あしびきの
−何時か伝えるために綴る想い−




昔の人は想いを文に綴ったり唄を送って好意を伝えた。
でも今は割とストレートに告白何か出来るご時世。

だからこそ…自分の思いを余すことなく相手に伝えるのは至難の技だと思う。
そう…言葉にするのは簡単のようで難しいのだ。

それにね…相手にもよると思うんだよ。

今まではそんな事気にせずに、自由に愛の言葉を口にして…色々な子とつき合ったりしたけれど…。今回ばかりは、どうにもならない。

彼女は僕の事を良いイメージを持っていないし…対象として認識してくれないかもしれない。第一彼女…祐巳ちゃんの一番は祥ちゃんであって僕じゃない。
大好きなお姉様を振った張本人を快く思ってくれる訳もない。

あと何というか…祐巳ちゃんは僕の言葉をあまり信じてくれない。
例えば本気で愛の言葉口にしたとしても…。
言った所で君には、冗談としか受け取られることは無いかも知れない。

それでも…伝えたい言葉は山積みだ。
本当にこの想いは質が悪い。

好きだと想う

寧ろ…愛おしいと想う

側にいて欲しい


上げれば無尽蔵に出てくる、彼女への想い。
だけど今はまだ言えないんだよね…この関係を壊したくないと思うから。

でもね本音を言うと…急ぎたい…誰よりも先に先手を打って…。
君の…祐巳ちゃんの気を引きたいけれど。
だけどね…この状態は本当にハッキリ言って分が悪いことこの上ないんだよ。

気が付けば周りは祐巳ちゃんの魅力に気が付いた敵ばかり。
先代の薔薇様方は勿論…彼女を取り巻く人間は彼女に好意を持つ。そう言う僕もその一人。

(まぁ出だしは遅かったんだけどね)

しかも今や花寺もリリアンも彼女の信者はごまんといるだろう。
何せこないだの学園祭のチケット争奪戦で…ユキチが大変な目にあったので…ハッキリと世の中に知らしめられたわけだしね。

でも今は動かないよ。
ゆっくりと…祐巳ちゃんとの関係を良好にしていきたいからね。

(だから…困ったら僕を頼ってくれると嬉しいんだけど)

不意に浮かぶ僕の想いは…彼女の大切なお姉様であり僕の大事な従妹である祥ちゃんによってかき消される。
だけど何時か祥ちゃんの次でも良いから、彼女に頼られる存在になりたいと思う。



今やっと手にし始めた…小さな信頼関係だからこそ

ゆっくり…秘めたる思いを綴るだけに止めておこう

何時か君にこの想いを伝える為に


END


2005.4.14. From:Koumi Sunohara



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