥ちゃんを思う気持ちは変わらないし…友達を大事にする…そして俺をライバル視するのは変わらない。

だけど、初めて出会った日からは…少しづつだが俺に対すする態度が軟化してきているのは、俺の勝手な妄想だろうか?

(まぁ…マイナスからのスタートにしては上出来か…)

ぼんやり空を眺め、夏雲が浮かぶそれを眺めてそう思う。焦らずゆっくりと、俺に祥ちゃんに向ける1パーセントでも笑ってくれることを祈りながら。
雲を掴むように難しい…けれど、雲と違って実際に居る祐巳ちゃんとの関係を焦らず近づける事を願いうのだ。


おわし

2008.7.16. From:Koumi Sunohara


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