−おまじない− |
今日も8班『紅班』は、森でサバイバルの実習をしていた。
時間は、程なくお昼をさしいている。
無論、今はお昼休み。
「赤丸〜、腹減ったな〜」
「わん」
犬塚キバと愛犬…、もとい忍犬赤丸は、腹を鳴らしていた。
その様子を、無表情でながめるは、油女シノ。
いつもの、8班の昼休みの一時。
しかし、何かが物足りないといった顔のキバ。
(あ?何か足んない気がするんだけど…)
キバはシノを見て、首を傾げる。
赤丸も同意見なのか、キバと同じような動きをする。
少し考えて、シノは、呟く。
「ヒナタが、居ない…」
「ああ!成る程ヒナタが居ないのか」
納得する、キバ。
そう、普段ならあの時点で、「じゃー、お昼にしようか?」と日向ヒナタが言う。
その、ヒナタが今は居ない。
「でも、何でヒナタが居ないんだ?」
“分からん”と言いたげな、キバが独り言のように呟く。
シノも、“分かりかねると”いった顔をする。
「まっ、その内帰って来るか」
キバと赤丸は、思考をやめてご飯をたべはじめた。
それから数日、ヒナタはお昼の時間になると“ふらり”と姿を消した。
「3日、4日ぐらいなら分かるけどよ〜、今日でもう、7日目だぜ」
キバは、ヒナタが居なくなっていることが、気になってしかたがないらし。
別に、ヒナタに限って悪いことはしないであろー事は、分かり切っている。
だからこそ、何も言わずに黙って消えれば、心配になるのは世の常。
(ナルトのストーカーでも、してるのか?)
馬鹿らし考えが、キバの中で浮かんだ。
ヒナタが、ナルトに片思いをしているのは、8班全員している事。
その為、キバはそう思ったようだ。
「それは、無い」
“げんなり”とした顔で、シノを見るキバ。
「シノ…お前いい加減に、人の考え黙って読むのやめろ!!」
シノは、相変わらず無表情でキバを見返す。
まるで「読まれる方が、悪い」と言いたそうに。
「けっ…赤丸!ヒナタを探せ」
少々、苛立ちながら、赤丸に命ずるキバ。
赤丸は、キバの声を合図に森の中をかけだした。
2人は、黙々と赤丸の後を追う。
赤丸は、ズンズンと林の中を進む。
ここまで、愚痴一つなかった2人も独り言のように「怠い」等と呟き始めた。
「ヒナタの奴、こんな森の奥で何やってるんだか…」
苛々して、キバが紡ぎ出された言葉に、シノも同感だと言わんばかりに、頷く。
長い森の雑木林を、抜けると少し小高い丘に辿り着いた。
「キバ…あれ…」
シノは、丘の上に居るヒナタを指さす。
「あんな所に、いやがったか…」
キバは、声をかけるべく近寄ろうとしたが、急に動きを止めた。
(ヒ…ヒナタ)
「どうした、キバ声をかけるのだろう?」
シノの声に、キバは意識を取り戻す。
「…なー、ヒナタの頭の上にあるのって、ピラミットだよな〜」
小声で、シノに呟く。
冷静に、頷くシノ。
その答えに、さらに意識の飛ぶキバ。
「キバ…?」
シノの問いかけに、首をブンブン振るキバ。
「何だか、聞く気失せたわ…」
と呟くだけだった。
「そうか」
シノは納得したように、答える。
「赤丸!戻るぞ」
こうして、2人はその場を後にした。
次の日の昼。ヒナタは、やはり昨日と同じ場所に居た。
キバは意を決してヒナタに声をかけた。
傍らには、シノが黙って見ている。
ヒナタの返答は無い。
その様子に、苛立つキバ。
「あれ?キバ君、シノ君///」
慌てて、顔を赤らめるヒナタ。
「あれ?じゃねーよ」
キバは、頭痛を覚えた。
それでも、キレないように、平静を装うキバ。
「その頭の上のピラミット何なんだ?」
ヒナタの頭の上のピラミットを指す。
「えっと…あの、これは、別に…////」
しどろもどろな、ヒナタ。
キバは、頭痛を通りこして、眩暈さえ覚えた。
「ヒナタは、まじないでもしていたのか?」
シノがヒナタの側に置いてあった、ファンシーな表紙の本を拾いあげ尋ねる。
恥ずかしそうに、頷くヒナタ。納得をしたのか、シノは本を見る。
「はじめっから、そう言えばよかったじゃねーか」
キバは、呆れ顔でヒナタを見る。
「…?」
本を見たまま、少し固まっているシノをいぶかしげに見つめるキバ。
「おい…シノどうした固まって」
シノは、言葉を切りながら、呟く。
「ヒナタ…ちゃんと読んだか?」
「へっ…?読んだけど」
ヒナタは、慌てて答える。
「多分、それは失敗だぞ…」
「え〜!?」
滅多に声を荒げないヒナタが叫ぶ。
不思議そうに見つめるキバにシノは、黙って本をわたした。
本を数ページ見るキバ。
「あ?“イキイキとした女の子になれる”おまじないだぁ?」
その書物には以下のように書かれていた。
@厚紙でピラミットで作る
A@を頭にのせリラックスする
B3分間瞑想
C7日間と半日行う
「別に間違ってないよ〜」
弱々しく抗議するヒナタ。
「シノ、別に間違ってないだろうけどよ〜、そのピラミットは、でかすぎたぜひなた!」
ヒナタは俯きながら、本のすみを指さす。
※又、ピラミットに身に付けるものを入れ、7日間と半日置き、身に付けると同じ効果が有る。
「で、お前は何入れているんだ?」
(まさか…ナルトが入ってるんじゃ?)
やや壊れ始めているキバ。
「えっ…クナイだけど」
あまりにも、まともなものだったので、キバは少し、拍子抜けした。
「あっそ…」
キバは、自分が疲れているじゃないだろうか?と思いつつ、溜め息をついた。
「違う」
シノは、二人のやり取りを見ていた、シノがヒナタに再度指摘する。
「あっているよ〜!!」
「AとBは、いらないぞ」
あくまで、用件のみしか言わないのは、シノらしいところだろう。
ヒナタは、少し頬を膨らませる。
「でも、AとBやったほうが効きそうだよ」
(オイオイ、そうゆ問題じゃないだろう?)
(わう!)
キバと赤丸は顔を見合わせる。
「“おまじない”も呪術も手順通り、しなければ、効果は見込めないと思う」
淡々と述べる、シノ。
「う〜」
ヒナタは、シノをみて唸る。
「自分で努力した方が、良い」
シノは、ヒナタの髪を“クシャリ”と撫ぜると、その場を後にした。
「そんなのも、程々にしとけよ…午後練遅れんなよ」
キバも、シノに習って赤丸と共にその場を去った。
残されたヒナタは、2人の背を見送る。
「よし!次こそは、頑張るぞ!!」
あまり、2人の言葉を分かってないヒナタが、拳を“ふるふる”させて、意気込んでいた。
後日談であるが…
しばらくの間8班の面々は、ヒナタのおまじないに振り回されたのは、言うまでもない。
おわし
2001.3.28. From:Koumi Sunohara
★後書き★ なんとなく、古本屋で見つけた「おまじないの本」を見て、 思いついた話です。 なんとなく、しばらくこの話題で、8班話を書く事が、増え そうです。 ヒナタとか、サクラは、「おまじない」とか、「占い」が好き そうなので、そうゆうのも書きたいと思ってます。 それにしても、私の書くモノは、落ちが無い。 ははははは、何時も書き逃げしてるし。 私には、これが限界ということで。 やはり、書き逃げ。 |