鳥になる時 |
鳥のようになりたいの。
自由に羽ばたく、翼が欲しいの。
夢に向かって行く君に、近づく為に。
鳥になったら、貴方の側に行けそうだから。
空を仰いで、空に舞う鳥を見た。
自由という名の翼を、はためかせる鳥たちに、私の心は想い募るばかり。
空の蒼は、あの人の瞳と同じ蒼い色をしているから。
そこを、舞う鳥達を羨ましく想えて、溜息がでた。
「鳥になりたいな〜」
知らず知らずに、漏れた言葉。
“はっ”として、私は、辺りを見渡す。
そこには、私ただ一人だけ。
ほっとして、また鳥を見て、溜息一つ。
両手を広げて、風を感じる。
そんな、事をしても飛べない事は、分かり切っているけれど…。
(もしかしたら、飛べるかな?)
想いを馳せて、もう一度風を受ける。
(やっぱり、飛べるわけないよね…)
空を見上げて、苦笑を浮かべる。
(無いモノねだりなのも分かっているけど、せめて、私に翼があればいいのにな〜)
晴れわたる空。
「綺麗な空」
私は、ぼんやりとまた空を見上げた。
どの位、ぼんやり空を見つめていただろうか?
空は、もう紅く染め上げられていた。
それに、気づいたのも私を呼ぶ声だった、と言うのは少し間抜けだったかな?
「ヒナタ、何見てるてば?」
「ナルト君」
任務の帰りであろう、ナルト君が私に声をかけた。
「空を、見てたの。ナルト君は、任務終わったところ?」
「そうそう、今日も疲れたってばよ〜」
「ふふふ、お疲れさま」
ナルト君は、優しく笑い返し、私に尋ねる。
「空に、何か良いものでもあったてばか?」
「うーん、特に無いけど鳥を見てたの」
ナルト君に、そっくりな空を見上げる。
「鳥がね、羨ましいかったんだ」
「何で、でってば?」
不思議そうに私を、見るナルト君。
「だって、どこまでも飛んで行けるでしょう?」
私は、曖昧に笑って言う。
「でも、雨の日とかは大変だと、思うてばよ」
「え?」
「飛びたくない日も、飛ばなきゃいけないのは、辛いてばよ」
まるで、自分がそうであるかのように、酷く悲しい顔をするナルト君。
「それでも、あの青い空に憧れるよ…(ナルト君と同じ、色を持つ空に)」
「青い空?」
「うん、青空」
「確かに、綺麗だけど…、でも急に、ヒナタは鳥のようになりたい、とおもったんだてば?」
”やぱり、分からない”と、首を傾げるナルト君。
私は、しどろもどろになりながら、言葉を紡ぐ。
「ナルト君は、どんどん前に進んで行くから、少し不安になったの…羽があれば、何時でも側にいれると、思って」
「ヒナタだって、前に進んでるてば!別に不安になんなくてもいいてばよ!それに、先のヒナタは、何処かに飛んで行きそうだたてばよ!だから、不安になって声かけたってばよ…」
「…?(私も、前に進んでるの?そんな風に見えたの?)」
何か言いたげな、私にナルト君は言葉を続けた。
「翼は、2枚もいらないてばよ」
「どうして?」
「ヒナタと、一枚づつあれば、十分飛べるってばよ」
自信満々に笑うナルト君の、言葉は不思議と心が軽くなった。
「そうだね、一緒だったら飛べるよね」
少し、だけそう想えたから。
「そうだってばよ」
手を私の前に、差し出すナルト君。
「さ〜、家に帰るてばよ、ヒナタ」
「うんvv」
私は差し出された手を“ぎゅ”と握り、二人で家に向かって歩いていく。
二人で帰る帰り道。
空を仰いで、想う。
それは、先までの想いとは少し、異なっている想い。
翼をください。
鳥のようになりたいの。
でも、一人で飛ぶのは、寂しいから。
貴方と対に、なったら寂しくないから。
片翼の翼でいいから。
貴方とともに、翼をはためかせれば。
どんな、場所でも行けるから。
空を舞う鳥に…。
二人ならなれるから。
Fin
2001.3.28 . From:Koumi Sunohara
★後書きと言う名の言い訳★ |